「心の中にある失敗したことを書き出す」sumika片岡健太が出版記念トークショーで語った“失敗の美学”

東京ウォーカー(全国版)

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sumika片岡健太(右)、グランジ遠山大輔(左)撮影=Tetsuya Yamakawa

人気バンドsumikaのボーカル&ギター、片岡健太。初著書『凡者の合奏』出版記念イベント「〜 片岡健太 言葉の話<足りない合奏> 〜」が、7月10日にオンラインで開催された。本書は、片岡の半生を振り返り、これまで関わった人たちとの記録を全編書き下ろしで綴ったエッセイ。故郷の神奈川県川崎市など、思い出の地を巡った撮り下ろし写真も多数収録されており、発売後すぐに重版が決定するなど話題を呼んでいる一冊だ。

今回のイベントは、ミュージシャンとしてではなく、文筆家・片岡健太による「言葉」をテーマにしたトークショー。片岡本人と親交の深いお笑い芸人・グランジの遠山大輔がゲストMCとして参加し、イベントの進行役を務めた。

【写真】「よろしくお願いします!」と視聴者に手を振って挨拶する片岡撮影=Tetsuya Yamakawa

遠山の呼び込みでステージに登場した片岡。視聴者に挨拶しつつ、「(トークイベントの経験は)全然ないです。ここに楽器がないという時点で緊張感がヤバい(笑)。フワフワしています」と、いつもとは違うステージに、やや緊張気味な様子でイベントはスタートした。

遠山が校長(パーソナリティー)を務めていたラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」(TOKYO FM)をきっかけに親しくなった二人。「番組のファンだったので、遠山さんは校長としても好きだったんですけど、ラジオで共演してもっと好きになって。今回のイベントが決まったとき『MCの方、誰がいいですか?』って聞かれて、『遠山さん』って即答しました」と、今回のイベントMCは片岡のリクエストだったと明かされた。

故郷の神奈川県川崎市で撮影した写真の裏話を語る撮影=Tetsuya Yamakawa

トークショーの1つ目のテーマは「本作り」。書籍に掲載された撮り下ろしの写真が映し出され、各々のエピソードが紹介された。表紙の写真については、「生まれ故郷の河川敷で、ギターを持って作曲もしていた大切な場所。高校の同級生と歩きながら夢を語ったのもここです」と思い出を語った。子供の頃に通った新城商店街は「たくさんの名物店員さんがいて、皆さんすぐ話しかけてくれるような距離の近い方々で。自分も温かい気持ちになれた」と懐かしんだ。

ほかにも、「串焼釜めし・正ちゃん」、横須賀のライブハウス「かぼちゃ屋」など、思い入れの強い場所がどんどん映し出され、それぞれの思い出と共に紹介した。

「わからないところがわからない」と言うほど、執筆当初は苦労が絶えなかった撮影=Tetsuya Yamakawa

続いては執筆の裏話へ。「去年の11月頃、僕が『こんな感じで書きたいと思っています』というサンプル原稿を編集の方と手伝ってくださったライターの方に見てもらいました。『読ませていただきまして、私たちとしてはこう思いました』と言って返していただいた原稿が赤字だらけだったんです。そこでメンタルがズタボロになっちゃって…(笑)。作詞という活動で言葉には多く触れてきましたけど、作詞と文章を書くことは似て非なるものだということに気づき、頭を整理して原稿を書くために準備期間を1カ月半いただきました」と、現在の評判からは想像もつかないくらい、執筆当初は大きくつまずいたという。

しかし、親交のあるピースの又吉直樹に相談し、「ミュージシャンである片岡さんにしか書けないものを書くべきです」という助言を得た。歌詞を書くように、章ごとに詩を入れるというアイデアは、こうして生まれたものだ。

書籍内の描写が事細かな理由は、すべて記憶から消えない辛い過去がベースになっているから撮影=Tetsuya Yamakawa

執筆時に心がけていたことは、「一切偽らず、自分の思ったことを自分の言葉で表現する」ということ。「sumikaがバンド活動10周年イヤーに突入しました。10年続けてこられて、応援してくださる方が目の前にいて、仕事をしていく中にも信頼できる方がいて。この人たちがいるからという気持ちと、僕のことを知ろうと本を手に取ってくれるあなたになら、全部さらけ出しても大丈夫だろうと思った」と、信頼関係が築けているから自分の思いや過去を全部伝える決心がついたとも語った。

書いていて楽しかった部分は「中学生の親友の話」。暗黒時代だった中学生の頃、片岡を暗闇から救ってくれた親友についてのエピソードだ。「sumikaの活動をしていると、バンドの歴史を振り返ってのインタビューはありますけど、それ以前のことは聞かれることが少なくて、中学時代の話はあまりしてこなかったんです」と、過去に語ってこなかった部分だけに、新鮮な気持ちで執筆できたという。

「2作目については?」という質問には、「今は全く考えてないです。文章を書くことは、本当にすごいパワーを使うんですよね。書き終えてみて、言葉や文章を生業にしている人のすごさが身に染みてわかりました」と深く頷いた。しかし、「今は燃え尽きちゃってますが、また“燃やしたいな”と思うものがあったら挑戦するかもしれません」と期待させる発言も見られた。

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