ガラスの中の森に癒される「苔テラリウム」とは?苔で独自の世界を構築

関西ウォーカー

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優しい緑色にモフモフとした手触り、森のような自然の香り…と、癒し度満点の苔(こけ)。思わず「近くに置いて癒されたい」と感じてしまう小さくてかわいい植物だ。苔玉や苔盆栽などいろいろな育て方があるけれど、ガラスなどの容器の中で育てる「苔テラリウム」は、手入れが簡単でインテリアとしても映える今注目の栽培方法。

苔の専門店「moss-connect」を大阪・南船場に構える気鋭の苔アーティスト・今田 裕さんにその魅力や栽培方法を聞いた。

「moss-connect」では、常時50点以上の作品を販売。ほとんどが1点物なので、ピンとくる作品に出会ったら即入手したい


手入れが簡単でインテリアにも映える!


「苔は、リビングやキッチンなど新聞が楽に読めるぐらいの明るさがあれば育ちます」と今田さん。直射日光が当たらなくても、定期的に霧吹きをするだけでゆっくりと育つそう。

「成長が遅いのでこまめな剪定(せんてい)がいらず、半年に一回トリミングするくらいで大丈夫。蓋がある容器は1週間から1か月に1回の霧吹きでOKなのでズボラな人向き。蓋がない容器は毎日霧吹きが必要なのでお世話好きな人に向いています」。

陶器に苔を植えた場合でも、ガラスの容器で覆えば湿度が管理できて育てやすい


1つの容器で1種の苔を育てるだけでもさまになるけど、数種類の苔を組み合わせて渓谷や日本庭園など自分の好きなシーンを描くことも。

「苔の素朴さや可憐さ、美しさが癒しをもたらし、それを自分で育てられる。そして自分なりの世界が描けることも『苔テラリウム』の魅力だと思いますよ」

渓谷を走る電車をイメージした今田さんの作品。石やフィギュアを配置して独自の世界観を描き出している

ガラスの容器に1種類の苔を植えたシンプルな苔テラリウム


人気沸騰!「moss-connect」の「苔テラリウム教室」


今田さんが経営する「moss-connect」では、40種類以上の苔のほか苔テラリウムに欠かせない専用の土や容器、石などを販売。さらに「苔テラリウム教室」を開き、多くの人に苔の魅力を発信している。

苔テラリウムを制作する今田さん。自然豊かな滋賀県で幼少期を過ごし、自然の美しさや苔に魅了されたそう


「教室にいらっしゃるのは、40~50代の女性グループが多いのですが、最近は20~30代のご夫婦も増えているんですよ。小学1年生のお子さんがお母さんと一緒に作りに来られたこともあります」

簡単に作れて、育てやすいことから年齢性別を問わずに愛好者が増えているようだ。

教室の初級編(3000円)で作る苔テラリウムのイメージ。準備された3種の苔と器を使う

教室の中級編(4500円~)で作る苔テラリウムのイメージ。中級編では好きな容器や苔を選べる


「教室では作り方や育て方はもちろん、苔の種類や性格、苔が育った環境や繁殖方法、名前の由来、弱った状態の見分け方や対処法など、苔に関するあらゆることをお伝えします」

「moss-connect」の「苔テラリウム教室」は2~6人ほどの少人数制。人気があり2020年8月現在、約2か月待ち


人気が高く教室の予約が取りづらいため、「moss-connect」で材料を購入して独自に作る人も多いそう。

「購入していただいた際には作り方を説明しますので、ハードルはあまり高くありません」

自宅で作った苔テラリウムを写真に撮って来店すれば、アドバイスもしてもらえるというから心強い。

今田さんは苔の生態を知り尽くした、日本で数人しかいない苔テラリウムのスペシャリスト。「苔を長く育てられるように、正しい作り方と育て方を知ってほしい」と話す

「moss-connect」の床を彩るかわいい苔。「今後は室内装飾にも挑戦し、扉を開けたら森に入ったと錯覚するようなカフェを開いて、そこでワークショップを開きたい」と今田さん


苔テラリウムは‶そこらへん〟の材料で作れる?


自宅で作れる…ということは、‶そこらへん〟に生えている苔や庭の土で苔テラリウムが作れるのだろうか?

「容器は透明であれば100円均一ショップで売っているものでもいいのですが、土は湿気が多くても腐らない専用の土を使ってください。‶そこらへん〟の苔は乾燥している場所に生えているので、ガラスで包んでしまう苔テラリウムには向いていません。苔が生まれ育った環境を理解して、その環境に近付けることが長く元気に育てる秘訣なんですよ」とのこと。

作り方や育て方を守らないと、苔が腐ったりカビが生えてしまうこともあるそう。初めて作る時はレクチャーを受けた方がよさそうだ。

クリスマスバージョンの苔テラリウム。苔の種類やアレンジの仕方によって洋風仕上げられるのも魅力の一つ


組み合わせ次第で無限に広がる世界観


2018年と2019年の秋に実施されたJR東海「そうだ京都、行こう。」のキャンペーンでは、御朱印の文字の部分を苔で描いたビッグサイズのオリジナルアート「モシュ印」と、寺院の風景をガラス容器の中に再現した「コケ寺リウム」を制作。

「お寺の景色を再現するのがただただ楽しかったです。リアルに作り込むより、多少デフォルメして迫力があるように作り方たかったのでそのさじ加減が難しかったです」と今田さん。

JR東海「そうだ京都、行こう。」のキャンペーンで、苔を用いたアート作品。2019年には京都市内8つの寺院で展示された


自身の作品では、パッと手に取った石から物語や世界観、景色を思い描くことが多いのだとか。「moss-connect」には、フィギュアやシダなどの植物を組み合わせた迫力満点の「恐竜シリーズ」や、盆栽を組み合わせた「硝景シリーズ」など数多くの作品を展示。苔テラリウムのヒントがあふれているので、興味のある人はぜひ一度足を運んでみて。

恐竜のフィギュアを配置したインパクト大の作品。原始な感じを出すためにシダなどの植物を組み合わせている

苔と盆栽を組み合わせた硝景シリーズが今田さんのお気に入り

苔テラリウムをリングピローにアレンジ。2人の門出にふさわしいナチュラルで温かい雰囲気

苔でハートを描いた手の平サイズの作品。サイズやデザインの種類が多く、プレゼントにも最適

天井照明が一体化した容器を使った作品。優しい緑色が浮かび、カフェのような癒しの空間に


取材・文=吉田英子

※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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