“エキナカ大改造プロジェクト”がついに完結!新しく生まれ変わる東京駅ってどうなるの!?
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東京ウォーカー(全国版)
東京駅が街になる――“Tokyo Station City”のコンセプトのもと、着々と整備が進む東京駅北通路周辺。2020年6月17日(水)に生まれ変わった姿がお披露目となる。今回の東京駅エキナカ大改造プロジェクトによって、地下1階の北自由通路に新たな改札口「グランスタ地下北口」が設置され、待合空間「スクエア ゼロ」も誕生。さらに、エキナカ商業空間「グランスタ東京」が開業し、新たに66店のショップとレストランが仲間に加わるという。
そこで今回、東京駅に新たな人の流れを作ったJR東日本の城田茂弘課長に、リニューアルまでの改造秘話を語ってもらった。


――東京駅北通路周辺のデザインコンセプトはなんでしょう?
城田さん
「コンセプトを“North Court MODERN”とし、モダニズムデザインをベースにした空間にしようと決めました。丸の内赤レンガ駅舎の開業が大正3年(1914年)。この時代の近代建築でよく見られる格子デザイン、また、ドーム天井のデザインを採用しています」
――リニューアルにあたって工夫した点はどこですか?
城田さん
「初めて東京駅を利用する人でも目的地にスムーズに辿り着けるよう、新しくわかりやすいサインをデザインしました。まず、鉄道と商業エリアのゲートサインや照明、床、看板の色を変えることで、どちらのエリアにいるのかがわかるよう視認性を高めました。具体的には、鉄道エリアには白・黒色をベースにした無機質な素材、商業エリアには、木材色をベースにした有機質的な素材を使用しています。ゲートサインも、鉄道ゾーンは白色照明、商業ゾーンは暖色照明にして“すみわけ”しています」

――これまでにない試みなどあれば教えてください。
城田さん
「広い空間にいると、方向感覚を失いやすいですよね。東京駅でもよく、スマホを片手にキョロキョロしている人を見かけます。そこで、丸の内口側と八重洲口側、自分がどちらにいるのかすぐわかるようにしてあげたいと思いました。丸の内口方面の柱や壁面には“丸の内駅舎ドーム”をデザインし、天井は駅舎のドームとレンガの組模様の光天井に。逆の八重洲口方面の柱や壁面には“八重洲グランルーフ”を、八重洲口方面は新幹線乗り場が近いので、天井は新幹線のノーズ柄と、はやぶさ(新幹線)のグリーンをデザインした光天井にしています。方向をデザインで把握できるようにしたのは、初の試みです」



――吹き抜け空間ができるそうですね。
城田さん
「東京駅初の吹き抜け空間です!光天井とデジタルサイネージを連動させて、情報発信などの空間ディスプレイができるようにしました。ここで待ち合わせをしたらきっとスムーズに会えるはずです」


