「モラハラ夫との子どもが生まれたら…」幸せな家族像がイメージできず悩む妻。昔は優しかったはずなのに…【作者に聞く】




――「昔は優しかった」「うちはそこまでひどくないはず」という真奈美の言葉が印象的でした。モラハラ被害者には、やはりそのように考えてしまう方が多いのでしょうか?
モラハラを受けると、心身にくるストレスから自分が耐えている状況を軽く見積もったり、昔の優しかった記憶を思い出して現実逃避することはよくあることだと思います。
また、モラハラを受け続けることで、被害者は自己価値が低くなり、「自分がもっと頑張ればよくなる」「自分のせいかもしれない」と自分を責め、また、一般的に家庭の問題を外に持ち出すことはよくない風潮もありますので、周囲の期待や世間体を気にして認めたくない場合もあります。
一番の問題は、加害者が被害者をコントロールするために優しく振る舞うことです。この「嘘の優しさ」は被害者に混乱を招き、状況がそれほど悪くないという錯覚を生んで状況を悪化させるのだと思います。智樹も初期はこの優しい嘘も混ぜてコントロールしていたのでしょう。



取材・文=濱田瑠奈