【志尊 淳インタビュー】若手最注目株が問題作に主演で挑む

関西ウォーカー

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昨年、神奈川芸術劇場芸術監督に就任した演出家・俳優の白井 晃が、熱望していたフランク・ヴェデキントの名作戯曲「春のめざめ」を上演。1891年にドイツで発表当初、過激な内容から上演禁止になった問題作だ。思春期の少年たちの性へのめざめや、生きることの葛藤、それに対する大人たちの抑圧などが描かれる。2006年にブロードウェイでロックミュージカルとして上演され話題となり、日本では劇団四季も上演。今回はミュージカル版でなく、白井の世界観で構成、これまでにない「春のめざめ」をストレートプレイで上演する。

物語の舞台は、20世紀初頭のドイツの中等教育機関。そこで学ぶ優等生のメルヒオール(志尊 淳)、友人で劣等生のモーリッツ(栗原 類)、幼なじみのヴェントラ(大野いと)。成績の冴えないモーリッツは、学校での過度な競争に耐えられずアメリカへ出奔を企てるが果たせず、将来を悲観して自殺する。メルヒオールは半ば強かんのようにヴェントラと関係し、彼女を妊娠させてしまう。自殺したモーリッツの遺品から「子どもの作り方」を描いたメルヒオールのメモが見つかり、ヴェントラとのことも発覚して…。

物語の中心人物で14歳のメルヒオールを演じるのは、映画やドラマの話題作に出演する若手の注目株、志尊 淳。白井は「話していて、けっこう硬派。鼻っ柱が強くて、負けず嫌いだなっていうのがわかってきて、彼のメルヒオールがおもしろいだろうと」と、出演を依頼。今回、志尊は自身初のストレートプレイで初主演となる。「すべてプレッシャーに感じるんですけど、野心はありますよ!」と話し、来阪会見と個別取材で作品への思いや意気込みを語った。

志尊「僕達の年代で役者の仕事に就いていても、こういう戯曲とふれあう瞬間はすごく少なくて。今回、不安要素はたくさんありますが、作品を通して伝えたいこと、共感できる部分や親しみやすい部分などもあると思うので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいなと。僕自身、役者として新しい一面が切りひらける経験だと思っていますので、全力でやらせていただきます」

Q:ストレートプレイはやってみたかった?

志尊「はい、機会があればやりたいともちろん思っていました。去年、白井さんの『レディエント・バーミン』という作品を観たばっかりで。その公演に出演されていた高橋一生さんと共演したことがあり、白井さんのお話をすごく聞いていたので、今回ぜひやりたいなと思いました。それまでも舞台のお話はいろいろいただいたのですが、どのような作品に出ていきたいかマネージャーさんと相談しているなかで、白井さんにお声がけいただき、やらせていただくことになったんです。ちょうどいいタイミングで、もう、運命だと感じています」

Q:舞台を観ることも、やることも好き?

志尊「観ることは好きですけど、やることを好きとはまだ全然言えないですね。僕自身、ストレートプレイは初めてですし。今まではミュージカルとかが多かったんです。ポップというか、歌とダンスもあるような作品が多くて。だから、“舞台ってなに?演劇ってなに?”って問われた時に、なにも答えが出ないんですよ。白井さんと初めてお会いした時、僕が思ってることを素直に伝えたいと感じたので、そのように言いました。右も左もわからない状態です、だけど意気込みだけはありますし、やらせていただくからには全力で自分の色を出していきたいというお話はさせていただきました」

Q:この物語をどのように感じた? 

志尊「時代背景も国も宗教感も違う環境で、各々がもがき苦しみ、必死に生きていくのがすごくおもしろいなと感じました。僕自身もこのぐらいの年代のころ、性のことに関してだけじゃないですけど、なにか抑圧されて感情が爆発してしまうとか、知識だけが上回ってしまって理性が伴わないところとかがあって。だから、メルヒオールやモーリッツとかに共感できる部分は少なからずあり、それを赤裸々に、媚びずに、自分の思いを感情として表現できるというのはすごくおもしろいなと。

すごく前のドイツの戯曲で、時代のギャップを結構感じるのかなと思ったんですけど、宗教観の問題以外は考えていることは今と一緒の部分が多いんですよね。僕は14歳という役から近い年代っていうのもあって、話に入っていくスピードが速く、共感できるポイントも多かったんだと思います。僕以外でもたぶんそのように感じる同年代の方は多いと思う。教育に関わる年代の方にも、いろんな捉え方をしてもらえる作品だなと感じたので、たくさんの方に観ていただきたいです。僕たちが表現しているものを、皆さん同じように捉えるとは限らない作品だと思うので、なにかを感じていただけたら」

Q:性的な感覚は今とは時代が違いますよね?

