「諸行無常」だからこそ、今日を生きる幸福を噛みしめる。僧侶が描いた漫画が深い【作者に聞く】
ヤンキーと住職、正反対の二人が起こす“化学反応”




いずれ漫画の中にも描いていきたいなと思うのですが、私自身も漫画の住職と同じく、寺の生まれではありません。でも、中学生の頃に出会ったお坊さんや、仏教の教えに少なからず助けられたところがあり、僧侶になるご縁を頂きました。仏教ってすごく奥が深いですし、人生の苦難に寄り添ってくれるような教えだと感じています。
私自身まだまだ勉強中で、仏教の教えをわかっているとはとても言えないのですが、仏教の言葉に出会って感じたことや教えられたことを、表現できたらなぁと思っていました。そんなとき、漫画仲間とのやり取りの中で思いついたのが「ヤンキーと住職」でした。この作品では、自分が出会ってきた仏教の言葉から教えられたことを、なるべくストレートに伝えています。仏教高校時代の経験をエッセイにしたものも好きな作品ですが、一番こだわりをもって描いているのが「ヤンキーと住職」です。





正反対の二人と仏教の教えが化学反応を起こすことで、どういう話が生まれるのか?自分自身、興味を持ちながら毎回制作しています。ただ、ものすごく悩みながら描いているので遅筆というか、少しずつしか描けない点がもどかしいのですが…。真面目に描きつつも話自体はゆるいので、暇なときに気軽に読んでいただけると有難いですね。
でも、この話はあくまで私が教えや、教えの言葉に出会って感じたことでしかないので、正解とかではありません。間違って自分勝手に捉えている部分もあると思うのです。私の一番の願いは、これをきっかけに読者自身が、お釈迦さまの書いたものや仏教の伝統の中で生きた僧侶の言葉に直接あたって、深く考えてもらうことです。仏教の言葉は、自分の人生や悩みのうえで聞いていくべきだと思うんです。そういうことが本当に大切だと思っています。



一見異色な組み合わせの二人の対話を通して仏の教えを知ることができる「ヤンキーと住職」。仏教に馴染みがないという方も、この作品を通してその教えを楽しく学んでみてはいかがだろうか。
