魚図鑑ではなく漁師図鑑!?秋田県にかほ市の漁業と海産物の魅力がまるわかり！市内の漁師を収録した図鑑が無料配布

秋田県にかほ市で活躍中の漁師15人の素顔と、漁業の魅力を網羅した図鑑『漁師図鑑』が完成し、2022年6月8日から、同市内の道の駅などで無料配布されている。「漁師」という職業の魅力と、漁業や魚介類に関するトリビアが詰まった一冊だ。

魚の図鑑ならぬ『漁師図鑑』! 気になる中身は

日本海に面する秋田県にかほ市は、漁業が盛んな漁師町。象潟漁港、小砂川漁港、金浦漁港、平沢漁港の4漁港で揚がるハタハタ、タラ、岩ガキ、ズワイガニ、マダイ、サザエといった海の幸は、日本全国で人々のお腹を満たしている。

『漁師図鑑』は、にかほ市で漁業に携わる漁師たちと、漁業の魅力を届ける刊行物だ。15人の漁師のプロフィール、愛船の情報、主な漁法、獲れる魚の種類、魚のおすすめ調理方法などを掲載し、漁師それぞれの人柄に迫る。

漁師一覧が見られるスペシャルサイトもオープン

『漁師図鑑』の配布開始と同時に、スペシャルサイト「漁師図鑑Webサイト」もオープンしている。サイトに掲載されている各漁師のカードをクリックすると、にかほ市の魅力を届けるウェブメディア「TeGAKe(テガケ)」で公開されている詳細記事にアクセスできる。漁師の記事は、今後もどんどん追加されていく予定。

異色の図鑑・『漁師図鑑』はなぜ作られた？

『漁師図鑑』は、にかほ市による公的な制作物。市の伝統産業のひとつである漁業の振興につなげるため、「大人から子供までが楽しみながら漁業や漁師について知ることができるコンテンツ」を目指して企画された。同時に、漁師の生活や人柄を紹介することで、市で揚がった海産物への信頼性向上も狙う。

にかほ市内の小学校、保育園、市役所各庁舎、飲食店、鮮魚店、にかほ市観光拠点センター「にかほっと」、道の駅象潟「ねむの丘」など市内の各所で配布中。現在、紹介する漁師を増やした増刷版も制作中とのこと。

なお、担当者は次のように語っている。
「(今回のターゲットや狙いは？)ターゲットは主に地域内の小学生以上の子供、子育て世代の20代後半〜50代前半です。地域外のターゲットについては、一次産業や関連職業に興味関心がある人、産直志向を持っている人、地方での観光が好きな人、などの属性を持った人が該当するかと思います」

「漁師図鑑の大きな目的は、①にかほ市の漁師の担い手を増やすこと、②にかほ市で獲れる海産物の認知・販路拡大となります。①についてですが、漁師という職業の実態は、地域内ですら知っている人が少ないという課題があります。いずれ後継者となる子供たちがこの職業に詳しく触れる機会なども少なく、社会に出る頃には職業としての選択肢には中々入りません。そこでまずは『漁師という職業で生きている人たちを知ってもらう』という点にフォーカスし、子供から子育て世代の大人までが楽しめるコンテンツにすることで、『知る』という第1ステップを作りたい、というのが狙いです。配布後、地域からはかなりの反響をいただいており、6歳〜の子供たちも面白がって読んでくれています」

「②については、にかほ市で獲れる地魚を地域内外の両方に広く知ってもらい、買ってもらう機会を増やすことが狙いです。近年、生産者または産地から直接生産物を購入できる産直販売のサービスが広がっています。その背景のひとつとして、生産物への安全性、産地情報、信頼性などを重視する消費者が増えてきたことがあります。漁師図鑑は、海産物に対しての直接的な信頼性を示すものではありませんが、生産者の顔や漁船などの情報を知れるという点で、信頼性による販路拡大に寄与できればと考えています」

「(今回のイチオシポイントは？)パーソナルな部分が分かるプロフィールにより、漁師(海産物の生産者)一人ひとりの人柄を知ることができる点です。また、漁師たちから聞いた地魚のちょっとした豆知識と、おすすめ調理方法などを掲載している点もイチオシです」

「(ユーザーへのメッセージは？)日本海に面しているにかほ市では、過酷な状況や荒波にも負けず美味しい魚を獲ってくるかっこいい漁師がたくさんいます。
そんな漁師たちの実態を、ぜひ覗いてみてください」

漁師の仕事現場は、荒波に揉まれる過酷な環境。私たちがおいしい魚介類を食べられるのも、漁師の仕事あってこそだ。ぜひ、紙とWeb両方の『漁師図鑑』を通して漁業について知り、漁業に関わる人々について思いを巡らせてみてほしい。