倒れた父がICUに入院!大量の管に繋がれた姿を見て自責の念に駆られる/父が全裸で倒れてた。#7【作者に聞く】
スマホの暗証番号を打とうとするものの…
まず描かれたのは、一般的な病室とは全く雰囲気が異なるICUの病室だ。高度な診療機器に囲まれ、管だらけになっている父。その光景こそが、父の容体が深刻であることを物語っているようで緊張感が走る。
「入室前に手を入念に洗って、防護服と手袋を身につけるまでは『ICUのイメージ通り』だったのですが、いざ病床を目の前にすると診療機器の多さと絶えず鳴り響く警報音に圧倒されました。その中にいる父はまさに、『生きている』というよりも『なんとか生きられている』状態でした。大袈裟ですが、この管が一つでも抜かれてしまったら死んでしまうのではないかと思うほど深刻な状態に感じました」






手が震えてしまいスマホの暗証番号を自分で打つことはできなかったものの、諦めずに言葉で伝えてくれた父。ICUに入るほどの事態になってしまったことで自分を責めていた作者も、父の生きようとする力を見て、逆に元気をもらったのではないだろうか。
「おそらく、この時の父は投薬で意識が朦朧としていたと思うのですが、私のために、自分のためにも、力を振り絞ってくれました。たぶん内臓の状態が悪いので水も飲めていなかったから、口も乾いて上手く動かせなかったのでしょう。両手で口周りを必死にマッサージして伝えてくれた姿が嬉しかったです」
父のスマホを開けることができ、無事に薬の情報を確認したり親戚に連絡できるようになった作者。1つひとつ問題をクリアしていく中で、同時に、母の三回忌についても触れられている。
「父は70代ですが多くの情報をデジタルで管理しています。お薬手帳だって、紙の手帳だったらすぐに病院に共有できたのにと思いましたが、今後はマイナ保険証で病歴や服薬情報が共有できると思うので、少しスムーズになるのかも…?そして母の三回忌をキャンセルする場面がありますが、母の介護~看取りをした時期も同じく年末年始でした。今年こそはゆっくり年末を過ごせそう!と思ったのに、父が倒れちゃって…やっぱり冬は油断できない季節だと感じます」
ICUに入院という非常に深刻な状況ではあるものの、それでも病に負けまいという気力を見せてくれた父。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしてほしい。
医療描写監修=a0ba