『銀魂 THE FINAL』監督&監修が語る“銀魂らしさ”とは?「『銀魂』は空知先生そのもの」

2021年1月8日 20:43更新

東京ウォーカー(全国版)

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「週刊少年ジャンプ」で連載され、2019年に大団円を迎えた人気マンガ「銀魂」(著:空知英秋/集英社)。そのラストをベースにした、アニメ銀魂史上3作目となる映画『銀魂 THE FINAL』が、1月8日(金)より公開中だ。映画の公開に合わせ、監督・脚本を任された宮脇千鶴氏(アニメシリーズ3代目監督)と、監修を務めた藤田陽一氏(同2代目監督)にインタビュー。主人公・坂田銀時をはじめとした「松下村塾」の面々を軸にした今回の映画の、「常にギリギリだった」という制作の裏側や、原作とともに長年“銀魂ワールド”を描いてきたアニメスタッフが思う“銀魂らしさ”について聞いた。

“侍の魂をかけた、最後のバカ騒ぎ”と銘打たれた映画『銀魂 THE FINAL』(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会


全面協力の原作者・空知先生は「遅れてすみません、なんでもやります」


アニメシリーズの歴史が幕を開けたのは、原作連載開始から2年後の2006年。それから2018年にかけての実に12年間の間、放送のない時期を挟み、夕方から深夜に枠を移しながらも、4期にわたって放映された。第4期が終了した翌年の2019年、完全新作が制作されることが明らかに。当時はまだ原作は完結しておらず、新作の形態も発表されていなかったが、「はじめから映画も候補のひとつだった」と監修の藤田氏は語る。

アニメ銀魂といえば印象深いのが、登場人物たちがしばしば自虐的に話題にしていた、制作の裏側のシビアな現実。監督の宮脇氏が特に思い出に残っているという第4期「将軍暗殺篇」の第305話「仇」は、「前話のコンテチェックを出した後に即コンテインして4、5日くらいで描いた」最短記録だったというが、『銀魂 THE FINAL』の制作現場ははたしてどうだったのか。宮脇氏が話してくれた。

「これまで通り、ギリギリでした(笑)。常に『もう終わりだ…』と思いながらやっていましたね。本当にまんべんなく、すべてに力を入れてつくった映画だったので、(作画、美術、撮影、音響など)すべてのセクションに、“ちょっとずつ、全力で”苦労してもらいました。もちろん私も含めてです(笑)」

第305話「仇」は、映画公開記念の名エピソード総選挙でも第4位に。上位25話のフィルム風シールは入場者特典としてランダム配布される(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会


さらに、今回の映画には原作者の空知英秋先生が全面協力。といっても、映画の内容自体への要望や指摘は特になく、藤田氏によれば「遅れてすみません、何でもやります」という低姿勢ぶりだったという。「出たがりな人ではないので、そういう気持ちがないと今回ここまで協力してくれなかったんじゃないかな。でも、真面目な人なので、やるとなったらすごかったです」(藤田氏)。映画を観る人は、空知先生がどんな意外な形で協力しているのかにも注目だ。

軸は「松下村塾のメンバー」と決め、原作のラストをベースにして一本のフィルムに


今回の映画で描かれる最終決戦の舞台は、主人公・坂田銀時たちが暮らす江戸にそびえ立つ「ターミナル」。天人(あまんと)の宇宙船が発着する重要拠点だ。「実は、こんなに舞台が固定されているアニメ映画というのは珍しいんです」と藤田氏は語るが、ストーリー進行のテンポのよさに加えて、撮影・美術における色彩的な工夫もあり、観客を引き込むだけの変化に富んだ展開となっている。

幼少のころ、吉田松陽の開いた私塾「松下村塾」で出会った銀時、高杉、桂(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会


宮脇氏が映画の制作にあたって最もこだわったのは、 “アニメシリーズの続き”である最終決戦を、“一本のフィルム”としてまとめきること。「とにかく銀時、高杉をはじめとする『松下村塾』のメンバーに軸を置くことを決めて、原作の要素を整理していきました」と藤田氏。宮脇氏は、「(万事屋、真選組といった)いつものレギュラーメンバーには、ここ一番のところで頑張ってもらいました。真選組なんて、めっちゃいいところに出てきますよ(笑)」と話す。

再会した万事屋の面々が繰り広げる、「銀魂」らしいギャグシーンも(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会


象徴的な役割を果たしたのは、序盤にある松下村塾時代の回想シーン。映画全体を通して数多く描かれた、銀時らがともに過ごした幼少期や、過去の激しい戦闘を振り返る回想シーンは、大長編のラストにふさわしい感動を観客の胸に湧きあがらせる。

「今回の映画をやるにあたって、テレビアニメのやり方とは違い、回想でも新規で映像を作ろうというのは、私の中でひとつの挑戦でした。例えば記念撮影の回想シーンひとつとっても、撮られた写真を差し込むだけではなく、実際に撮るときの情景を描くことで、その成り立ちが見え、より深い感情を抱いてもらえるようにと思って作っています」(宮脇氏)

