「わかろうとする」ことが第一歩。祖父が自閉症の孫にかけた優しい一言とは【作者に聞く】









じいじの例えや気遣いに気付かされる
「よくよく考えて、『じいじの例え、わかりやすい』と気付きました。感覚過敏である太郎は、普段おにぎりは塩おにぎりで食べ、海苔を付けると頑なに口にしないのです。そのことから、太郎は視覚からの情報でひとつのおにぎりではなく『米』+『海苔』と2つの物として捉えているのでは、と思い至りました。ひとつの物に対して、嗅覚・味覚・視覚・触覚がフル稼働している太郎の繊細さに感心しました」
「食べ物以外でも、外出する際に『そこはどういうところ?』『何県?』などはよくある会話だと思うのですが、太郎はそれに加えて『そこはどういうにおい?』と嗅覚に関することも聞いてきます。山に似た香りとか、海に近いから海のにおいだよ、などと答えるようにしています」
「実際、アスパラとベーコンを別々にして太郎に出すと、今度はモグモグと食べ出しました。愉快なイメージのじいじですが、今回の鋭い例えや『わかる、わかるよ』と理解しようとする気持ちや心遣いに、優しさがにじみ出ていると思います」






太郎くんの個性をあたたかく見守る“やさしい世界”を描いた「自閉スペクトラム症の太郎とやさしい世界」には、自分にも他人にも優しくなれる生き方のヒントが詰まっている。
