「息が吸えない」「強烈な吐き気」原因不明のオエオエ地獄、5年目にパニック障害と判明!【漫画の作者に聞く】
「電車には乗れるけれど、バスはダメ」
心の病気の症状は本当に人さまざま。Taneさんの場合「電車には乗れるけれど、バスはダメ」「ショッピングモールはまあまあ、飲食店内はダメ」だった。「私の場合は『臭気の強い場所』がダメなのかなという感じでした。以前、友人と海の近くに遊びに行ったとき、直前まで元気でしたが、車から降りたときの磯のにおいで盛大に嘔吐き(えずき)、発作が出て大変でした…。本当に、人によって症状はバラバラみたいです」





お風呂で発作が起き、気を失いかける体験も。「この病気のやっかいなところは、発作がいつ出るのかわからないんです。そのため、たまたまお風呂で発作が出たときは恐怖で失神(ブラックアウト)しそうになりました!」。間一髪で風呂場から脱出。「慣れてくると、発作が出そうなときがわかるようになり、ある程度ですが余裕も出てくるので、今は大丈夫です」
読者のコメントに救われた
漫画を描き始めたきっかけは、パニック障害を友人に説明するときに「なにそれ?どういう病気?」と聞かれることが多く、一から説明するのが面倒だったからという。「親友から『絵、描けるんやし漫画で描いたら?』と言われて『それだ!』となりました(笑)。これを期に、友人たちだけじゃなく、広くこの病気を知ってもらえれば…と」
反響もあり、読者からのコメントでは「寛解のために薬を飲む」ことを教えてもらったのが印象に残るそう。「やはり、心療内科ビギナーにとって『向精神薬』って怖いんですよね(笑)。「飲んでも大丈夫なのか」とかいろいろ怖い想像をしてしまって。そんな中、読者の方で『なぜ薬を飲むのか』『薬を飲むことによって寛解にどう近づくのか』を非常にわかりやすく教えてくださった方がいて、このときからだいぶスムーズな生活を送れるようになりました」。描くことによって、結果的にたくさんの方たちに助けられることになったと振り返る。






「病気と楽しく付き合う」ことを伝えられれば
そして、つらい経験さえもどこかポジティブで、コミカルに描かれているのがTaneさんの漫画のポイント。「病気を扱うので、読んでくれる方がしんどくならないように、ポップに描きたいとは思っています。実際、ポップに生きていますので(笑)」
最後に漫画を通して伝えたいことを聞くと、「パニック障害に限らず“病気と闘う”ということは、精神力をけっこう削られていくんですよね。私も今は絶賛奮闘中なので、けっこうしんどい表現が出てくることが多いのですが、“つらさ”にフォーカスするのではなく“病気と楽しく付き合う”ことを伝えられればいいぁなと思っています。もしくは病気に関係なく、単純に漫画を読んで『こいつ、アホだなぁ』と笑い飛ばしてもらえればうれしいですね」

※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。症状で悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。
取材・文=折笠隆