花の美しさを閉じ込めるー“神の手”を持つ作家が語る、ミニチュアフラワーの世界

東京ウォーカー(全国版)

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植物や動物、フードなどを小さなスケールで再現したミニチュアアートが近年ブームになっている。ミニチュア関連の展覧会や制作ワークショップなども各地で開催され、SNS上ではミニチュア作家によるさまざまな作品を見ることができる。

ヤン・フランス・ファン・ダール絵画の立体模写制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


そんな中、精巧なミニチュアフラワーを長年制作し「神の手」とまで称されているのが、MiniatureRosy 宮崎由香里さんだ。宮崎さんが作るミニチュアフラワーは、生花そっくりの生き生きとした美しさで人々を魅了している。作品や作り方をまとめた著書「ミニチュアフラワーレッスン」(主婦の友社)も話題に。そんな宮崎さんに、作品作りの背景や思いなどを聞いた。

――まずは、宮崎さんのプロフィールを教えてください。

【宮崎さん】北海道出身、関東在住です。美容師として勤務してきましたが、コロナ禍をきっかけに現在はミニチュア作りに専念。ミニチュアフラワー作りのオンラインレッスンや受注販売などを行っています。

【写真30枚】思わずうっとり眺めてしまう宮崎さんの作品。アレンジメントにも独自のセンスが光る制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――ミニチュアフラワーの制作を始めたきっかけを教えてください。

【宮崎さん】ドールハウスの中にお花を置きたいと思い、ほとんど独学でミニチュアフラワーを作り始めました。元々1996年頃から個人で育児系のホームページを運営していたのですが、2002年頃からミニチュアのホームページを立ち上げることに。当時はミニチュアの作り方もわからず試行錯誤していたので、ミニチュア作りをしている仲間とネット上で楽しくやり取りしながら作り方を勉強していきました。

アプリコットカラーのコスモス制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――どんな思いで作品作りをされているのでしょうか?

【宮崎さん】今はInstagramやTwitterに作品を投稿していますが、私が作った小さなお花を見て少しでも幸せな気持ちになってくれたらいいな、という願いを込めています。また、「ミニチュアフラワーを作ってみたいけれど作り方がわからない」という人に少しでもお役に立てたらと、YouTubeで作り方も発信しています。

繊細な藤の花をミニチュアで表現制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――ミニチュアフラワーの魅力を教えてください。

【宮崎さん】花が蕾から満開になり散っていく過程は、どの瞬間もその時々に美しさがあります。その中でも、ミニチュアフラワーは自分が「ここが好き!」と感じた一瞬を閉じ込めておけることが1番の魅力ですね。どうしても細かい作業が多いので制作は大変ですが、できあがった時の達成感がたまりません。

1/12スケールのクリスマスローズ。本物と比べてもこの精巧さ!制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――題材となるお花の種類などはどのように決めているのでしょうか?

【宮崎さん】フラワーショップや園芸店へ出かけて本物のお花から刺激をもらったり、SNSなどの投稿を見て、美しいと感じたお花を作っています。

――これまで何種類くらいのミニチュアフラワーを制作しましたか?

【宮崎さん】正確な数はわかりませんが、たくさん作ってきました。初めて挑戦するお花の場合は作り方から考えますが、毎回ワクワクします。作る前に段取りを頭の中でシュミレーションしてみるのですが、想定通りにうまく作ることができた時は本当にうれしいです。

30本のカサブランカ。香りまで伝わってきそう制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――ミニチュアフラワーはどのように作られているのですか?

【宮崎さん】主な材料は樹脂粘土です。基本は粘土に絵の具を練り込んでから作りますが、組み立てた後に着色することもあります。お花の種類によって作り方が異なりますし、制作方法によって仕上がりも変わってくるので、いろいろと試すのがとても楽しいです。

――ひとつの作品が完成するまでに、どれくらい時間がかかるのでしょうか?

【宮崎さん】例えば、バラを作るのに30分ほどかかります。実際は複数をまとめて作っているので、1本だけ作るとしたら、もっと時間がかかるかもしれません。花束の場合は2週間から1カ月近くかかるものもあります。

本物より美しい!?ロゼット咲きのバラを細部まで表現制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――現在はミニチュア作りに専念されているとのことですが、ミニチュア作りを始めてからの生活の変化についてお聞かせください。

【宮崎さん】趣味としてミニチュアを制作していた頃から、ミニチュア作りが楽しすぎて時間を忘れて作り続けることもありました。結果、いつも時間に追われていたように思いますが、夫が協力してくれました。今、ミニチュア作りが仕事として成り立っているのは周りの方々のおかげなので、日々感謝の気持ちでいっぱいです。

花のドレス。技術はもちろんその世界観にもファンが多い制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――一番気に入っている作品を教えてください。

【宮崎さん】どれもお気に入りの作品ばかりで、ひとつを選ぶことは難しいですね。それぞれに思い出があって、作品を眺めていると制作していた当時の気持ちや聞いていた音楽、見ていたドラマのシーンなどが頭の中に蘇ります。どの作品も、私の人生の一部だと感じています。

――一番反響が大きかった作品を教えてください。

【宮崎さん】オランダの画家、ヤン・フランス・ファン・ダールの絵画を立体化した作品です。今まで2種類制作しましたが、どちらもとても喜んでもらえました。

ヤン・フランス・ファン・ダール絵画の立体模写制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里

海外の作家による模写作品と並べるとその再現性に驚く制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――すばらしいですね!一方で、作ったけれどボツにした、という作品はあるのでしょうか?

【宮崎さん】実はたくさんあるんです…。が、ボツではなく“制作途中で止まっている”とも言えるので、いつか再開したいですね。

――作品制作だけでなく、ミニチュアフラワーの普及にも取り組んでいらっしゃる宮崎さんですが、今後の目標を教えてください。

【宮崎さん】ミニチュアフラワー作りの楽しさやできあがった時の達成感を、もっと多くの人に知っていただきたいと思っています。今後は、初心者の方にも受け入れられやすいレッスンを増やしたり、作り方だけでなく飾り方なども共有できたらいいなと思っています。

定規と並べた花畑制作・写真提供/MiniatureRosy 宮崎由香里


――ありがとうございました!

取材協力:MiniatureRosy 宮崎由香里さん

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