「付き合ってないようで付き合ってる」逆転の発想で生まれた淡々とした日常ラブコメに「ニヤニヤが止まらない」【作者に訊く】

東京ウォーカー(全国版)

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フィクションにおける恋愛はドラマの王道。なかでも告白はひときわエモーショナルに描かれるシーンの一つだ。そんな告白が「付き合ってくれ」「ん、いいよ」の一言で済んでしまう……。淡々とした関係ながら、逆にそのラフさが甘酸っぱい異色のラブコメ漫画に、Twitter上で4万件を超える「いいね」とともに「ニヤニヤが止まらない」「こんなラフな関係いいよな」「すごくほっこりする」と多くの共感が集まっている。

新米カップルとは思えない淡々さが甘酸っぱい…!裏をかくようで王道な日常ラブコメに反響御崎そら(@Sora_Misaki_)

話題を呼んだのは、御崎そら( @Sora_Misaki_ )さんが個人制作で描くシリーズ「淡々カップル漫画」。高校編・大学編の二部に渡って描かれ、今年1月に完結した同作の舞台裏を、作者の御崎そらさんにインタビューした。

あっさりとした告白に秘められた強い想い…独特の空気が心くすぐるラブコメ

恋人ができないまま18歳を迎えた男子高校生の「相田早秋」。喫茶店で友人相手に暗い顔を見せていた彼は、何を思ったか「とりあえずあそこに座ってる人に告ってくるわ」と、別のテーブルに佇む女性のもとへと向かう。

「淡々カップル漫画」第0話(1)御崎そら(@Sora_Misaki_)


短いやり取りを終え、友人のもとへ戻ってきた早秋は「おっけーだって」と、まさかの告白成功を報告する。

「淡々カップル漫画」第0話(2)御崎そら(@Sora_Misaki_)


だが、実はこの告白には裏があった。早秋が告白したのは赤の他人ではなく、同い年の幼馴染「古河由紀」。「18歳になって二人とも相手いなかったら付き合おう」という約束を交わしていた二人は、答えの分かり切った告白を行うために喫茶店で待ち合わせていたのだ。

「淡々カップル漫画」第0話(5)御崎そら(@Sora_Misaki_)


とは言え、誰しも告白の瞬間は特別な何かを期待するもの。あまりにもあっけない告白に、後日「なんだよーあの告白の仕方」と由紀は文句をつけるが、早秋はなんでもない様子で「これから先死ぬまで一緒に生きてくっつーのに 告白がロマンチックだったら後で恥ずかしいだろ」と答える。

「淡々カップル漫画」第0話(6)御崎そら(@Sora_Misaki_)


それで説明は済んだとスマートフォンに視線を落とす早秋に、由紀は内心で「今のが一番ロマンチックだったわ」とひとりごちるのだった。

晴れて恋人同士になった二人が、初々しさもなく長年連れ添った夫婦のような凪いだ雰囲気をまといながら過ごす日々を描く同作。だが淡々とした関係性だからこそ、ふとしたタイミングでそっけない態度や言葉の裏に相手への想いがにじみ出る絶妙なニュアンスが心をくすぐる日常ラブコメだ。また、そうした早秋と由紀のやり取りだけでなく、高校、そして大学へと着実に時間が進む中で描かれるストーリーも大きな見どころの一つ。波乱含みの展開も、“淡々”というタイトルからはみ出さない絶妙な演出が光る作品だ。

“淡々”ではあっても“冷え”てはいない…読者を引き込むバランス感覚

4年に渡る長期間、多くの読者の支持を集め続けた同シリーズ。完結を迎え、御崎さんに本作の生まれたきっかけを振り返ってもらった。

「淡々カップル漫画」第1話(6)御崎そら(@Sora_Misaki_)


――「淡々カップル」シリーズを最初に描き始めたきっかけを教えてください。

「描き始めたのはもう4年ほど前になりますが、その当時、Twitterでは『付き合っているように見えて、実際は付き合っていない』といった関係性のラブコメ漫画が流行っていたんです。なのでその逆をいく『付き合っていないように見えて、実際は付き合っている』という関係性のラブコメも面白いのではないかと思い、描き始めたのがきっかけです」

――“淡々”とした空気感、距離感が本作の大きな魅力です。こうした雰囲気を描く上で特に重視したのはどんなところですか?

「“淡々”ではありますが、決して“冷えた”関係には見せないように工夫しました。信頼関係や仲のよさがあるからこそ生まれる“淡々”とした空気感を重視しています」

――ある種「自然体」を描くということで、物語としてのドラマや演出といった面で苦労したということはありましたか?

「『自然体』という言葉はその通りで、本作は二人の男女の自然体を見せていく漫画ですので、最初のキャラ設定ができた後は特に苦労することはありませんでした。シチュエーションを当ててやれば、あとは勝手にキャラクターが動いて喋ってくれますので。そういう意味で言うと、最初のキャラ設定を考える段階が苦労したかもしれません」

「淡々カップル漫画」第4話(4)御崎そら(@Sora_Misaki_)


――日常ラブコメでは時間の経過が明示されない作品も少なくありませんが、本作では過ぎていく時間が印象的でした。

「キャラクターも歳を取って、成長します。次元は違うけれど私たちと同じ人間であるというところを伝えたくて、時間が流れる演出を使いました」

――高校編、大学編とシリーズとして続いていく中で、制作上大きく変わったという部分があれば教えてください。

「キャラクターの性格や各話の基本スタイルに大幅な変更は加えていませんが、ネットに掲載する以上、差別や多様性に反する発言と捉えられそうなセリフ回しにならないよう注意しました。高校編の頃は、そのあたりの意識が薄かったなと思いますので、大学編中盤以降は意識改革に努めた時期でもあります」

――本シリーズはTwitterやpixivでの掲載分のほか、同人誌・電子書籍だけのエピソードも制作されています。これらはどんな内容になっているのでしょうか?

「基本的には無料掲載分でも楽しめるよう制作しております。ただ、各話の合間に何が起こっていたのかのエピソードや、最終話の後日談などもありますので、気になった読者の方にはぜひぜひお手に取っていただけますと光栄です。価値観は人それぞれですが、作者個人としてはお手に取っていただいた方には損のないように制作しているつもりでございます」

――最初の掲載から多くの読者から根強い支持を集めたシリーズです。反響への思いと、今後の漫画制作についての思いを教えてください。

「反響に関しては、嬉しい限りです。創作者冥利に尽きるといったところでございます。今後の漫画制作に関しましては、既存の読者ももちろんのこと、さらに新しい層にも気に入ってもらえるよう尽力してまいります」

取材協力:御崎そら(@Sora_Misaki_)

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