名前が漢字で書けない...!?57歳で認知症になった姉。病と向き合い、日々の楽しい出来事を漫画で発信する理由とは【作者に聞く】
認知症になっても姉の本質は変わっていない。社会活動への積極的な参加も
まるまとまるなさんとNさんは、大人になってからは住む場所も離れ、たまに実家で会うくらいの交流だったそう。Nさんが認知症となり、近くでサポートをするようになった今、感じていることや、一緒に過ごすときに心掛けていることについて聞いた。
「一緒に散歩に行くと、とにかく姉の知り合いによく会うし、すぐ知らない人に話しかけるし、ものすごく社交的な人だったと思い出しました。noteでも姉がチャーミングだというコメントをよくいただきますが、本当にそう思います。今は話せないし、少々怪しい行動も増えていますが、姉の本質は変わっていないと思います。認知症の人の問題行動は不安感が原因となっているものが多いので、なるべく不安感を与えないように、と気をつけています」


漫画には、Nさんとの日々に加え、当事者が発信する講演会やイベント、認知症の人や家族を見守るオレンジサポーターになったことも描かれている。姉のNさんのためはもちろん、認知症と社会について考えるきっかけに繋がっているという。
「情報収集のつもりでいろいろな活動に参加していますが、認知症が社会的に問題になっていること、自分もいつなってもおかしくないということを、ひしひしと感じています。それでも、当事者からの発信で社会が変わってきているのは確かです。姉のために、と思って始めましたが、実は自分が認知症になったときに困らないようにやっているんじゃないかと思っています。もともと私は全く社会性のない人間なのですが、近ごろは社会の一員としてよい社会を作っていきたいな、という気持ちが芽生え、自分でもすごいと思います(笑)」


今後の暮らしについて「変わらずたくさんの方々に助けていただきながら、もちろん自分も出来る限りたくさんの人を助けながら、日常生活をなるべく充実させて姉の笑顔を増やしていきたいと願っています」とまるまとまるなさん。認知症と向き合い、優しく明るく描かれる日常をこれからも見守りたい。
取材・文=松原明子