佐々木蔵之介が贈る11年ぶりの企画公演!中国歴史ファン必見の舞台を地元京都で‼

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演劇ライターはーこによるWEB連載「はーこのSTAGEプラス」Vol.94をお届け!

雍正帝(蔵之介)はオルク(中村蒼)を紫禁城へ招じ入れる撮影:石川純


佐々木蔵之介が2005年に立ち上げた演劇ユニット「Team申」(ちーむ・さる「申年生まれだから」のネーミング)。蔵之介がプロデュースし、これまで番外編の朗読劇を含む7作品を上演、今回11年ぶりに「Team申」第5回目の本公演『君子無朋~中国史上最も孤独な「暴君」雍正帝~』を上演する。7月に東京から仙台、石川、広島、福岡、長野、新潟と巡演、いよいよツアーラストの地元・京都公演へ。

「お客様と緊密な距離で、息遣いまでも互いに感じられるような舞台を、今までご一緒したことのなかった新しい才能と共に創りたい」という思いで主宰して来た「Team申」。その中でも今回は、ちょっと毛色が違う、舞台としてあまり取り上げられたことのない中国皇帝もの。しかも、これまであまり知られていない、清朝・第5代皇帝、雍正帝(ようせいてい)を取り上げる。

タイトルの『君子無朋』は雍正帝即位初年度の宣言から。「ともなどいらない」と宣言し、天子の使命に命をささげた男。およそ300年の時を経て描く、実在した雍正帝の謎と秘密に迫る物語だ。

きっかけは、蔵之介が出演した20年3月放送のテレビ番組『中国王朝 英雄たちの伝説』(NHKBSプレミアム)。ロケで行った北京で雍正帝のユニークさに惹かれた蔵之介が「この人、おもしろい。僕もぜひこの人に光を当てたい」と舞台化を提案した。

脚本は番組ディレクターの阿部修英に初戯曲を依頼し、演出は劇団桟敷童子を主宰する東憲司に、そして初タッグとなる中村蒼ら実力派5名で作り上げる意欲作。先日、ツアー半ばの福岡公演を控えた蔵之介が来阪、本作と雍正帝の魅力や京都公演への思いを熱く語った。

【雍正帝のこと】
18世紀の中国。主人公は清朝・第5代皇帝、雍正帝(1678~1735、日本では徳川八代将軍・吉宗とほぼ同時代)。父は、中国全域を支配下に治め、61年間皇帝を務めた康熙帝(こうきてい)、息子は60年間在位した乾隆帝(けんりゅうてい)。“大清朝時代”と呼ばれる中国繁栄の歴史を築いた著名な2皇帝の間で、45歳から13年間の治世を行い、父の偉業の後に多民族国家をまとめて経済基盤を形作り、後世につないだ人物だ。

その仕事ぶりは、清の始皇帝から歴代200人を数える皇帝の中で最も勤勉。紫禁城に暮らした皇帝で唯一玉座に座ろうとせず、朝4時に起床、24時まで執務室にこもって1日20時間働き続ける日々に「過労死」したと言われる人。仕事の内容は、残された膨大な手紙に記されている。中央のエリート役人を無視して、地方の末端役人223人とやりとりし続けた2万通におよぶ手紙。そこにあふれるのは、およそ皇帝にはふさわしくない、罵詈雑言と叱咤激励の嵐。

「パワハラみたいなもんですね。細かい数字にこだわったチェックの朱筆が残ってます。もう赤ペン先生。でも、そうしたからこそ、地方官が育った。上の官僚で明らかに賄賂をもらってるヤツらはバンバン粛清していくけど、地方の末端にいる現場の人間は切り捨てずに育てた。それが次の皇帝から後々の時代に生きたんですね。独裁ですし、暴君かもしれません。でも、これはひとつの見方なのではと思います」(蔵之介)

【写真】Team申は愉快な芝居を目指しているので、一緒に芝居を楽しんでいただければ!と語る佐々木蔵之介


【これまで演じた“暴君”との違い】
これまで『マクベス』や『リチャード三世』などで、歴史上の暴君と呼ばれる人物を演じてきた蔵之介だが、雍正帝は「スケールが違う」と話す。「中国の皇帝の中で最も口が悪く、最も勤勉で、最もユニークで、最も孤独な皇帝」。そして、ただ1国ではなく、多民族国家で言葉も違う広大な中国をトップ1人が治める。「この責任の違いは今まで演じたことがなかったです」(蔵之介)。

また、『マクベス』や『リチャード三世』は玉座に座るまでが物語の肝。座ったあとは守るだけだが、この作品は違う。「そのあと何をしたか、です。先王が領土を大きく広げて、清国は経済面などいろいろな危機に直面していた。その時に雍正帝は、この国の未来をどうするかと考えたんです。さらに、物語にはどうやって玉座に座るか、というミステリーもあります」

【物語について】
「玉座に着いてから、おそらく死んだであろうまでの期間と、彼が幼少の頃どんなことを思い、過ごして来たかということを回想で入れながら。彼は45年間、仕事せずにずうっと本だけ読んでいた。世界中の本を読んで、ものすごい知識量があり、すべて過去の歴史から学んでいたので、それがスピード感やトップダウンといった治世に生きたんですね。

で、引きこもりのスーパーニートだった彼が、ほかに多くの皇子がいた中で、なぜ皇帝になれたのか。もともと誰も皇帝になると思っていなかったのに、彼が皇帝になぜなったのかというミステリーも解き明かしています。途中からこのミステリーが軸となり、最後はドンデン返しになる。お客様からは『見事にオセロを返してくれた』という感想をよくいただきます」

【見どころ】
「雍正帝は治世13年間を、紫禁城にある養心殿と言う、2LDKくらいの執務室からほとんど出ずに仕事をしていたそうです。そこで、芝居ではこの小さな部屋を舞台にして、全国の地方官と手紙のやり取りで、広大な中国のスケール感を出せたらと思いました。

さらに、この地方官との手紙のやり取りこそが、この『言葉』こそ、映像ではなくて、演劇的に絶対おもしろくなるはずだと思って、それを芝居に組み込んで。その言葉の、手紙の応酬がバトルみたいなアクションシーンになっているんですけど、体ではなく頭脳と集中力を使うので、毎回試されてる感じ。でも、前半と後半の、そこが見応えがあるところで、お客様は、すごく楽しんで観ていただけているなと思います」

清朝・第5代皇帝雍正帝を演じる佐々木蔵之介撮影:石川純


【中国時代劇のおもしろさ】
「まず特筆すべきは、辮髪(べんぱつ 頭髪を一部残して剃り上げ、残りの髪を伸ばして三つ編みにし、後ろに垂らす髪型)。なかなか日本で中国劇をやるっていうのも、自分も想像もしていなかった。去年、NHKの大河ドラマで秀吉をやる時に床山さんに辮髪のことをずっと相談していました(笑)。髪が腰あたりまであって、前に垂れた時にどう直すかとか、所作を知らない。中国時代劇は僕も初めてだし、お客様ももの珍しいだろうと思うので、観ていただければと思います。

最初は辮髪、多分すっごい気になりますけど、ま、すぐに。すぐかな?(笑)、普通に観られると思うので楽しみにしてください。ほかにもいろいろな所作があって、例えば礼をするところ。『万歳万歳、ばんばんざい!』って言うし、皇帝にはひじから指の先までピタッと床に付けて、頭を床にゴンゴンゴンって打ち付ける。その音を皇帝に聞かせるように礼をさせるんですって。これ(中村)蒼くんがやるんですが、稽古中はやるなって言ってました。でも本番ではゴンゴンやってます」

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