御茶ノ水を走る中央線ジオラマが「本物同然」と話題に!既製品越えの自作パーツで都市風景を再現

東京ウォーカー(全国版)

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レンガアーチの上の高架線を走る中央線、東京に行ったことのある人なら見覚えのある風景を再現したジオラマがTwitterで話題だ。鉄柵の歪みやサビ具合、電線や配管のたわみに至るまで、東京の景色を精緻に再現したジオラマには1.1万件以上のいいねがつき、コメントでも「素晴らしい完成度ですね!」「本物と思いました」と多くの反響を呼んだ。しかも驚くべきことに、そのジオラマは鉄道車両とレール以外ほぼ全てのパーツを自作したものだというのだ。作者のCityscape Studio(@Cityscape_Std)さんに、自作ジオラマを作り始めたきっかけや作品へのこだわりを聞いた。

リアルすぎるとTwitterで話題となった中央線ジオラマ画像提供:Cityscape Studio(@Cityscape_Std)


「お金がない」から始まった自作ジオラマ、今では既製品を越える精密さを追う


――Cityscape Studioさんがジオラマ制作をはじめたきっかけを教えてください。
「私がジオラマ制作に興味をもったのは、3~5歳くらいの幼少期の頃だったと思います。保育園では砂場で鉄道が通るトンネルを再現するのが最も楽しい遊びでした。家ではプラレールやトミカを使って街を作るのが大好きで、それらが広い意味でのジオラマ制作だったと今になって思います。

実際にジオラマと呼ばれるような精密な作品を作り始めたのは高校生の頃で、ネット上でジオラマモデラーの方々のブログなどを見て触発されたのがきっかけです。大学時代にはジオラマとは関係のない部活に熱中したことで制作は中断していましたが、コロナ禍により自宅待機を余儀なくされたことで本格的にジオラマ制作を開始しました」

――既製品をほとんど使わずジオラマを制作されているとのことですが、こうした手法をとっている理由は?
「当初は、お金がないというのが最大の理由でした。ジオラマに使う既製品は精密であるが故に非常に高価で、リアルな風景を作るためには沢山のパーツも必要です。そのため、自作することで制作費用を抑えていました。現在も、既製品では再現できない精密さや、一から設計することの楽しさから、多くのパーツを自作し続けています」

ケース上に制作しているので持ち運びも可能。青空に浮かべるとさらに現実の風景に近づくよう画像提供:Cityscape Studio(@Cityscape_Std)


――中央線の風景や箱崎JCTなど、実在する都市の風景を題材に選んだのは何故でしょうか。
「自分が好きだったから、というだけの理由です。御茶ノ水や箱崎JCTは私が好きな風景でした。私が高校1年生の時、御茶ノ水や箱崎JCTを訪れるため、青春18きっぷを使って夜行列車で一人東京へ行った思い出もあります」

「私はごちゃごちゃした実在の都市風景が大好きです。時代を追うごとに改修が加えられたりした結果、形成された複雑に絡み合う人工物をとても魅力的に感じるためです。それが現代の日本の都市風景の魅力であり、今後再開発により減っていくものでもあります。そんな消えゆく風景をジオラマとして残していきたいという思いもあります」

ライティングで深夜の首都高の雰囲気に画像提供:Cityscape Studio(@Cityscape_Std)


こだわりは“制作過程の効率化”


――自作にあたり、3Dプリンターなどの技術はジオラマ制作の過程で身に着けたのでしょうか?
「CADや3Dプリンターの技術は、ジオラマ制作を通じて身につけた部分も多くありますが、基礎的なものづくりの技術は大学の部活を通して身につけました。私は大学で、人が乗り込み最高速度100キロ以上でレースをするソーラーカーの設計製作を行っていました。そこでCAD設計などの技術を学び、現在はジオラマ制作にも活かしています。ただ、大学で使っていた設計ソフトや機械は高価で使えないなどの理由があり、別のソフトを一から勉強したりネットの情報を頼りに独学で学んだ部分もたくさんあります」

