“丸シール”を駆使した夜景がすごすぎる!思わず見入ってしまうアートの数々と先駆者が語る魅力を紹介

東京ウォーカー(全国版)

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大きな作品の場合1カ月以上かかる

――得意なジャンルはありますか?

【大村】丸シールアートであれば、これまで夜景作品を多く手掛けてきたので、夜景の表現はかなり慣れてきましたが、未だ得意と思うことはあまりないです。好きということも特別なく、そもそも丸シールアートというジャンルが大好きで極めているということではないので、いつも悩みながら試行錯誤しています。

「ケロヨンと夜景」2021年制作・写真提供/大村雪乃


絵を描くというジャンルであれば、絵はそもそも私にとってとても難しく、「これなら描ける」というものはありません。いつも何を描こうかという点で悩みます。毎回難しいと感じています。

「道頓堀」2021年制作・写真提供/大村雪乃

「Taxi Driver」2021年制作・写真提供/大村雪乃


絵に限らず、好きなこと、得意なことであれば編み物です。最近着ているセーターはすべて手編みですね。

――ひとつの作品を作るまでどれくらい時間がかかりますか?

【大村】横幅1.5メートル縦幅1メートルほどの大きな作品なら1カ月以上。横幅50センチの作品は2週間ほどです。

「ノートルダムのために」2019年制作・写真提供/大村雪乃


――各方面での反響をどのように捉えていますか?

【大村】わかりやすい表現なので、受け入れてくれる人はいるという期待感はありましたが、国内のみならず海外でも反響をいただくとは到底思っておらず、今もこのように仕事をいただくことに大変驚きながら過ごしています。

「東京駅午後八時」2017年制作・写真提供/大村雪乃


加えていうなら、作品がすでにひとり歩きしている気配も感じていて。例えば、初対面でも作品のことを説明すると8割の人が見たことがあると言ってくれます。そのため、作品の価値を守るために、作品作りをやめてはいけないという覚悟を日々感じております。

――ターニングポイントは?その後生活に変化はありましたか?

【大村】2012年の「TOKYO MIDTOWN AWARD」で受賞したことが起点となりました。2013年に大学を卒業し、これからどうしようと思い始めた時にお仕事をいただけたので、すぐ自営業として就業できたのは大変ありがたかったです。

「観覧車」2014年制作・写真提供/大村雪乃


お気に入りは最愛の人に捧げた作品

――最も気に入っている作品は?

【大村】2020年に制作した「君に贈る」という青い薔薇の絵が一番気に入ってます。これはお花を表現したのですが、最愛の人(現、夫)に愛と感謝を捧げるために描きました。これまで応援してくれた感謝と、これからも共に歩みましょうという気持ちを込めて作りました。個人的な感情を込めたのは初めてでしたので、思い入れがありすぎて販売はしていません。

「君に贈る」2020年制作・写真提供/大村雪乃


――最も反響が大きかった作品は?

【大村】最近の作品では香港の夜景を描いた「Hong Kong -just gold-」です。縦2.3メートルもある巨大な香港の夜景を描き、アブストラクトなネオンライトの表現が大変好評でした。

「Hong Kong -just gold-」2021年制作・写真提供/大村雪乃


――今後の目標を教えてください。

【大村】家族を守りたいです。最愛の夫とふたりの子供、この家族が健康で毎日笑顔でいてくれることを願っています。そのために仕事をたくさんこなしてお金を稼ぎ、大事に日々を過ごしたいです。

「永遠に美しく」2020年制作・写真提供/大村雪乃

「レインボーブリッジ」2018年制作・写真提供/大村雪乃


また、いつでも自分がこれまで築いてきたものを壊せるようありたいです。新しいことに挑戦して、丸シールだけでなく、さまざまなクリエイションでも人々を楽しませるような表現をしていきたいです。

教育に携わりたいという思いもあります。アートの業界に関わってから、あらゆる点で現在の教育の限界や厳しさを見てきました。表現をしても、理解してくれる人や作り手が減れば淘汰されるだけです。

わかりやすく消費しやすい文化コンテンツが主流になってきた昨今、アートはますますわかりづらく敬遠される存在になりつつあります。アートに何ができるかと問い続けるためには、アートを楽しむ教育的な素地が不可欠だと感じました。アートは誰のためにも必要だと思っていて、そんなメッセージを発信し続けていきたいです。

「東京タワー2021」2021年制作・写真提供/大村雪乃

「有楽町コリドー街」2018年制作・写真提供/大村雪乃


――この記事を読んでいる人にメッセージをお願いします。

【大村】アートは自らの教養を高めるものだと思う人がいるかもしれませんが、それは違うと思っています。それどころか時折アート作品を見ていると、そこに込められるメッセージの強さに恐怖を覚えることがあります。かつて、六本木で開催していたパブロ・ピカソの回顧展を観に行ったとき、絵画から発せられるあまりの情報量の多さに酔ってしまい、体調を崩し、めまいを起こしてしまいました。絵画から出てくるメッセージはあまりに強く、多感な私にとっては毒となりました。

「Shunan2」2022年制作・写真提供/大村雪乃


つまり、アートは万人に受け入れられるエンターテインメントでもなければ、人を癒やすものでもありません。むしろ大変コミュニティが狭く、居心地も悪く、後味の悪いジョークを言い続けるピエロのような存在だと思います。

でも生きていると、そんな辛辣な作品だからこそ、一人ひとりの個人的な辛い思い出に寄り添ってくれる時があります。そんな方のために私も作品を作っていきたい。みなさんも、生きていると大変なことがいっぱいあると思います。そんな時こそ、のたうち回るような体験ができる作品を探してみてください。

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