――新しい待合所もできると聞きましたが、特徴はありますか?
城田さん
「増設した待合所には、新幹線発車標(LCD)、異常時モニターを設置しました。地下にいながら、列車運行情報を得ることができるようにしています」
――エレベーターを追加で設置したそうですね。
城田さん
「はい、エレベーターは全部で6カ所に設置しました。1つめは丸の内側中央部(総武地下1階⇔1階)、2~4つめは中央通路と北通路の間(地下1階⇔1階⇔ホーム階、第1ホーム⇔第3ホームで計3カ所)、5つめは新幹線北乗換口前(地下1階⇔1階⇔新幹線北乗換口)、そして6つめは北地下自由通路(地下1階⇔地下1階、段差解消)に設置しました。バリアフリーのルートを増やしたことで、迂回せずにホームへ直接アクセスできるようになりました」
――確かに新しいルートができたおかげで、ホームまで迂回せずスムーズに行けますね。
城田さん
「実は、かねてよりエレベーターの数が少ないとの声をいただいていました。そういうお客さまの声にお応えさせていただいたというのもあります。さらに、北通路と各在来線ホームを結ぶエスカレーターを追加し、より利便性を向上させたんですよ」
――ほかに、実はここもこだわった!という点はありますか?
城田さん
「お客さまは気が付かないと思いますが、北通路の天井は中央から両端にかけて、わずかに傾斜をつけて仕上げ材で雨水を受け、両サイドに流す構造を採用しています。これは高架下駅という構造物上避けて通れない雨漏り対策です。また、駅は列車の線路を基に建てられているので、天井はこれ以上高く作れないんです。通常、駅の天井は配管などで凹凸があったりするのですが、今回、店舗内コンコースは3次元データを用いて施工計画することで、給排気、衛生、電気設備を効率よく配置して、フラットな天井にしています。さらに、北通路(丸の内北口~八重洲北口)を結ぶコンコースは、天井の高さを従来の2.2メートルから2.6メートルへ高くすることができました。これらは、我々設計・施工に携わった者だけしか知らないこだわりですね(笑)」


――なるほど。では苦労した点があれば教えてください。
城田さん
「今回の工事の特徴の1つとして、総掘削量約4万立法メートル(10tダンプ約7000台)という掘削量の多さが挙げられます。そのため、掘削から土砂出しの工程をいかに短縮するかが課題でした。営業中の駅で、しかも東京駅という巨大な駅構内から土砂を搬出するのは容易でありませんでした。大型重機が使用できない、搬出用のダンプも1台ずつしか入れない、常に工事で占用できるルートの確保など、多くの制約条件が課せられていたのです。また、工事桁の架設やホームの改築作業は、基本的に電車が走行していない終電から初電にかけての短い時間だけです。ただ作業を進めるだけでなく、次の日にお客さまが利用できる状態に復帰しなければならないので、スムーズな作業と準備・調整に多くの時間をかけました」

――最後に、この新しくなった東京駅がどのような影響をもたらしてくれると思いますか?
城田さん
「グランスタ東京には、66店の飲食店を中心とした店がオープン予定です。イートイン席があるレストランやカフェ、バーなどが登場し、総座席数は約1000席もあります。仕事中のランチや、帰宅途中に立ち寄ってちょっと1杯なんて楽しみ方もできると思います。また、待合空間“スクエア ゼロ”は、新幹線や列車の発車時間待ちに利用できますし、旅の起点としてさまざまな情報や日本の魅力を発信します。ここに訪れることを目的として、東京駅に来てもらえたらうれしいですね」
――裏側のお話までお聞かせいただき、ありがとうございました!


いつも通り往来していた仮設通路の裏側や地下で、多くの人の知恵や努力が結集して大改造が進められてきた。整備面積は、合計1万7600平方メートル(店舗面積:6200、自由通路・コンコース・機械室1万1400平方メートル)と超広大。2012年3月の着手から2020年6月の開業まで8年3カ月を要した、東京駅エキナカ大改造。より利用しやすく、ショッピングもグルメもさらに楽しめるよう進化した新しい東京駅が、いよいよ6月17日(水)にベールを脱ぐ。生まれ変わった「グランスタ東京」を中心とする北口エリアを散策しに、東京駅へ出かけてみよう!【ウォーカープラス/PR】
※開業日は延期となりました。詳細情報は公式ホームページをご参照ください(5/20加筆)
※画像提供=JR東日本
■プロフィール
東日本旅客鉄道株式会社
東京工事事務所 東京駅開発 課長
城田茂弘
経歴(主なプロジェクト担当件名)
1980年:入社
1994年:東京駅中央線重層化、北陸新幹線乗入れ
2002年:東京駅八重洲口開発、サピアタワー
2014年~現在:東京駅丸の内広場、総武地下駅開発、北通路整備計画
2017年~:現職
写真=阿部昌也
取材・文=北村康行
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