【漫画】胸を打つ感動の別れか、死者の呪縛か…。作者から問いかけられた「短編ホラーの最後の1ページ」に考察集まる

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

作品にこめた思いや描かれた出来事に裏側にある真実を、あえて明言せずに読者に委ねるからこそ心に響くことはままあるもの。ホラー漫画家が「最後の1ページの、意味を分かってもらえたら嬉しいです。」という投げかけとともに公開した短編ホラーに、Twitter上で読者からさまざまな反応や考察が寄せられている。
※本作はホラー表現を含む為、閲覧の際はご注意ください。

山の中で少年を先導する小さな男の子。2人の最後の会話にこめられた意味に考察集まる画像提供:的野アンジ(@matonotoma)

山を歩く男の子と少年。別れの時、それぞれがかける「いってらっしゃい」「いってきます」

話題を集めたのは、「少年サンデーS(スーパー)」および「サンデーうぇぶり」でホラーオムニバス漫画『僕が死ぬだけの百物語』を連載中の的野アンジ( @matonotoma )さんが8月、自身のTwitter上に投稿した作品。

崖の上で「早く」と急かす男の子と、それを見上げて「無理だよ」と登れずにいるもう一人の少年。「早く帰らないと」と、崖上の男の子が下にいる少年に手を差し伸べるが、引き上げる拍子に勢いあまって落ちてしまう。

「僕が死ぬだけの百物語」 第三十八夜「山離れ」2画像提供:的野アンジ(@matonotoma)


少年は、転落し動かない男の子に慌てて駆け寄るが、男の子はすぐに起き上がり「なんで泣いてんの?」とケロっとした様子。「もう…一人にしないでよ。」と抱きしめる少年に、男の子は「こんくらいの高さなんかで死ぬかよ。」と笑い飛ばす。

自分より体の大きい少年をおぶろうとするなど、頼りがいのあるところを見せる男の子。道中でも「何かあるとすぐ山へ来るじゃん」と、少年の様子に何か悩みがあるのではと問いかける。その問いに「もうここへ来れなくなるんだ」と答える少年。仕事を継ぐためこの土地を離れる少年は、男の子に別れを伝えに山へやってきたのだという。

「僕が死ぬだけの百物語」 第三十八夜「山離れ」8画像提供:的野アンジ(@matonotoma)


「本当は行きたくないよ…」と苦悩する少年に対し、男の子の反応は「そうか頑張れよ!」とあっさりとしたもの。そうこうしているうちに山を抜け、二人は舗装道の手前まで辿り着いた。

「ここからは一人で行けるでしょ?」と見送ろうとする男の子だったが、少年は「一緒に行こう…」と男の子の手を無理やり引こうとする。だが、山の外側に出た男の子の腕はボロボロと崩れ落ち、異相を浮かべた男の子は「俺は山から出られない。」と話す。

「僕が死ぬだけの百物語」 第三十八夜「山離れ」10画像提供:的野アンジ(@matonotoma)


「もしあの日死なないでくれてればこんな思いしなくても…」と言葉を震わせる少年。そう、男の子はずっと昔に亡くなっていたのだ。男の子に背を向け駆け出す少年に、山に取り残された男の子は「いってらっしゃい。」と送る言葉をかける。少年は振り返るが、そこに男の子の姿はすでになかった。そして、少年は無人となった山に向かって返事を返す。「……兄ちゃん、いってきます。」、と。

兄のエールか、それとも呪縛か。結末の解釈にさまざまなコメント集まる

Twitterユーザーからは1万6000件を超えるいいねを集めた本作。的野さんの連載作『僕が死ぬだけの百物語』中の一篇で、ホラー漫画としての不気味さや不穏さは漂わせながら、どこか余韻と切なさも感じられるような結末だ。

「僕が死ぬだけの百物語」 第三十八夜「山離れ」13画像提供:的野アンジ(@matonotoma)


作者の問いかけに読者からはそれぞれの解釈が集まり、「最後の会話は『もう来るな』『わかった』って変換して解釈しました」「また帰って来て欲しいの意味を込めて『行ってらっしゃい』と送り出した」と、2人の心境を推し量るコメントが多い一方、「弟の性格上また来るのがわかっているのか。自身が縛り付けるつもりなのか」と、去り際の言葉には呪縛の意味合いがあるのではないかと考察するユーザーの声も見られた。

的野さんはTwitterへの投稿の際、「最後の最後まで二人の関係性について触れなかったので、そこがしっかり伝わってほしいと思い、この文面にしました。また、それがわかった時に、二人の今までとこれからも想像してもらえたら嬉しいと思いました」とコメントの意図を明かす。

その上で、前向きな捉え方から不吉な見方まで、多くの解釈や反響が寄せられたことについては「今回の結末を、良い意味に捉えてくれた方も悪い意味に捉えてくれた方もいました。このお話の兄弟にとって、どうすることが正しかったのかは曖昧で、それでもこの決断をしたことについて、それぞれが考えてくださったことがとてもありがたかったです」と語った。

取材協力:的野アンジ(@matonotoma)

この記事の画像一覧(全67枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

お花見ガイド2024

お花見ガイド2024

全国1300カ所のお花見スポットの人気ランキングから桜祭りや夜桜ライトアップイベントまで、お花見に役立つ情報が満載!

CHECK!今が見頃の花見スポットはこちら

ページ上部へ戻る