2023年はリフォームの当たり年&家の快適さは「窓と壁」で決まる!?体感型ショールームでリフォームの見方がひっくり返る
東京ウォーカー(全国版)
家を建てたりリフォームを考えたりするとき、まず優先したくなるのはキッチンや浴室といった水回り、内装部分だろう。その一方で、窓や壁といった、いわば“裏方”に着目する人はそこまで多くないはず。そんな建材の重要性にフォーカスしたのが、LIXILの体験型ショールーム「住まいStudio」だ。「昔の家」「今の家」「これからの家」の居心地を比べられるというユニークな同施設を実際に体験してみた。

「快適な家」ってなんだ?室温に特化したショールーム
今回訪れたのは、東京・西新宿のLIXILショールーム東京内の「住まいStudio東京」。住まいStudioは東京と大阪の2拠点で常設されており、窓や断熱材、遮蔽材の違いが室温にどれだけ影響をもたらすかを体感できるショールームだ。大きく分けて「冬体感」と「夏体感」の2ブースで構成されており、冬は断熱性の違い、夏は太陽の日差しをどう防ぐかをテーマに体験コーナーが設けられている。

「冬体感」ブースでは、ショールーム内に設けられた「昔の家」「今の家」「これからの家」の3つの家を巡り、真冬を想定した環境で室温の違いを実際に体感できるというもの。

2023年現在、住宅の断熱性能には下から順に1から7までの断熱性能等級が制定されており、「昔の家」は等級2、「今の家」は等級4、「これからの家」は等級6(HEAT20 G2)を基準に断熱性能を設定。同じ間取り・同じ暖房設備で断熱性能のみ異なる家がどれだけ室温に影響をもたらすのかを比較できる。

体験中はスリッパを脱いで床に立ってみたり、エアコンのあるリビングから暖房のない廊下・トイレへ移動したりと、日常と変わらない動作で室温を体感。同時に、サーモカメラが撮影したリアルタイムの温度変化が室内モニターに投影されるため、視覚的にもわかりやすい。また、外気0℃に設定された室外部分に出て、先ほどまでいた各部屋の窓に外から触れて「窓がどれだけ熱を外に逃がしてしまっているか」も体感できる。

今回の見学では特別に各居室に人がいる状態で3つの家のサーモカメラを同時比較させてもらったが、エアコンの設定温度は同じ20度のはずが、「昔の家」では室内にいる人までが熱が低く映り、「これからの家」では熱を保っていることを示す赤で表示された。部屋に奪われてしまう体温の大きさに驚かされた。

さらに印象的だったのは、「昔の家」「今の家」は普段自分の暮らす家と同様の寒さを感じた一方で、「これからの家」では暖房のないトイレ部分も含めて“暑くも寒くもない”感覚になったことだ。
住まいStudio東京の古溝洋明館長は「HEAT20 G2基準の『これからの家』では、室温が均一に保てるのが一番の特長です。上下の温度差は大きなポイントで、人は顔とくるぶしで4℃以上の温度差があると不快に感じます。暑くも寒くもない、それがストレスを感じない一番快適な空間です」と話す。
「あたたかい」「寒い」という感覚の違いを言葉で言い表すのは難しいものだが、断熱性以外は同じ条件でそろえられているので、そうした解説を実感しながら聞けるのも同館ならではの見どころだ。
日本の約7割が「昔の家」のまま。伝えたい断熱の大切さ

続く「夏体感」ブースでは、一転して真夏のリビングを想定した居室で、南向きの窓から差し込む強い日差し、西向きの窓からの西日の照り込みを人工光源を用いて再現。映像による時間ごとの光の差し込み方も交え、日差し対策を確認できる。

このほか、実際に用いられる窓材・断熱材の展示や、断熱性によって家の何が変わるのかをまとめた映像コンテンツを含め、見学コースは約60分の内容となっている。

2017年の住まいStudio東京のオープン以来、来館者は延べ3万2000人、建主は約4200組(9000人)という住まいStudio(※2023年1月末時点)。室温に特化したショールームをはじめるにいたった背景を古溝館長は次のように話す。

「新築もリフォームも“健康で快適な住宅”を日本のスタンダードにしたいという思いから、快適さの価値を発信する手段として住まいStudioが生まれました。住宅の断熱性には“省エネ”や“カーボンニュートラル”といった観点もありますが、まずはお客様にとって身近な『冬も夏も快適に過ごしたい』『家族の健康を守りたい』という視点に立ち、人から聞いた話ではなく、断熱性で感じ方がどう変わるのかを来場者様ご自身に体感していただくのが狙いのひとつです」
そうした快適さはもちろん、冷暖房の効率化による光熱費の削減、アレルギーや体調を崩しにくくなるといった健康面での改善効果もあるという住宅の断熱性能の向上。なかでもLIXILが重要視しているのは、急激な温度変化で心臓や血管の疾患をもたらす「ヒートショック」の予防だ。だが、古溝館長によると日本国内の住宅約5000万戸のうち、約65%が「昔の家」の基準以下の断熱性能、つまり等級2程度の断熱性能に留まっているという。

「日本では労働環境では18度から28度、学校では17度から28度と定められていますが、実は住宅には室内温度に関する規定がありません。例えばイギリスでは冬の奨励温度は21度以上、最低でも18度以上と法律で定められていて、これを下回る断熱性能の住宅には改善命令が出ます。全世界的にはWHOから“冬の室内温度は最低18度以上をキープする”というガイドラインが出ています。こうしたラインが室温に関する世界基準と認識していただければと思います」
「窓だけリフォーム」もお得!2023年はリフォームの当たり年
国内の多くの人が「家の暑さ寒さを我慢している」現状を、新築やリフォームで断熱性を改善することで「コタツにこもる生活が、コタツを出て部屋を広々と快適に使える生活へと暮らしが変わる」と強調する古溝館長。そうした思いを住まいStudioで伝えたいとともに、2023年は「断熱リフォームの当たり年」であるとも話す。
というのも、2023年3月下旬から、国土交通省・経済産業省・環境省の三省連携による補助事業「住宅省エネ2023キャンペーン」がスタートするからだ。3つの補助事業のうち、「先進的窓リノベ事業」では、既存住宅の窓を規定を満たした高断熱窓にリフォームする際に最大50%相当の還元、金額にして最大200万円の補助金が支給される。

併せて、戸建・共同住宅を問わず、高効率給湯器の設置を定額補助する「給湯省エネ事業」と、子育て世帯・若者夫婦世帯の高い省エネ性能を有する新築住宅の取得やリフォームを支援する「こどもエコすまい支援事業」も実施される。条件がそろえば複数のリフォームをまたがってお得に実施できるまたとない機会が訪れるのだ。
「先進的窓リノベ事業の支援では、例えば10万円かかる窓の取付工事が最大半分程度の費用で行えます。今年はこういった補助金もあり、リフォームをするには有利な年と言えます。人生100年時代と言われる中で、断熱リフォームはやるなら早いほうがそれだけ快適に暮らせる期間が長くなりますし、まずは一番気になっている部屋の窓ひとつからはじめるだけでも変化があると思います。リフォームの決断を迷われている方には、いま特におすすめしたいです」
普段は見過ごしがちな、けれど毎日の生活と切り離せない「室温」。住まいStudioが併設されているショールームで各種商品の確認もできるので、少しでも気になった人は一度足を運んでみてはいかがだろうか。
取材・文=国分洋平、撮影=藤巻祐介
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