「日本はコンテンツ作者に利益が還元されていない」NFTを利用したクリエイターへの還元方法とは?
東京ウォーカー(全国版)
日本では作品が安い値段で取引され、コンテンツ作者に利益が還元されていない

――NFTと聞いてもピンとこないクリエイターは多いと思います。NFTが創作文化や同人誌文化とどう結びつくのでしょうか?
【ふじすえ健三】2022年3月16日に参議院・財政金融委員会にて、暗号資産(仮想通貨)やWeb3.0(※ブロックチェーンの技術を使った分散型の次世代インターネット)におけるNFTの税制について質疑応答で答弁しましたが、NFTとしてイラストなどの絵をデジタルアートとして販売することで、イーサリアムなどの暗号資産決済で世界中に販売することができると考えています。
海外での日本のコミックの売上は5000億円超、アニメーションの海外売上は1兆円超、ゲームに至っては数兆円規模に達しています。これらのコンテンツやキャラクターを、デジタル化した価値としてブロックチェーンで管理し、世界中に流通させることが今や可能となっており、「クリエイター大国」の日本が有する多くの才能高きクリエイターが、NFTを利用して創作物を価値に変えることができる、また、日本の国力を復活させる起爆剤となると考えています。
――なるほど、日本のどこに住んでいても、自分のイラストや漫画といった作品をNFTとして世界中に販売できるわけですね。夢がありますね!
【ふじすえ健三】日本は古くからアニメーションや漫画などコンテンツ産業が盛んですが、海外で非常に高く取引をされているにもかかわらず、日本では非常に安い値段で取引され、コンテンツ作者に利益が還元されないという問題がありました。江戸時代だと、その代表例として浮世絵があります。浮世絵はじつは当時お茶碗の包装紙として使われ、包装紙である浮世絵を見た海外の人がその美術性の高さに目をつけました。結果として、浮世絵は、海外で非常に高値取引され、ボストン美術館など海外の有名な美術館に所蔵されており、日本にはほとんど残されていないという状況になっています。
漫画・アニメ・ゲームのコンテンツをNFTにより唯一無二の本物であることを保証できるようになると、以下のことが実現され、クリエイター自らが世界中に対して自分の作品を販売でき、かつその恩恵を受けることができるようになると考えています。
【1】デジタルコンテンツでもNFTの付与数に制限を与えることで、希少価値を付与ができる。
【2】販売流通をアニメショップや同人誌即売会に限らず、全世界に対して簡単に行うことができる。
【3】海賊版の排除(※YouTubeやpixivなどプラットフォーム側でNFTのあるものしかコンテンツを表示できないようにすことでコピーや海賊版を排除することができる)。
【4】クリエイターが誰でも簡単に【1】【2】【3】を簡単に実現できる。
――実現すれば多くのクリエイターが恩恵を受けますね。日本の法整備が遅れた場合、どのような問題が起こるのでしょうか?
【ふじすえ健三】NFTにおける煩雑な納税計算が、日本のクリエイターのボトルネックとなっていますが、日本の法整備が遅れることにより、影響として以下のことが考えられます。
【1】法人税を取ることができなくなる
NFTのプラットフォーム会社が拠点を海外に中心にしてしまい、NFTプラットフォームの売上の税金が日本に還元されなくなってしまう。
【2】法人・サービスの海外流出
法整備の遅れにより、NFT自体の利用が促進されず、海外にプラットフォームを取られてしまう。また、技術やサービスが後追いとなり海外企業にサービスを独占される可能性がある。
【3】詐欺のまん延
法整備(必要な規制や許認可)されないことにより詐欺が横行してしまう。
【4】規格を海外に取られてしまう
海外にNFTの規格を取られてしまうと、海外主導型のモデルになってしまい(手数料などが膨大になる可能性や、技術的な規格を合わせるために膨大な出費を日本のプラットフォーマーが支払う必要が出てく可能性がある)、コンテンツとして日本の物が普及しても、恩恵をコンテンツ制作者・クリエイターが受けることができなくなる。
【5】投資機会の損失
NFT関連の資金の再投資が日本国内でされず、海外に投資が流れてしまう。
暗号資産に対する税制を変革し、優秀な人材や資金、投資機会の流出を防ぐ
【ふじすえ健三】上記の観点から、法整備が遅れると高価な創作物をつくる日本人クリエイターが海外に流出してしまう可能性も高くなります。実際に私が対話したエッジの効いたクリエイターたちはこのままの状況だと海外に行かざるを得ないと言っていました。まだ、一部のクリエイターがNFTを活用している状況ですが、NFTに利用が広まればこの動きは加速化するかもしれません。
日本の暗号資産に対する最大税率は55%(所得税45%、住民税10%)と諸外国と比べても極めて高い税率になっており、暗号資産で資産家となった日本人は、税制の優遇のあるシンガポール、ドバイへと移ってしまっています。これは日本における優秀な人材の流出に加え、投資機会や資金の海外流出につながってしまっています。この税制を株式同様の分離課税へと税制改正することで、これからの優秀な人材や資金、投資機会の流出を防ぎ、海外からも流出した人材を呼び戻すきっかけとなると考えています。
また、分離課税へと税制改正を行うことで、税金による利用のハードルが下がり、一般利用も促進され、内需も高まると考えられ、それに伴い、暗号資産やNFTの流通も活発になると考えられます。内需が拡大することにより、法規制の整備も加速的に進み、また世界でも競争力のあるサービスやコンテンツが育つということをこの分離課税実現により、期待しています。
――ふじすえさんのNFTへの今後の取り組みと意気込みを教えてください。
【ふじすえ健三】文化経済部会の報告書にも「NFTは、グローバル展開を促進し、クリエイターが自らの作品を使って直接収益を得る手段」と書かれています。国内にすでに多くの漫画やアニメ、そしてゲームキャラクターなどの創作資産を有し、また、これから多くのクリエイターが創作資産を生み出してくれます。これらの資産を世界に展開する基盤としてNFTの法制度を整備していきます。
取材協力:ふじすえ健三
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