「ココアシガレット」が禁煙応援グッズになった理由とは?作って食べて、実際に禁煙してみた

2021年11月19日 10:52更新

東京ウォーカー(全国版)

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2021年10月1日の「たばこ税増税」にともない、タバコがまた値上がりした。これを機に、禁煙を検討し始めた喫煙者も多いのではないだろうか。

タバコを数時間吸わないだけで落ち着きを失うウォーカープラス編集部員も、タバコの値上がりを受けて禁煙を決意するが、禁煙はなかなか難しいもの。そこで筆者が「ちょっとこれでやってみてよ」と彼女に紹介したのが、「ココアシガレット」で有名な駄菓子メーカー・オリオン株式会社が販売する自販機型の「禁煙応援シガレット組立販売キット」(1500円税抜)だ。

ココアシガレットは、タバコのような箱に入ったシガレット型の砂糖菓子。くわえればハッカの香りとココアの風味が口いっぱいに広がり、甘さもありながら爽やかな味わいだ。実はこのお菓子、「大人への憧れを叶える」が昭和26年(1951年)発売当初のコンセプト。少年少女たちがタバコを吸う真似をして「早く大人になりたい」という願いをひと足先に叶えるための商品だった。

しかしそんなコンセプトはどこへやら、現在は打って変わって禁煙を応援しているのである。一体なぜなのだろうか。

そんな疑問を素直にぶつけるべく、オリオン株式会社 企画部の高岡五郎さんに話を聞いた。また、編集部員が実際に禁煙応援シガレット組立販売キットを使い、禁煙に挑戦する様子もレポート!果たして、彼女は禁煙を成功させることができるのか⁉

禁煙応援シガレット組立販売キットのパッケージ。ココアシガレットと同じデザインがうれしい


まずは「禁煙応援シガレット組立販売キット」を作ってみる

さっそく「禁煙応援シガレット組立販売キット」の組み立てに入る編集部員。大きさは高さ約30センチ、横幅約20センチ、奥行き約5センチと、13インチのノートパソコンくらいでけっこう大きめ。紙製のため軽いものの、なかなかのボリューム感だ。

デザインもココアシガレットのパッケージによく似た、レトロな雰囲気。編集部員は「かわいいもの好きやレトロ好きな人なら全然部屋に飾っておけると思う」と話す。

上面には「タバコを吸うよりこの一本。オリオンは貴方の禁煙を応援します!」のキャッチコピーが。「プレッシャーがやばい」と編集部員


キットの内容は、本体部品、説明書、そしてココアシガレットが6つ。説明書をパッと広げると、かなりの数の工程があることに「20年ぶりぐらいに工作するから、ちょっとやばいかも」と声を漏らした。

箱をあけると組み立てに必要なセットが。開けた途端から1本食べたくなってしまう

説明書には組み立てに必要な工程が細かく書かれているので、迷うことなく作ることができる


実際に作り始めると、どちらかというと手先が器用な編集部員も少し苦戦。山折り、谷折りと小学生の頃に作ったペーパークラフトを思い出しながら、丁寧に組み立てていく。このキットの優れている点は、のりやハサミなどの道具を何も使わなくても作られるところ。購入してすぐに組み立てに取り掛かれる。

組み立てた本体に6つのココアシガレットを入れる「補充作業」を終えたら、カバーをつけてできあがり!達成感からか、最後の一服を始める編集部員。「これで最後か…」と言いながら煙を吐く彼女の表情からは寂しさと不安感がにじみ出ていた。

完成間近!シガレットを補充していく


しかしここで終わりではなく、もう1つ大事な作業が。この自販機からシガレットを出すときは、成人識別カード「taspo(タスポ)」のパロディである禁煙応援パスポート「nospo(ノスポ)」を差込み口に入れる必要がある。免許証のように名前と似顔絵を入れるスペースがあり、「似顔絵は自信あるで!」と意気込んで描いた絵を貼り付けた。編集部員の微妙に似ていないキュートな絵が貼られ、これで完成!

完成。本物の自販機のような見た目に感動!

「nospo」に似顔絵を貼ってより本格的に


キット完成!=禁煙開始!気になる結果は?

作成を始めて約40分。ついに完成したキットにカードを差し込むと、カシャンと音をたててココアシガレットが落ちてきた。実際の自販機にかぎりなく近い使用感に、編集部員も感動!

そしてここから禁煙開始。彼女は手早く自販機から出したシガレットを開け、ボリボリと味わっていく。この時だけは「タバコが恋しい」という感情よりも「早くココアシガレットを食べたい」という思いのほうが強そうに見えた。

いざ購入!カードを入れるとシガレットが落ちてくる仕組み。クオリティがとにかく高い


その後、口が寂しくなってはカードを挿してシガレットを出してはポリポリ食べていた編集部員。最終的には誘惑に負けてしまったものの、初日は9時間の禁煙に成功!さすがに一気にやめるというわけにはいかなかったものの、これまで30分~1時間に1本、およそ1日1箱を吸っていたヘビースモーカーぶりからは考えられない減煙だ。

「自販機を作る工程がちょっと難しくて、子供1人で作るには大変かもしれません。大人でも40分かかっているので、家族やお友達と一緒に作るのがおすすめですね。あと子供の頃の記憶よりも甘くないように感じました。ハッカ入りで気分も爽やかになるので、メンソールを吸っていた人にはぴったりかも!」

後日、「この日からタバコの量を1日10本未満に抑えることができました。ただ、ココアシガレットの減りはすごいです」と報告が。完璧に禁煙とはいかなかったものの、しっかりと手助けにはなっているようだ。

