主人公のメンエス嬢が提供するのは、「自分で自分を愛するきっかけ」。グレーな世界を舞台にした人間ドラマ【作者に聞く】
自分で自分を愛する「セルフラブ」が作品のテーマ
まずは蒼乃シュウさんの自己紹介から。
「『蒼乃シュウ』というペンネームで漫画を描いております。仕事以外では『ぴのこ堂』というペンネームを使い、呑み歩きのコミックエッセイやさまざまな土地のグルメ探訪を趣味で描いたりしています」
今回、「メンエス嬢」が主人公の漫画を描こうと思った理由は何だったのだろう。
「noteで現役メンエス嬢さんの日記を読んで興味がわき、『メンエス嬢』が主人公の漫画を描いたらおもしろいんじゃないかと思いました。いわゆる風俗とはちょっと違うグレーな世界観で、新しい人間ドラマを生み出せそうな予感がしたんです」




この作品で描きたいことについて聞いてみた。
「テーマは『恋愛』です。でも一般的な男女の恋愛ではなく、『セルフラブ』を描いていくつもりです。好きな人に愛してもらうのではなく、自分で自分を愛することができるようになるきっかけを、加恋は客に提供しています」




普段は見えない人間の葛藤やトラウマだけでなく、じっくり眺めたくなる加恋のビジュアルもこの漫画の魅力のひとつ。加恋を描くときに力を入れている点はあるのだろうか。
「男女問わず、誰でも一瞬で恋に落ちるようなビジュアルを心がけています。かわいいだけではなく、凛々しさが表現できたらいいなと頑張って描いています」
満足できない男の凝り固まった背中を、あたたかく柔らかな手でほぐしていく加恋。パワハラ気質の男は自分を愛せるようになるのだろうか。今後も楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京