序盤から壮絶なアクションシーンの連続(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会


また、迫力のあるバトルが繰り広げられるシーンについて、宮脇氏は「実力ある原画マンを投入して、全力で挑みました」と自信を持って語る。一方で、原作にはないオリジナルカットとして描かれた“とあるシーン”について、藤田氏は「完成作を観て、『作ってよかったな』と思いました。バトルや会話だけでなく、あのシーンがあることで、キャラクターの心情にすごく入り込めるようになりましたね」と振り返っていた。

「鬼滅の刃」大ヒットでギャグが成立?物議をかもした特典イラストカード


2019年に発表された制作決定以来、新情報が解禁になるたびに、Twitterトレンドに上がるなど話題を呼んでいる『銀魂 THE FINAL』。連載終了後もファンが離れず、原作・アニメともに厚く支持されている印象だが、意外にも制作サイドがその熱量を感じる機会は少ないそう。

「結局、家とスタジオの往復しかしていないので、世間の動向がわからないんですよね。そうでないとアニメが作れない。だから、公開初日だったり、こっそり映画を観に行ったときだったり、舞台挨拶だったりというのが、ファンの熱気を感じられる貴重な機会です」(藤田氏) ※1月9日(土)に予定していた公開記念舞台挨拶は、1回目が中止、2回目が無観客・ライブビューイングのみでの開催に変更

特にネットの話題をかっさらったのが、入場者特典として発表された、空知先生描き下ろしの「炭治郎&柱イラストカード」。「銀魂」と同じく週刊少年ジャンプにて連載され、映画が歴史的大ヒットを遂げるなど社会現象化している「鬼滅の刃」に堂々と“便乗”する、ある意味「銀魂」らしいといえる姿に、ファンは歓喜した。

【画像】空知先生が描く「炭治郎&柱イラストカード」(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会


「宣伝はワーナー・ブラザースさんにお任せしていたので、我々も全然知らなかったですね」と宮脇氏。ただ、映画のアフレコで空知先生に会った際、たまたまラフを見せてもらったとのことで、藤田氏は「超がんばって真面目に描いてましたよね。ガチで上手い。『なんでだよ』『いいのこれ?』って言ってましたけど(笑)」と回想していた。

映画の公開日である1月8日(金)0時には、公式Twitterアカウントの呼びかけにより、「#銀魂は永久に不潔です」をつけて一斉にツイートすることで、トレンド1位を目指す企画が実施。見事1位を獲得し、朝8時時点で10万件を超えるツイートを集めた。

情が深けりゃ憎まれ口も叩く、だけど嫌いになれない…「銀魂」の奇跡的バランス


原作とともに“銀魂ワールド”をつくり上げ、老若男女のさまざまなファン層に愛されてきたアニメ銀魂。時事ネタやパロディネタを豊富に展開したり、実写も巻き込んでメタフィクションネタを披露したりと、“なんでもあり”のアニメ銀魂だが、「これだけは譲れない」という“銀魂らしさ”とは何なのか。

「言葉にするのは難しいですね。お約束ごとというか、文法のようなものはあるんですけど、それを決めてしまうとまたそうじゃなくなっていくみたいなところもあって。“なんでもあり”だけど、なんでもありじゃないんです」(宮脇氏)

一方で、藤田氏は原作者の存在から“銀魂らしさ”を語る。「実際に空知先生に会った人はみんな感じると思いますが、『銀魂』は空知先生そのものだなと思っています。こんなに作者と作品が密接にリンクしているタイトルは、ほかにないんじゃないかと。情も深けりゃ憎まれ口も叩く、むちゃくちゃなことをやってるのに、なぜか嫌いになれないという、あの人の不思議なバランスが、そのまま『銀魂』という作品になっているんです」

長年、アニメ銀魂に携わってきた2人が語る“銀魂らしさ”(C)空知英秋/劇場版銀魂製作委員会


最後に、完成した映画『銀魂 THE FINAL』をどんな人に届けたいか、そしてファンに対してどんなメッセージを伝えたいか、2人に聞いた。

「全方向、どんな人にでも観てもらいたいと思って、あがきながら作りました。初見の人には『なんだかよくわからないけど面白かった』と感じてもらい、過去に原作やアニメを見ていたけど最近は離れていた人には『こんなことになってたなんて!』と驚いてもらい、ずっと追いかけてきてくれている人には『堂々と最終回を迎えたんだね』と祝福してもらえればいいなと思っています」(宮脇氏)

藤田氏は、「1人10回くらい観にきてほしい(笑)。アニメ銀魂がはじまってからの15年分のお金を、最後に使ってくれれば。まずはムビチケを10枚買って、ドブに捨てるところからです。それで、当日改めてチケットを買って観にきてもらえれば最高ですね」とコメント。「もちろん、私も同じ気持ちです(笑)。10枚といわず、20枚でも30枚でも!(笑)」と、宮脇氏がラストを締めくくった。

※本記事の取材は緊急事態宣言発令前に実施したものです。
※新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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