【しょご先生】性の疑問、インターネットやSNSをどう活用するのが正解?
東京ウォーカー(全国版)

オーストラリア在住で、YouTubeで性教育について発信を続けているしょご先生。2月から
ニコニコチャンネル「しょご先生 日本一わかりやすいリアル性教育」
を開設している。日本とオーストラリアの性教育事情を知るしょご先生に、インターネットやSNSと性の問題について聞いた。
今や、物事を調べるのにインターネットやSNSは当たり前のツール。ちょっと気になったことがあったら、パソコン、スマートフォンなどで、瞬時に情報収集を行うのは日常で、小学生になる前の小さな子供でもこうした端末を扱えるのは珍しくない。生まれた時からインターネットが普及している世代にはそれがない生活など、もはや考えられないし、調べものといったら、何冊もの本を読みあさっていた世代でさえ、あの時代には戻れないだろう。
知りたい情報が簡単に入手できるようになって、必ず言われるのが情報の取捨選択の難しさ。溢れる情報の中から、正しい情報をどう取り出すか、どう見極めるかという問題だ。インターネットだけでなく、今はSNSで本当に誰もが自由に情報を発信できるため、さらに個人的見解や根拠に乏しいものでも“情報”として溢れ続けている。性についての情報も同じ。面白おかしく発信することで話題になったり、興味を持つ人が増えることもある分野だけに、不確かなものも多い。
しょご先生は、「実は昔から“ゆがんだ”情報は発信されていました。自分の考えや体験を、さも一般常識のように、正しい知識のように話す人はいましたし、噂話が独り歩きして事実を見失った話が広がってしまうことも。伝言ゲームのように人伝えで広がる話しは最後のほうには全く違う意味になってしまっていたことも少なくありません」と話す。
「性の話題については、なかなかオープンに話さない。とりわけ日本では話題にすることがご法度のような雰囲気もあり、内輪で冗談半分で話題にすることはあっても、正しい知識を得ようとすると難しいのが現状。だからこそインターネットやSNSに頼ってしまいがちなのです」(しょご先生)

気軽に話題にすることも難しく、誰かに聞くこともしにくい、そんな「性」について、容易く“調べる”ことができるインターネットやSNSを利用するのは当然ともいえる。そこで大切になるのが情報を精査するスキルだ。「情報は簡単に手に入れられるのに、それを精査する能力は追いついていません。これは子供だけでなく大人も同じで、すぐに欲しい情報が手に入ってしまうので、その信憑性を疑うことなく“ネットにあったから”、“SNSで話題になっていたから”、“〇〇という人が言ったから”という、よくわからない理由で信じてしまう人がたくさんいます」としょご先生。
自身もYouTubeなどで情報を発信する立場であるしょご先生。発信する側の“能力”が高くなっているとも指摘する。「ユーザーに受けやすい“型”のようなものがあります。発信する側は、慣れてくるとただ情報を出すだけでなく、伝え方、言い方を工夫して、より話題になるよう、承認されるようなやり方を学びます。例えばネガティブなことに共感し、救いの手を差し伸べるような流れを作り、ユーザーから信用してもらうという方法。ユーザーは自分の不安や苦手なものや、困っている問題を受け入れてくれて、欲しい答えをくれることに共感や安心、信頼を寄せる。そうすると、この人の言うことは信じられると、無条件に受け入れるようになります。ユーザーの脳に極力負担をかけない、考えさせない情報というのはバズりやすかったりします」としょご先生は話す。
また、強烈なワードを使って興味を引くことで、その情報を必要ではない層にも興味を持たせて読ませることもできる。これは誰もが経験があると思うが、見出しで面白そうだと思ったが、読んでみたら大したことが書かれてなかったと感じる記事に出くわすことがあるだろう。こと、性を話題にしていると、インパクトのあるワードや見出しを見つけると何の気なしに見てしまうこともあり、その中に、“さも本当のことのように”書かれた不確かな情報が潜んでいることがあるのだ。
一方で、インターネットを使うメリットもある。人には言えなかったこと、ずっと悩んでいたり、不安に思っていたことを、インターネットを通して人目を気にせず調べることができるのは、ひと昔前にはなかったことだ。「性についてはプライベートな問題。例えば自分が気にしていることがあった場合、同じことで悩んでいる人が他にもいることがわかるだけでも救いになることはあります。体験談なども溢れているので安心につながるケースも少なくありません」(しょご先生)
しかしだ。悩んでいることに「自分の欲しい答え」が得られるのが問題でもある。「単なる疑問ならいいのですが、困れば困るほど、悩めば悩むほど、自分に都合のいい“回答”を信じたくなります。正しいかどうかではなく、自分が安心できるかどうかで情報を受け止めがち。でも、それは間違っていることも。自分に都合がいい情報を信じたことで取り返しのつかないことになるケースもあります。例えば避妊の問題。“安全日なら大丈夫”、“外で出せば大丈夫”などと、何の根拠もない情報がいまだにはびこっていて、望まない妊娠につながることがあります」(しょご先生)
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