テーマは「戦国の世を歩く」… 健康と教養も身につく『信長の野望 出陣』の見どころを開発陣に直撃インタビュー

東京ウォーカー(全国版)

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3月30日に制定された“信長の野望の日”に、同シリーズ最新作『信長の野望 出陣』の情報が発表された(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

40周年の歴史を誇るシミュレーションゲーム『信長の野望』。そのシリーズ第1作目の発売日を記念して、3月30日に制定された“信長の野望の日”に、同シリーズ最新作『信長の野望 出陣』の情報が発表された。本作は、スマートフォンのGPSを用いて楽しむ位置情報ゲーム…とのことで、その概要について開発陣にインタビューを実施。コーエーテクモゲームスのプロデューサー・小笠原賢一氏と、開発プロデューサー・菊地啓介氏に、開発の経緯や本作ならではの見どころを聞いた。

(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.


スマホを片手に城郭や合戦跡地を巡るのが楽しい


――「信長の野望」シリーズへの関わり方など、お二人の経歴を教えてください。

コーエーテクモゲームスのプロデューサー・小笠原賢一氏


【小笠原】コーエーテクモゲームスにおいて、主に歴史系シミュレーションゲームを開発する“シブサワ・コウブランド”という部門を担当していますが、それまでは“ω-Force”いう制作チームで、アクションゲームの「無双」シリーズの開発にも携わっていました。直近で手掛けたのは、2022年に発売した『信長の野望・新生』で、同作のパワーアップキットも担当しています。

【菊地】合併前(テクモ在籍時)はホラーゲーム「零」やトラップゲーム「影牢」シリーズを手掛けていて、入社時にはスーパーファミコンソフトの『キャプテン翼V』なども担当しました。合併後は“ガストブランド”で「アトリエ」シリーズなどの開発に携わり、現在はスマートフォンゲームで、新規タイトルの創造を担う“midasブランド”でブランド長を務めています。こちらで新たな挑戦として、位置情報ゲームの開発に取り組むことになり、そうして誕生したのが『信長の野望 出陣』となります。

――要注目の『信長の野望 出陣』について、その特徴を教えてください。

【菊地】“戦国の世を歩く”をテーマに、実際の地形やGPS機能を活かして、スマホ越しに広がる戦国世界を体感していただけるゲームになっています。立ち上げるとマップが表示されますが、実際の〇〇丁目というような街区に合わせて領土が細かく割り振られているので、まずは街区に紐づいた区画内まで直接歩いて近づく必要があります。そうして拠点を制圧すれば、その区画をゲームの中で自分の領地にできるので、そうやってコツコツ領土広げていく…というのが、本作の基本的な遊び方になります。歩く過程で領民と接して資金や兵糧を増やしたり、武将と交流することで友好度を高めたり。実際に歩くことで、少しずつ国力が強くなっていく感覚を楽しんでいただける一作になっています。

『信長の野望 出陣』フィールド画面(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.


――歩く動機づけがしっかりしていますね。

【菊地】とはいえ、普段の生活で歩ける範囲には限りがあるので、ある程度ゲームを進めていただくと、“遠征”も可能になります。こちらの機能を使えば、離れた区画に武将を送って拠点の攻略ができます。また旅行で出かけた先で新しく領地を獲得し、生活圏内を離れた場所からも少しずつ領土を広げていく…といった遊び方もできます。

『信長の野望 出陣』領地の2D地図画面(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.


――歩いて楽しむことが前提ですが、そのように便利な機能が搭載されているのもいいですね。

【菊地】位置情報ゲームですが、『信長の野望』本来のおもしろさは損なわないよう、その辺りには気をつけています。遊びやすい形を提示することで、「信長の野望」シリーズをより多くの方に楽しんでいただいて。そうして日本の歴史だったり、城郭や合戦の跡地などに興味を持ってもらえたらいいな…という思いが根本にあります。実際にそれらの名所を訪れて、歴史の勉強もしていただけたら、教養と健康が同時に身につくので。作品としてのおもしろさはもちろん、そういった要素も併せて、充実したゲーム体験を楽しんでいただけますと幸いです。

――ゲームをプレイしつつ、実際の名所を巡る遊び方はおもしろいですね。

【小笠原】『信長の野望』未体験のユーザーさんにも、この機会にぜひ、本シリーズに触れていただきたい…というのが本音ですが、おそらく、最初に興味を持っていただけるのは、長年にわたって『信長の野望』をプレイし続けてくださっているファンの皆さんだと思います。手軽に遊べるだけでなく、コアなファンの方にもしっかりと楽しんでいただける内容になっていますので、その辺りはご心配なく!


『信長の野望』と位置情報ゲームは親和性が高い


――改めまして、位置情報ゲームとして『信長の野望』を開発することになった経緯を教えてください。

コーエーテクモゲームスの開発プロデューサー・菊地啓介氏


【菊地】以前から社内でGPSを使った歴史ゲームのアイデアは出ていました。私は“地理”や“歴史”との組み合わせは親和性が高いと感じていて、midasブランドでの新しい挑戦として位置情報ゲームのプロジェクトを進めることにしました。ゲームの企画段階で「せっかくこのコンセプトで開発するのなら、弊社の代表作である『信長の野望』が相応しい」ということで、長年にわたって同シリーズを手掛けてきた小笠原と相談して、“シブサワ・コウブランド”との協業で、今までにない『信長の野望』を作ろう…ということになり、本格的にプロジェクトが進行して現在に至ります。

――先ほど、作品の概要をご説明いただきましたが、本作は位置情報ゲームになったことで、どのような“新しい体験”が楽しめるのでしょう?