箱崎ジャンクションジオラマ制作過程画像提供:Cityscape Studio(@Cityscape_Std)


――ちなみに1パーツ、そして1作品全体の制作にはそれぞれどのくらいの時間をかけているのですか。
「作品全体の制作期間は、平均して1カ月ほど、最新作の中央線のジオラマは3週間です。これは比較的短い期間だと思います。CAD、3Dプリンター、レーザー加工機を使用することで、時間のかかる繰り返しの加工作業を極力自動化し、短期間での完成を実現しています。ジオラマ内に使用する単純な形状の6階建てビルであれば、数日で完成させたこともあります」

――作品制作でこだわっていることを教えてください。

「こだわっているのは効率的な制作過程です。普通は完成した作品の中でこだわったポイントを答えるべきかもしれませんが、私の場合は完成した作品を見ることだけでなく、その制作過程を楽しむことがジオラマを作る大きな理由でもあるため、こだわりの多くはその制作過程にあると思っています。3Dプリンターなどの機械を導入したのも、いかにリアルに見えるジオラマ作品を短期間で作るかということにこだわったからです」

中央線ジオラマ制作風景。塗装も手作業画像提供:Cityscape Studio(@Cityscape_Std)


「短期間での作品制作は、たくさんの作品を生み出すことができると同時に自分の技術レベルアップにも繋がるので、将来的にはよりリアルな作品作りにつながると思っています。また、ジオラマ制作は設計、加工、組立、塗装など多くの工程が含まれるため、さまざまな技術を活用しながら作ることで制作過程をより楽しむことができます。私のYouTubeチャンネルではその制作過程を他の方々にも楽しんでいただくべく、制作動画をアップしています」

ジオラマの魅力は“3次元であるがゆえの楽しみ”


――今後作ってみたい作品や、挑戦したいものがあれば教えてください。
「今後挑戦したいことは、ジオラマ内の動きや光を制御し組み込むことと、リアルと空想が融合した作品を制作することです。1つ目の動きや光について、具体的には自動車の走行や信号機の制御など、実際の街中に存在する動きや光をリアルに制御してジオラマに組み込みたいと考えています。現在は、指の第一関節くらいの大きさである1/150スケールのミニカーにバッテリーとモーターを積んで走行させるシステムを設計中です。

2つ目のリアルと空想の融合は、人間がいなくなり緑に覆われた都市であったり、通常は降ることがない大雪が降った都市の風景など、ジオラマだからこそ再現できる風景を作ることです。通常ではあり得ないがもしかすると……、と思えるような風景をジオラマで表現してみたいという思いがあります」

実は手のひらに載るサイズのジオラマ。「渋谷スクランブル交差点再現プロジェクト」の第一弾とのこと画像提供:Cityscape Studio(@Cityscape_Std)


――最後にずばり、ジオラマ制作の魅力はどこにありますか?
「ジオラマの魅力は、完成した作品が3次元であるというところです。ジオラマは3次元の絵画であるという表現をされることがありますが、2次元の絵画とは異なる点が私にとってジオラマの最も魅力的な部分であると感じています。上から巨人になった気分で俯瞰して見るも良し、下から見上げてその世界に入り込むも良し、見る角度によって違った風景が見えてきます。また、3次元であるがゆえの制作工程の複雑さが制作の楽しみにつながっています。

ただ、今後はカラー3Dプリント技術が発達し、実際の街の3Dデータから一瞬でリアルなジオラマが印刷できる時代となるはずです。しかし、さまざまな技術を組み合わせて作ったジオラマと一発でプリントされたジオラマ、その違いは制作過程であり、それをいかに楽しむかがジオラマ制作の醍醐味だと思っています。今後も、さまざまな技術のいいとこ取りをして、その制作過程を楽しみながら作品を作り続けていきたいと思います」

Cityscape Studioさんは Twitter をはじめ、 YouTubeチャンネル でも制作過程を公開中。作品の完成度はもちろん、オンリーワンのジオラマが生まれるまでの楽しさにも注目だ。

取材協力:Cityscape Studio(@Cityscape_Std)

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