余談だが、ココアシガレットを食べる以外に彼女が試した方法は「コンビニに行かないようにする」「電子タバコの本体の電源を切る」「コーヒーを飲まないようにする」の3つ。ちなみに禁煙3日目に電話をかけたところ、イライラこそしていなかったものの少し元気がなかったのが印象的だった。タバコ、おそるべし。

ココアシガレットが禁煙を応援するようになった理由

ココアシガレットは昭和26年(1951年)に発売されたロングセラー商品。発売当初は、少年少女の「大人への憧れを叶える」がコンセプト。このようなタバコ型のお菓子は「シガレット菓子」と呼ばれ、さまざまな会社から販売されていたが、現在はオリオン株式会社が販売するシガレットシリーズのみ。時代の流れによって禁煙が推奨されるようになり、「次第にシガレット菓子は姿を消していった」と高岡さんは話す。

「1951年に発売されたココアシガレットは、御年70歳になります。もともとは大人の真似をしたがる子供に向けて販売されたお菓子です。まだテレビが家庭になかった時代、一家で最も威厳があった『お父さん』のタバコを吸う姿を真似したい、早く大人になりたい!という大人への憧れを叶える商品として販売されました」

ココアシガレットは昭和26年(1951年)誕生のベストセラー商品。この箱は20円の時代のもので、現在は30円(税抜)

昭和26年(1951年)誕生当時のココアシガレット。当時は定価5円だったという


タバコはもともと国が製造していたもの。明治時代後期に国家の財源確保のため、タバコ産業は政府によって国営化された。そのため日本全国で喫煙文化が広まったが、時が経つにつれて肺がんなどの健康問題が浮き彫りになるようになり、禁煙や分煙が推奨されるようになったと言われている。昔は国の財源を支えたタバコだったが、今や「体に良くないもの」となった。

この時代の流れとともに、「大人への憧れ」がテーマだったココアシガレットも方向転換。生誕60年を迎えた2011年に「オリオンは貴方の禁煙を応援します!」というキャッチコピーを掲げ、デザインや味は昔と変わらず、禁煙応援グッズに生まれ変わった。

昭和29年(1954年)のココアシガレットのパッケージ。現在のココアシガレットのデザインはこの頃に生まれた

昭和29年(1954年)のココアシガレットのパッケージの裏。当時は10本入りで10円


「禁煙応援シガレット組立販売キット」が大ヒット!

禁煙を応援するオリオン株式会社が発売したのが、今回編集部員が挑戦した「禁煙応援シガレット組立販売キット」だ。もともとは、同社から販売されているロングセラー商品「ミニコーラ」が自販機から出てきたらおもしろいのでは?という発想から、親子で作るミニコーラ自販機キットが生まれた。

「これを売り出したところ大人気だったので、ココアシガレットでもできるのではないかと思いました。大阪のデザイン学校の生徒たちにアイデアを募り、nospoで出てくる仕組みの組み立て販売キットの製造に至りました。6月の父の日に贈るプレゼントとしても喜ばれ、子供がお父さんと一緒にキットを組み立て、親子で楽しく禁煙できる機会を提供しています。今では禁煙を応援するお菓子として、ココアシガレットが認められているように感じます」

発売当時のミニコーラ。こちらもシガレットと同じく、コーラのパロディとして出された商品

現在販売されているミニコーラ。QRコードがついて簡単にサイトにアクセスできるのが現代的


贈り物などに大人気で、時には品薄になってしまうことも。YouTuberのセイキンが自身のチャンネル内で紹介したこともあり、現在も売れ続けているという。

2011年より禁煙応援キャンペーンを開始して10年。楽しく禁煙できるお菓子としての地位を確立しつつある。「大人への憧れ」から「禁煙の応援」へ。ココアシガレットはパッケージを一切変えず、コンセプトを変えて昭和から平成、そして令和になった今も多くの人々を楽しませている。

今やおしゃれアイテムに!?挑戦し続けるココアシガレット

一時期はその見た目から「喫煙を助長している」とクレームが入ることも多々あったそうだが、現在ではデザインが「レトロかわいい」と若者にも大人気。ミュージシャンのあいみょんが口にくわえている姿がSNSで話題になり、マネをする人が続出したそうだ。

ココアだけでなく抹茶やコーラ、エナジードリンクなどさまざまな味で私たちを楽しませてくれる「シガレットシリーズ」。アニメやお酒、ファッションブランドとのコラボなど、誕生70年にして今もなお新しいことにどんどん挑戦している。

オリオン株式会社の社章。星の間の斜線は社外の協力を表し、ORIONの文字は社内の役員や従業員を表している。「内外の協力を得てオリオン星座のようにいつも光り輝いていたい」という意味をこめてつけられた


「ありがたいことにココアシガレットはロングセラーとなりました。タバコのパロディで生まれた商品でしたが、SNSの発展に伴って『かわいい』『おしゃれ』を叶えるお菓子になったように感じます。これからもパッケージやパロディで皆様に愛される商品を作っていきたいです。見て楽しい、もらってうれしい、食べておいしい、また欲しい、の『4C』を大切にし、長く皆様に愛される商品をこれからも売り続けられることを示したいです。目指すは『100年売れる商品』です!」

とあるウィンナーのパロディ「あるとちゃいまっせん」。「以前は居酒屋でアイデアが生まれることが多く、みんなで楽しみながらアイデアを出し合ってます」と高岡さん


来る2025年の大阪万博に向け、「オリオンは貴方の禁煙を応援します!」というコピーが「let'sココシガBREAK!!」というロゴデザインに変わる。世界中の禁煙をがんばる人が、ココアシガレットで楽しく禁煙してほしいという願いがこめられているそうだ。

日本をはじめ、世界中で話題になっている「喫煙」と「禁煙」。「タバコを吸うよりこの1本」と、ココアシガレットが世界中で喫煙者の救世主になる日も近いかもしれない。

取材・文=福井求

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