「お前は期待外れ」トラウマを抱えた男はやがてパワハラ上司に。メンエス嬢の一言が心を癒やす【作者に聞く】
パワハラやモラハラをしてしまう理由は、自分の中にあるのでは?
加恋の最初の客にパワハラ気質の男を選んだ理由について聞いてみた。
「客として登場する男たちは、いつも必ず何かの問題を抱えています。一番わかりやすい問題はモラハラやパワハラをしてしまう人かな?と思い、最初の客にしてみました」
幼いときに自分を認めてくれず、「期待外れ」と言っていた父の存在。パワハラをしてしまう男が抱えるトラウマが明らかになるが、登場人物にはどのように感情移入し深層心理を描いているのだろう。
「誰でも大なり小なり、無意識に他人にモラハラやパワハラをしてしまうことがあると思います。他人に対してついイラッとしてしまったり、意見が違う人に出会うと受け入れるより先に反論してしまったり。親しい存在だと甘えてしまい、ついカッとなってキツいことを言ってしまったなんてことは、誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。他人にそんなことをしてしまう理由って実は自分の中にあって、気づかないトラウマを抱えていてまだ癒やされていないことが原因になっていることもあるのではないかなと。『パワハラやモラハラは悪い!』と一方的に攻撃するよりも、なぜ他人にパワハラやモラハラをしてしまうのだろうと掘り下げた方が、解決に繋がると思っています」




今回の漫画で描きたかったテーマを教えてくれた。
「1話目ですので、まずは加恋の自己紹介という感じです。こんな感じで毎回客を癒やしていく物語です。加恋はメンエス嬢だけど、決して客を依存させません。つまり、リピートさせないメンエス嬢なんです。実際にそれではやっていけませんが、そこは漫画ですので…(笑)」






加恋の「あなたはちゃんとがんばっています」の一言に、父から言われたかった言葉は本当は自分が人に対して言いたかった言葉だと気付いた男。「また指名してもいいかな」と聞くと「あなたはもう大丈夫ですよ」とほほ笑む加恋。彼の心は救われたので、きっともうここに来ることはないのだろう。今後はどんな問題を抱えた客が訪れるのか、楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京