悪性リンパ腫と闘う父親がついに一時退院へ!まだ問題は山積みでも“生きている未来”を考えられることの幸せ/父が全裸で倒れてた。#28【作者に聞く】

久しぶりの帰宅に嬉しそうな父親!作者は父が倒れたときのことを思い返し…

バレンタインの時期に「1つ目の抗がん剤が効いていない」と聞いてから約2ヵ月、幸いにも2本目の抗がん剤が効いているため、本退院に向けてまずは一週間程度の一時退院を提案された父親。この間に作者も介護保険の申請などを進めていたものの、さすがに急展開だっただろう。一時退院の時期をGWの時期に調整してもらうなどの描写もあるが、このときの率直な気持ちは?

「そもそも一時退院というものに馴染みがなく『そうやって段階を踏むのか!』と驚きがありました。いきなり本退院だと困るので一時退院で良かったと思いつつ、一週間後にはまた戻ることを考えると、荷物の搬入出は大変だなぁと思いました(父はマキシマリストなので笑)。一時退院の時期は私が働いていることもあってか、主治医から『いつが良いですか?ご家族の予定に合わせますよ〜』と気を遣ってくださって、大変ありがたかったです」

第28話4-1 作=キクチ

第28話4-2 作=キクチ

第28話5-1 作=キクチ

第28話5-2 作=キクチ

第28話6-1 作=キクチ

第28話6-2 作=キクチ


父親が11月末に倒れて搬送されて以来、自宅へ戻ってきたのは約半年ぶりだ。玄関まわりの植物の手入れが行き届いていないことにツッコみながら「この一週間で整えておくから!」と元気に宣言する姿を見ていると、全裸で倒れていたのを作者が発見したあのときも遠い昔のようだ。実際、一時退院中の一週間はどのように過ごしていたのだろうか。

「元気になってきたとは言え、重い病気を抱えた高齢者。病院と家では全く環境が異なるので、退院前の準備はしっかりと気をまわしました。介護グッズの購入やマットレスの工夫などは、お見舞いに通う中で『こういうものがあったら楽なんだな』と学んで用意。一時退院中は横になっている時間が多かったですが、パソコンで作業をしたりと、父は久しぶりのお家時間を楽しんでいました。ちなみに念入りに準備した介護グッズは、幸いなことにほとんど使わずに済むくらい安心して過ごすことができました」

あまりにもエネルギッシュな父親を見ていると病気が完治したような気にもなってしまうが、治療は現在進行形で続いており、未来のことがすべて今まで通りとはいかない。介護、終活、相続…と今後も向き合っていくべき問題は山積みだが、それでも作者は変わらずにポジティブだ。母を看取った約1年後、今度は父の生死と向き合ってみて思うことは?

「母の看取りと父の闘病を短い期間で経験して、何度も自分の置かれている状況にやるせなさを感じました。体力も精神も疲弊していくばかりで、きっとあの時私が放っていたオーラ(?)は真っ黒だったと思います。それでもここまで走りきれたのは『私が今できることを、ただやるだけ』という思いを持ち続けていたからだと思います。

例えばこの漫画の第三話、父が救急車で運ばれるときに、夫は荒れた実家の掃除をしてくれて、お隣さんは軽食を渡してくれました。あの場にいた皆が『自分ができることをしよう』と、私たち家族のピンチを支えてくれました。

私もそれと似ているような気がします。当時から現在まで、ただひたすら『困ってるから、支える』ということを繰り返しただけです。しかし同時に『支える』ことに向き合ったからこそ、簡単なことではないということも身に沁みて感じました。

親を支えるのは、一人娘である私だけ。であれば、その少ないパワーでもいざというときに支えられるよう、準備しておくことが大切だと痛感しました。親子で互いの未来ために『今できること』を、前向きに現実的に、考えていきたいと思っています」

無事に一時退院を迎え、ポジティブな未来を感じさせてくれた今回のエピソード。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画「父が全裸で倒れてた。」は今回で最終回となる。一時退院後のストーリーは、またどこかで描かれるかも?お楽しみに!


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