「努力が報われる世界を作りたい」東大在学中に起業、教育格差の解消に挑むヨンデミー代表の目指す未来
東京ウォーカー(全国版)
AI司書が本をおすすめしてくれる読書教育サービス「ヨンデミーオンライン」を運営する株式会社Yondemy(以下、ヨンデミー)代表取締役の笹沼颯太さんは、東京大学在学中に同社を立ち上げた。どのような思いで読書教育の普及を目指し、なぜ会社を立ち上げるにいたったのか。“子どもの読書離れ”に挑む笹沼さんの思いや、今後の展望を聞いた。
同級生3人で立ち上げ、コロナ禍によるオンライン化が後押し
――東京大学在籍中に起業されたとのことですが、ヨンデミーを立ち上げたきっかけや背景を教えてください。
【笹沼颯太】東京大学では2年間は共通の科目を受けて3年生から専門が分かれるのですが、3年生で経済学部に入ったタイミング(2020年4月)でヨンデミーを設立しました。もともと起業を考えていたタイプではありませんでしたし、普通に就活しようと思っていたのですが、たまたま同級生とビジネスコンテストに応募する話が持ち上がり、そのなかで出てきたアイデアのひとつが“読書教育”でした。
【笹沼颯太】この読書教育というものをちゃんと社会に残したいと思ったときに、教育系のアイデアはだいたいNPOが最初に選択肢として上がるのですがそれだと続けることが難しくて、例えば寄付が途絶えたら、代表の人の思いが途絶えたら、その活動が終わってしまいます。加えて多くの人に届けることができないという問題もあり、読書教育を日本中の困っている子どもたちに届けたいという思いを達成するためには、会社としてちゃんとお金をいただく形にしないと続いていかないという理由から立ち上げました。でも学生なので、ヒトもモノもカネもありません。そこでまずは投資家の方から出資いただき資金調達をして、事業をつくり……というふうにスタートしました。
――資金調達は、企業を1社1社まわって営業活動をされたのでしょうか?
【笹沼颯太】そうです。最初は投資について何もわからない状態だったので、ひたすらメールを送り返信してくださった企業へ事業内容を説明して。創業した2020年4月はコロナ禍により緊急事態宣言が出たタイミングで、現在は教育のオンライン化が進みましたが、それ以前はまだ一般的ではなかったので、初めのころは「少子化が進んでいるのに、今、教育事業をやるの?それもオンラインで?」といった空気で、反応はあまり芳しくなかったですね。1時間のアポを取り最初の5分で話が終わったこともありました。
【笹沼颯太】当時はオンライン教育が受け入れられるようになるとは思っていなかったのですが、日本で読書教育をやろうと思うとオンラインにせざるを得ませんでした。現在、日本ではひとつの学校につき、ひとり司書さんを置くように努めなければならないという法律があるのですが、そもそも司書の数が足りていないため6割程度の学校しか配置されていません(※文部科学省 令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」)。その状態で、かつ司書さんのなかでも読書教育という専門スキルを持つ人じゃないとできない教育をどうやって日本中に届けるか考えたときに、AIとアプリを活用してやるしかない、となったんです。結果、それが受け入れやすい世の中になったというのは予想外の出来事でした。
――立ち上げ当初は特に、大学との両立は大変だったのではないかと思います。
【笹沼颯太】コロナ禍の影響もあり、講義も試験もすべてオンラインになったことで両立しやすくなったというのはあります。また、実は3年生の時点でほとんど単位は取り切っていたので、立ち上げて少ししてからはほぼフルコミットという状態でした。
――現在の会社の規模としては、どれくらいの人数がいらっしゃるのですか?
【笹沼颯太】社員自体は少なくインターン生が多いチームとなっていて、全体で16名ほどです。役員、社員は3人で、あとはインターン生と副業の方で構成されています。創業期は3人で立ち上げたのですが、1カ月で300冊ほどの児童書を図書館で借りて読んで、としていたので、毎日のように図書館に来て、子ども用の本を大量に借りていく男たちという……。「これ噂になってるかもな〜」「ちょっと怪しいかもよ」とか言いながら(笑)。
この記事の画像一覧(全4枚)
キーワード
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
全国約1100カ所の紅葉スポットを見頃情報つきでご紹介!9月下旬からは紅葉名所の色付き情報を毎日更新でお届け。人気ランキングも要チェック!
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介