イチかバチかの抗がん剤が効いている!父親が再度一般病棟へと移れることになった一方、作者の体に異変が…【作者に聞く】
父がまた一般病棟に戻れることに!張り切る作者だったが…
前回の話で、キクチさんが父親の保険の代理人になるためには、父親のサインが必要であるということがわかった。果たしてサインは書けるのか…?キクチさんの心配をよそに父はしっかりとサインを書き、その場では意思の疎通も取れたことで、キクチさんの心も少しは安らいだだろう。
「ICUの個室に移ったことということは、以前より何かしら状態が悪くなっているということ。なのでこの日は保険屋さんに行ったことだけ報告して、サインはまた今度でいいやと思っていました。ですが私の予想はハズレて、ヘロヘロながらもサインを書き、さらには思いもかけず感謝と労いの言葉ももらって、とても心が高揚しました。つらい日々もありましたが、粛々と頑張り続けて良かったなと思えました」






「限度額適用認定証」の発行など、一つ一つ必要な手続きをクリアしていくキクチさん。両親の病気に際して国の制度を利用するために申請するという状況は、人生において何度も起こることではないので、“慣れる”ことは難しいだろう。このような経験者の体験談から学び、“備える”ことが大切だ。
「父が倒れてあらゆる手続きをする度に『なんて自分は無知なんだろう』と、ありありと実感しました。ですがその度にたくさんの人に助けていただいています。母の三回忌をどうしたら良いかと相談したお寺から始まり、夫、保険屋さん、父が勤めていた企業の年金窓口。さらに漫画には書いていないですが、知人からは高齢者向け住宅に住んでる方の話も聞くことができました。備えられたら安心ですが、全てを備えることは難しい。だからこそ、時には人のつながりや優しさに頼り、感謝することが大事だと改めて感じました」
主治医から「抗がん剤が効いている」「一般病棟に戻れる」という嬉しい言葉を立て続けに聞き、久々に事態が好転に向かっているとあって張り切るキクチさん。しかし無意識の内に無理してしまった面もあったのだろうか、今度はキクチさんがインフルエンザに罹患してしまう。
「久しぶりに良い経過報告で、本当に嬉しかったです。大好きなインドカレーも食べることができ、良い気持ちで年末を迎えられると思っていました。そんな時にまさかのインフルエンザ。おそらく毎日病院に行っていたので、多くの人の菌に触れていたことと、疲れと安堵から免疫力が崩壊したのでしょう。ちなみにこの時は能登半島地震があり、身体だけでなく、メンタルもダメージを受けてしまいました」
父親の容体が好転に向かう一方で、無敵モードだったキクチさんの体に異変が現れた今回のエピソード。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしてほしい。