「高級食パンを文化として定着させたい」人気高級食パン専門店「真打ち登場」が三遊亭楽麻呂師匠とコラボしたワケ

2019年11月に東京・千駄木にオープンした高級食パン専門店「真打ち登場」。ユニークなネーミングとインパクトのある店舗ロゴや看板で話題となった。その後、大山、亀有、武蔵小金井、赤羽と都内に精力的に出店。今回6店舗目を出店するタイミングでリブランドを図った。

「真打ち登場」は、製造販売を行う株式会社「楓」が高級食パンに特化し、運営する高級食パン専門店。食パンの監修には「ジャパンベーカリーマーケティング」のベーカリープロデューサー・岸本拓也氏が携わる。既存の5店舗はどこも好調で、行列ができたり、閉店時間を待たずに完売することもあるという。

リブランドに踏み切ったのは高級食パンを単なるブームで終わらせないため

そんななか、学芸大学の駅近くに6店舗目をオープン。それを記念して三遊亭楽麻呂師匠とのコラボレーションが実現した。高級食パン専門店としての新たな挑戦として、食パン×アート×伝統文化のフュージョンを背景に、多国籍な和モダンテイストの新デザインへとブランドイメージを刷新。それに伴い、ロゴ、商品袋、店舗デザインなどを、これまでの店舗とはまったく違うものに変更した。

なぜこのタイミングでのリブランドだったのか。「真打ち登場」を運営する株式会社「楓」の広報部部長・水野秋彦氏に理由を聞いた。「数年前から始まった高級食パンブームは今もなお続いていていますが、これを文化としてしっかりと定着させることが一番の課題だと思っています。単なるブームで終わらせず、確固たる伝統として確立させるために、リブランドに踏み切りました」と水野氏。

「店名の“真打ち”にちなみ、本物の真打ちの噺家さんとコラボレーションができたらとずっと考えていました。支援していただいている現代アートの彫刻家の方から、この度ご縁をいただき、三遊亭楽麻呂師匠とコラボレーションすることになりました。今回のリブランドで掲げている三本柱の一つでもある、伝統文化としての落語をアートのフィルターを通して、最終的にどのように高級食パン文化に落とし込んでいるかをぜひご覧いただきたいと思っています」

今回のコラボレーションでは、真打ち登場を題材にした三遊亭楽麻呂師匠のオリジナル小噺(こばなし)の動画や、師匠のスチール素材を使用した期間限定ポスターの展示、商品袋の下げ札を作成するなど、食パン専門店としては珍しい取り組みを行っている。三遊亭楽麻呂師匠とコラボレーションは期間限定で、今後も新たなコラボレーション企画を予定。おいしい食パンを提供するだけではなく、新しい形の高級食パン専門店を目指す。

店頭では、看板商品のプレーン食パン「翔舞(しょうま)」(800円)と大粒のサンマスカットレーズンを使った「華蓮(かれん)」(1080円)の販売のほか、食パンに合わせたい久世福商店のジャムやスプレッドも用意。鉄板の組み合わせ「あんバター」(399円)や、クセになる味わいの「海苔バター」(429円)など、食パンを食べるのが楽しくなるアイテムがそろう。

また、「真打ち登場」では、ベルコラーデ社のクーベルチュールチョコレートを使った「黒雅(みやぎ)」(カカオ、1280円)や、十勝の契約農家で栽培された希少な小豆「ゆめむらさき」と高級和三盆を使った「小町(こまち)」(あんこ、1480円)といった商品を限定で販売しているが、今後は学芸大店でも販売していく予定だ。

さらに、今後、新たなコラボレーションも計画中。コラボ内容によって、新しい商品が登場することもあるという。「新型コロナウイルスの影響で、飲食店業態よりはダメージは少なかったものの、地域によってはかなり厳しい状況にもなりました」と水野氏。今まで通りの生活ができないという不自由を感じることもある中、「せめて毎日の食卓に美味しいパンを届けていきたいという思いから、今回新規出店に踏み切りました。今後も年末～年始にかけて2店舗オープン予定です」と水野氏は話す。

既存店のリブランディングも随時進め、高級食パン専門店として新たな食パン文化を地域に根付かせることが目標という。日常的に食べる食パンと様々なコラボレーションを取り組む「真打ち登場」の今後の展開からも目が離せない。

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