大阪・九条「ロッダグループ」関西にスリランカカレー旋風を起こした、スリランカの家庭の味

大阪でブーム加熱中のスパイスカレーの名店を紹介するWEB連載「大阪スパイスカレー名店ファイル」第6回は大阪・九条の人気店をご紹介します！

今回紹介するのは、2011年にオープンした、スリランカカレーブームの火付け役「ロッダグループ」。カレーと多彩な副菜を混ぜて味わう家庭スタイルのスリランカカレーを提供したことで人気を博し、今や全国から人が訪れるほどの名店に。兄でありオーナーであるアジスさんと厨房担当の弟アヌラさんが営むアットホームな「ロッダグループ」。スリランカ人のおふたりがどういう経緯で、ここ日本で店を開いたのかなど、いろいろ聞いてみた。

現地の味を再現し、兄弟で獲得した不動の人気

流暢な日本語で対応してくれたのは兄のアジスさん。スリランカ第二の都市キャンディ出身で、スリランカではホテルやアパレルのコレクションマネージャー、政治家などさまざまな職についていたそう。そんなアジスさんが日本へ移住するきっかけとなったのが、2005年、初の関西旅行で出会った、ひとりの日本人女性。アジスさんは、その女性に一目惚れし、猛アタックの末に結婚。半年後には日本で暮らすようになったそうだ。日本に来て約4年間は貿易会社などで働き、その後「ロッダグループ」をオープン。当初は一人で切り盛りをしていたが、半年後にスリランカにいる弟のアヌラさんを呼び寄せ、アヌラさんに厨房を任せた。

それから間もなく「ロッダグループ」の代名詞となるギャミラサがメニューに加わり、クチコミやブログ、スパイスカレーブームにのりじわじわと「ロッダグループ」の名が広まって行った。ギャミラサとは、スリランカの家庭料理で、いわゆるお母さんの味。「当時、スリランカのカレーを出す店はあったけど、家庭スタイルで出す店はなく、ロッダグループが多分初めて」とアジスさん。使うスパイスはすべてスリランカから取り寄せている。現地のものを使わないと味が違ってくるそうだ。日本人の味覚に合わすことなく、現地の味、スタイルをそのまま再現したことで、揺ぎない人気を獲得したのだ。

とにかく混ぜて混ぜて、いただくのがギャミラサのおいしい食べ方

メニューは、マトンカレー（1,400円）やフォッシュカレー（980円）、えびカレー（1,400円）など豊富に並ぶ中、やはりイチ押しメニューはギャミラサ。ギャミラサ（1,500円～）には、マトンのほか、チキンやフィッシュポーク、えびなどから好みで選べるが、時々猪や鹿、ズリ、ホルモンなどのカレーも登場する。アジスさんいわく「特にズリやホルモンのカレーは現地でも人気メニュー」という。副菜はダルカレー、ポルサンボル（スリランカ版の辛いふりかけのようなもの）、パパダン（豆せんべい）、パパイヤやビーツ、マンゴーなどのカレー、パイナップルサラダ、野菜サラダなど6種の副菜が添えられる。日によって変わる副菜がカレーに変化をもたらしてくれるのも楽しい。ギャミラサの正しい食べ方は、お皿にのったカレー、副菜すべてをとにかく混ぜること。混ぜれば混ぜるほど素材とスパイスが複雑に絡み合い、美味しさが倍増するのだ。お行儀が悪い？　そんなこと思わず、思い切り混ぜ混ぜしていただきましょう。

姉妹店「ヌワラカデ」でも多彩なカレーが味わえる！

2015年にオープンした姉妹店「ヌワラカデ」でもギャミラサ（「ヌワラカデ」では、ヌワラプレート1,200円～）が楽しめる。「ヌワラカデ」が「ロッダグループ」と大きく異なるのは、居酒屋スタイルでスリランカ料理が楽しめること。カレーメニューのほか、ロティーやロールス、ワデなどのおつまみ類（300円～）が充実し、それをアテに一杯やれるのがいい。飲んだ後の締めはもちろんスリランカカレー！　「ミニカレーや手食限定メニューのサイバルキャーマ（1,400円）がおすすめ」とアジトさん。

2011年スリランカの家庭の味「ロッダグループ」、2015年スリランカのレストランの味「ヌワラカデ」をオープンし、どちらも好調な繁盛店。今後、さらに店舗展開をする予定があるのかを聞いてみた。具体的に話が進んでいるわけではないが、多くの観光客で賑わい、活気のある京都に出したいと考えているそうだ。今度はどんな店になるのかが楽しみだ。

※本連載はムック「KansaiWalker特別編集　関西カレー’17新時代！」（現在発売中）の発売を記念した連載記事です。大阪スパイスカレーの名店・新店を多数紹介した本です。ぜひ興味のある方は書店・コンビニでチェックしてください。

【関西ウォーカー編集部/ライター惣元美由紀】

惣元美由紀