超絶技巧の鉛筆彫刻!精密で美しい神業に心を奪われる人が続出

関西ウォーカー

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太さ約7㎜、芯約4㎜の硬筆書写用鉛筆を使用し、デザインナイフやカッター、ヤスリ、針などを駆使して「鉛筆彫刻」を作り上げる、新潟県在住の鉛筆彫刻人のシロイさん。緻密で精巧な作品の数々がInstagramをはじめSNSで話題だ。鉛筆彫刻を始めたきっかけや、作品に対する思いに迫ってみた。

「『カトラリー』は、世界的にも有名な新潟県の洋食器『燕三条(つばめさんじょう)』の職人さんに思いを馳せながら作りました」


偶然テレビで見た鉛筆彫刻に感動したのが始まり

「“これは日本人の自分が作らなくては!”と謎の使命感を持って作り上げた作品『日本刀』。何度も折りながらも執念で完成させた1本です」


偶然テレビで見た鉛筆彫刻に感動したというシロイさん。

「『文字を書く鉛筆自体で文字を形作ることができるなんて!』『鉛筆の芯なんて簡単に折れてしまうはずなのにどうして折れてないんだ!?』って、頭の中に凄いイナズマが走ったんです」と、当時受けた衝撃を語る。

「『エッフェル塔』は、大の苦手である立体作品に挑戦し、なおかつ線の細さを追求し苦難の末に完成させた作品です」

「かわいいキャラクター的な作品を作りたいと思い制作した『えんぴつダルマくん』。思うような表情にならずボツにする予定でしたが、ツイッターに上げたところビックリするぐらい好評でした」

「鉛筆彫刻で何か社会の役に立つような作品を作りたいという気持ちで『献血に行こう』を制作。新潟県長岡市の献血センターに寄贈してあります」

「『ヘビ』、実はモデルは100均のおもちゃです」


そこから自分でもやってみたいと思い、カッターとナイフを引っ張り出し、鉛筆を削り出したのがスタート。「鉛筆彫刻」という存在を知ってもらうため5、6年前からInstagramに投稿し、続いてTwitterも始めフォロワー数を増やしていった。

フォロワーからのコメントが創作の原動力

「鉛筆彫刻をテレビで見て、作るキッカケとなった『A~Z』。“憧れ”の存在でした。最後の“Z”を彫り上げた時の達成感は今でも忘れません」


「SNSの反響は思った以上にありましたね」と語るシロイさん。

「『鉛筆彫刻を初めて見ました』という人が多く、知ってもらうために始めたので、とてもうれしかったですね。それ以上に原動力になったのが『これからも新作を楽しみにしています』というフォロワーの方たちからのコメント。作る者として本当にパワーがもらえ、モチベーションが上がります」

「『電池マーク』はスマホの画面を眺めていた時に思いついたアイデアを形にしました」

「『電球』のモチーフは彫刻としては単純な雷マークですが、インテリア用の電球の入れ物という小物を使うことによりグッと魅力が増したと思います」

「タワー系初作品『台北101』。その独特な形状とひたすらの線入れ作業は大変でした」


そして、制作や展示依頼、テレビ出演など、SNSの影響力の大きさを実感したという。

「令和が発表されたときに制作した『時代の移り変わり』。その後に平成も作り時代の移り変わりを写真で表現しました」

「ロンドンの時計塔をモチーフにした『ビッグベン』。以前からずっと作りたかった題材でしたが、細い線を正確に彫る技術がなく断念していました。道具と技術の向上によりやっと完成させることができました」

「赤い鎖を10個目指していたのですが失敗の連続。そこで培った技術を活かして作ったのがこの赤い『ハートチェーン』です。鎖が失敗してなければ生まれなかった作品かもしれませんね」

「この『ト音記号』は、まずト音記号をペンで紙に何度も書いてその形状のイメージを掴むことから始めました。あとは形状の破綻がないよう微調整を繰り返し行っています」


だが、一部のコメントに落ち込んだこともあったそう。

「以前SNSにアルファベットの『A~Z』彫刻の動画を掲載していただいたことがあったのですが、『鉛筆がもったいない』『資源の無駄』と書き込みがありました。かなり落ち込んで、そのことをTwitterでつぶやいたら、逆に『無駄じゃない!』『これは芸術だ!』と励ましのコメントをいただけました」

「『コンバットナイフ』のアイデアの発端は某ゾンビゲームです。刃にいい光沢が出ました」

「日本刀の後に作った『クナイ』。“侍とくれば次は忍者でしょ”的なノリでしたね」

「『ギター』は、実は弦も6本引いていたりペグも6つ独立して作ったりと、表現できる部分はかなり力を入れて制作しました」


結果としてフォロワー数は倍増し、「#鉛筆彫刻を支持します」というタグを作る支援者も現れた。鉛筆彫刻に対してさまざまな意見もあるが、多くの人に「アート・芸術」と認識されたことが自信になったという。

恐怖と緊張を乗り越えた代表作『ペンシルチェーン40』

「『ペンシルチェーン40』は、1本の鉛筆の端と端を残しすべて鎖に彫刻しました」


Instagramでは300以上の鉛筆彫刻を投稿。その中でも一番難度が高かったのが『ペンシルチェーン40』。

「とにかく同じ作業の繰り返しなのですが、1つ間違えると今までの積み重ねがゼロとなってしまう恐怖心との闘いでしたね。特に30~40個の間は緊張感で手が震えました。技術的にも精神的にも難しかった作品です」

芯の表面を照らす光沢に、根を詰めた丹念な作業の想像が付く。さらに調和のとれた美しさに、神が降りたかのような超絶技巧を感じることができる。恐怖と緊張を乗り越え、技が集結した代表作だ。

さらに腕を上げ作品を作り続けたい

「虹の7色をそれぞれの色鉛筆で作った『虹色7色』。色鉛筆ってそれぞれの色で削り心地がけっこう違うんですよ。ちなみに私は緑が苦手です」


今まで多彩な作品を作成し、中には企業からの依頼もあるが、「今度は個人向けにも作ることができれば」と今後の展望を話す。

「『鉛筆彫刻、そういうのもあるのか』と心の片隅に置いていただければうれしいです。これまではひたすら自分の腕を上げることばかりを考えていましたが、これからは皆さまに楽しんでいただけるような作品作りもしていきたいと思っています。ぜひSNSをチェックしてくださいね」

取材・文=下八重順子

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