志尊「昔はインターネットとかなかった時代で。僕たちが性に目覚めた時って、学校とかでみんなが目覚め始めて、どんなものかインターネットで調べて、みんなで見て共有してっていう経験があります。でも、プロセスが違ったとしても、調べて知ろうとしたり、まわりと共有したり、興味や好奇心に関しては時代が変わっても一緒なんだなと感じましたね。昔と今でもリンクしている部分っていうのは必ずあると思うので、そこをしっかりと表現できたらいいなと思います」

Q:どういう点を同世代の人に伝えたい?

志尊「演劇は敷居が高いなかで、観に行くきっかけもなかなかないと思うんですけど、僕自身、この戯曲を読ませてもらった時に、ほかのストレートプレイの作品を観ているよりも、時代背景が違ってもわかりやすいなと。内面的、本質的な部分は、今の年代も変わらないんですね。で、環境も違って抑圧のされ方も違うなかで、個々の捉え方があると思って。14歳ぐらいの理性がまだ伴っていない時に、大きな山が来るっていうのは難しい。僕らの年代はそれを経験して、性のことに関してだけではなく、社会に出てからも通じるものはあると思うんです。この作品はすごくいろんな要素が盛り込まれているので、なにか皆さんが自分自身と見つめ合って、考えるきっかけになればいいなと。でも、メルヒオールのここは共感できる、モーリッツのここは共感できるなっていうのはあると思うんですよ。僕は、メルヒオールとモ-リッツって、表裏一体な部分があると感じていて。だから誰のどこでもいいから、そのようなきっかけになれれば。観終わったあとにちょっと膨らませられるような時間を、僕達が舞台で表現できればいいなと思っています」

Q:思春期の人たちに来てほしいですね。料金もそんなに高くないですし。

志尊「僕はそのぐらいの年代の方に、すごく観に来てほしいです。演劇を、ストレートプレイを観るということも含めてですけど、その年代だからこそわかる部分を表現してる舞台だと思うので、一番観ていただきたいですね」

Q:自分の中で大事にしてることや課題は?

志尊「まず、飾るのはやめようと思っています。プライドやいろんなしがらみは一回捨てようと。今年で役者をやらせていただいて、まだ7年。その間に経験したことはありますけど、舞台で、しかもストレートプレイという表現方法も違うので、ゼロからのスタートという意気込みで、身ぐるみはがして臨みたいなと。がむしゃらに白井さんについて行きたい思いが強いので、悩んでるヒマもないと思いますけど、とにかくやれることはすべてやりたいと思います」

Q:負けず嫌いで芯が強い人ですか?

志尊「かなり負けず嫌いだと思います。で、野心にあふれてると思います(笑)。普段は言わないんですけど、ここ関西ですし、言っとこうかなと(笑)」

Q:一番楽しみにしていることは?

志尊「僕は、たくさんのお客様に観ていただくことが一番楽しみです。いろんな人に観ていただいて、いろんなこと感じ取ってもらって、その同じ空間で表現できるのがすごく楽しみ。僕自身、舞台に上がるのも3、4年ぶりで、舞台の感覚が薄れてきているので。だから初めてのドキドキもありますし、楽しみですね。自分にとっても新たな刺激になると思います」

Q:舞台で緊張はしない?

志尊「しないです。舞台よりバラエティや生放送の方が緊張します(笑)。セリフがあって、お芝居をするうえでは、あまり自分を意識する瞬間がないので。当日の朝に“緊張するなぁ”とかありますけど、いざ、舞台に立ったら全然緊張しないです」

Q:関西に来た時、行くところとか必ずすることは?

志尊「ベタですけど、粉モンを食べますね。あと僕、串揚げが大好きなんですよ。あ、関西では串カツって言うんですよね。串カツが大好きなので、よく食べに行きます。新大阪駅や、通天閣の下にもありますよね? それから帰りは、新大阪駅でたこ焼き買って新幹線に乗って食べます。めっちゃベタです(笑)」

Q:関西の公演は京都と兵庫ですね。京都ではどこに行きますか?

志尊「京都は僕、1回しか行ったことなくて。大阪のメルパルクホールで『ミュージカル・テニスの王子様』の公演がオフの時に、清水寺に行きました。ベタなんですよ、やっぱり(笑)。あと、車折神社。芸能の神様のところには行きました」

【関西ウォーカー編集部/ライター高橋晴代】

高橋晴代

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