【菊地】それはやはり、歩くことで『信長の野望』の世界観を体験できる点ですね。内政や武将の強化、領地の拡大、一つひとつの要素はこれまでのシリーズ作にもありましたが、領土を広げ、国を豊かにし、最強の部隊を編成するという、“『信長の野望』そのもの”ともいえる部分をすべて、歩くことで楽しめるようになっているのが、本作の最大の特徴であり、これまでにない新しい体験になります。

【小笠原】戦に勝って領地を広げていくという、『信長の野望』においていちばんプリミティブ(根源的)な体験を、自身の生活している場所とリンクする形で楽しんでいただける…というのは、これまでにない新鮮な感覚だと思います。さまざまな位置情報ゲームがあるなかで、本作ほど日本の地理を活かして、そこを歩くことにエンタメ性と説得力を持たせられるゲームは他にないし、それを形にできることこそ、40年にわたり『信長の野望』シリーズを作り続けてきた弊社の強みだと認識しています。本作をプレイしながら日本中を歩いて回ることで、いろんな再発見ができると思うので、まずは何よりもそこを楽しんでいただきたいです。

『信長の野望 出陣』拠点戦出陣画面(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.


――全国各地の城や合戦の跡地なども、ロケーションとして出てくるのでしょうか?

【菊地】普段の生活のなかで楽しめる要素がメインですが、特定の場所まで足を運ぶことでもらえる特典など、コレクション要素は盛り込む予定です。

【小笠原】実際に調べてみたところ、有名・無名を問わず、日本中のいたるところに史跡がありまして。それらをすべて、最初から目的地として設定するのはたいへんですが、アプリゲームの場合、アップデートという形で情報を更新していけるので。様子を見つつ、新しい要素は随時、追加していきたいと考えています。その際は、ただ単にボリュームを増やすのではなく、新しいエンターテインメントも併せて発表していきたいので、そこもまた、運営を続けていくうえでの楽しみの一つですね。とにかく拡張性のあるコンテンツですので、さまざまな自治体や企業ともコラボする形で、いろいろ仕掛けていきたいです。

『信長の野望 出陣』合戦画面(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.


ひと足早く本作を体験できる‟CBT“を実施


――ただいま参加者を募集されている、クローズドβテスト(CBT)について。こちらはどういった意図で実施されるのでしょう?

【菊地】詳しくは募集要項をご確認いただきたいのですが、ざっくりお話ししますと、弊社としても位置情報ゲームの開発は初の試みですので、「その技術テストとゲームサイクルのテストをしっかりやりたい」というのがいちばんの理由です。それと、歩いて領地を広げていくゲームですので、ユーザーさんのお住まいや周辺の環境によって、プレイスタイルは大きく変わってくることが予想されます。テストプレイを通して、どのような遊び方をされるのかを確認して。そのデータをもとに改善点を洗い出し、サービスインまでに反映させることが目的です。

『信長の野望 出陣』イベントトップ画面(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.


――たしかに、都市部と地方に住んでいる人では、遊び方にも違いがありそうですね。

【菊地】まずは基本的な部分を遊んでいただいて、ご意見を頂戴したい…と思っておりますので、名所コレクション要素などの機能は、今回のCBTでは体験できないようになっています。現状では、iOSとAndroidで5000名様ずつ、計1万名のユーザーさんにご協力いただきたく考えておりまして、ご参加いただいた皆様には、サービスインの際には何らかのお礼もさせていただきたいと考えています。実施期間は1週間で、CBT用に“川中島の戦い”を扱ったイベントも用意しますので、興味のある方はぜひ、参加していただけますと幸いです。

――貴重なお話、ありがとうございます。それでは最後に、こちらの記事を読まれた皆さんに向けて、ひと言ずつお願いします。

【菊地】弊社の代表作である『信長の野望』を使って、新たなチャレンジをする…ということで、ワクワク感とプレッシャーを同時に感じながら、ただいま開発を進めています。本当に『信長の野望』と位置情報ゲームは親和性が高いので、お互いの長所を活かす形で、ゲームとしての魅力をさらに引き出していっています。ただ楽しいだけでなく、知識の面でも、健康の面でも、遊んでくださった皆様の日常がさらに豊かになるコンテンツに仕上げたいと思っております。みなさまといっしょにおもしろいゲームに育てていけるとありがたいです。

『信長の野望 出陣』内政画面(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.


【小笠原】これまで手掛けてきた『信長の野望』のナンバリング作では、毎回、開発の時期に流行っている要素を取り入れて、それを「そのタイトルならではの特徴・おもしろさ」としてアピールしてきました。今回はこうして、GPSを利用するスマホアプリという形で、『信長の野望』を世の中にお届けするわけですが、エンターテインメントとしての戦国時代の見せ方であったり、そこに求められる要素は、時代とともに少しずつ変化してきていることを、作り手としても肌で感じています。本作は、そういった多様なニーズに応えらえる一作になっていますので、CBTにも参加していただきつつ、進捗にご期待いただけますと幸いです。開発チームとしても、10年間はしっかり遊んでいただけるゲームにすることを、一つの目標として掲げていますので、リリース後も末永く、ユーザーの皆さんといっしょに“スマホの中での戦国体験”を楽しんでいきたいと思っております。

コーエーテクモゲームスの開発プロデューサー・菊地啓介氏(左)、プロデューサー・小笠原賢一氏(右)


取材・文=ソムタム田井
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

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