「うまれなくてもよかったのに」妹の誕生をきっかけに、中間反抗期となった5歳の長女。悩みながら向き合う日々に共感のコメント殺到【作者に聞く】
穏やかだから怒らないのではなく、怒らないから穏やかになる
転機が訪れたのは、落ち込んでいたとんがりめがねさんが次女と話したとき。平等だと思っていた自分の行動が、長女にとっては不公平であったことに気付かされたのだ。そして決意したのが「できる限り怒らないこと」。自身の行動を変えたことは、今の子育てにもよい影響となっているという。
「普段から怒らない人は『穏やかだから怒らない』のだと思っていたのですが、『怒らないから穏やかになる』ということもあるのだと知りました。感情的になるのをやめ、相手の話を聞く姿勢を見せたり、楽しい雰囲気を作ったりすることで、以前と変わり、お互いに落ち着いて話せるようになりました。今は、子供が黒い気持ちに飲み込まれているときには、こちらは清々しい気持ちで臨み、黒い霧を晴らしていくようなイメージで接しています」


漫画には「我が家と似ていて感情移入しています」「この投稿を見て中間反抗期について調べました」など、子育て中の読者たちから多くのコメントが寄せられる。寄せられた声について、とんがりめがねさんはどのように感じているのだろうか。
「毎話たくさんのコメントをいただいて、すごくありがたかったです。お気持ちのこもったDMもたくさんいただきました。私、長女、次女、いろいろな視点から読んでくださる方がいらっしゃって、お話を読んで泣いてくださったり、励ましてくださったり、長女を心配してくださったり、ご自身の子供の頃の経験を教えてくださったり。その全てに力をいただきました。初めは自分への戒めのつもりで漫画にしましたが、『描いてくれてありがとう』という言葉をたくさんいただけて、本当に描いてよかったと感じました」

最後に、とんがりめがねさんから、子育てに悩む人や、読者へメッセージを貰った。
「悩み事の渦中にいるときは『私はダメな親だ』なんて思ってしまい、自分の中で作り上げた『完璧な親』に押し潰されそうになります。でも子供が求めているのは、ただ自分を大切に思ってくれる『理解者』なのだと思います。かつて子供だった私たちは、子供の心を理解してあげられるはず。ぶつかりながら、失敗しながら、お互いを理解し尊重しあっていくのが、人と人の繋がりです。私には子育ての専門的な知識も、豊富な経験もありませんが、我が子を一番大切に思っているのは私で、心から抱きしめているという自信はあります。抱きしめさせてくれるのなんて、ほんの数年!今のうちに一生分ギュッとしときましょ!!」


大人になり、親になって子供と接することの難しさと、心が通じたときの喜びを感じさせるとんがりめがねさんの漫画。子育てに悩む人はもちろん、中間反抗期について初めて知った人なども、ぜひ読んでみて欲しい。
取材・文=松原明子