抗がん剤の効果が表れて“退院”が見えてきた悪性リンパ腫の父親。退院後の生活を見据え、介護保険の申請へ!/父が全裸で倒れてた。#27【作者に聞く】
地域包括支援センターで介護保険を申請。父親の要介護認定は?
リハビリの成果もあってか父親から頻繁にLINEが来るようになり、抗がん剤の効果も現れていると聞いて安堵する作者。同時に、“退院”の2文字が一気に現実味を帯びてくる。かなり動けるようになったとは言え、階段も多い実家で父親が不自由なく一人暮らしをするのは難しい状況だろう。作者の胸の内では、喜びと不安の両方がせめぎあっていたのではないだろうか。
「意識を取り戻してからの父の回復速度はすさまじいものでした。毎週できることが増えていて、まるで赤子の成長のようです。先週はベッドに腰掛けるのもやっとだったのに、今週は立っている。そしてその翌週にはつかまり歩きをしている…。介護保険の申請は結果まで1ヵ月かかることは、母の介護経験でわかっていたので、逆算して考えれば今すぐ申請しないとプロの助けがないまま退院になるかもしれない。無計画な現状を考えると、不安に襲われました」
作者は父親の介護保険を申請するため、地域包括支援センターを訪れる。厚生労働省によると「市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、3職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設」とされているが、実際に訪れたことがある人は少ないかもしれない。
「母の介護のときは父が手続きを進めたのですが、その内容を逐一報告してくれたこともあり、最低限の知識を持っていました。当時は病院の看護相談室に頼ったのですが、その後家の近所に地域包括支援センターがあることを知って、『最初からそこに行くのもアリだったなぁ』と父が言っていたことを思い出し、私はそちらに頼りました。父の状態を理解いただき、どのようなプランが検討できそうかパンフレットを用いながら丁寧に説明してくれて、現実的な未来が見えてきたことで安心できました。家の近所にいつでも相談できる場所があるなんて、とてもありがたいことだと感じました」
約1ヵ月後、“要介護2”という通知が届いた。これは要支援1~要介護5までの7段階で介護の必要性を表したもので、この要介護認定を受けることで、ケアマネジャーと相談をしながら公的な介護サービスを低い自己負担で利用できるようになるのだ。
「母が要介護5だと通告された際に、7段階のだいたいの内訳は学んだので、要介護2という結果は予想通りだと感じました。要支援はほぼ一人で生活するのが問題なく、要介護5は寝たきりなどで自分のことを何もできないという状態。どの程度のサポートを受けられるかは未知数でしたが、退院後にプロの介護を受けられることは確定したのでとても安堵できました」
一気に“一時退院”まで見えてきて、いよいよ物語の終着点も見えてきた今回のエピソード。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしてほしい。
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