元雑用係が「最高の修繕師」に成り上がる!大ヒット異世界ファンタジーから学ぶ“いい仕事”の本質とは?

東京ウォーカー(全国版)

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「受け仕事」という言葉がある。依頼を受けて行う仕事だ。いわゆる制作系の仕事では自分で「企画してつくった仕事」と対になり、対価が低いのが通例である。ただ「受け仕事」こそ重要だと私はあえて思う。依頼だからこそ信頼に応えて、よりよい仕事ができれば、依頼は何度でももらえるからだ。前置きが長くなったが本稿で紹介するのは受けた仕事に真摯に向き合う青年の物語だ。

※2023年5月26日掲載、ダ・ヴィンチWebの転載記事です

「追放された元雑用係、規格外の技術で『最高の修繕師』と呼ばれるようになりました~SSSランクパーティーや王族からの依頼が止まりません~」(日高:作画、あざね:原作/スターツ出版)


「追放された元雑用係、規格外の技術で『最高の修繕師』と呼ばれるようになりました~SSSランクパーティーや王族からの依頼が止まりません~」(日高:作画、あざね:原作/スターツ出版)は「小説家になろう」(※)発の異世界ファンタジー作品。ここではそのコミカライズ版を紹介する。

2023年1月に発売した単行本1巻は発売即重版がかかり、2023年5月時点で3刷りに。現時点で「グラストCOMICS」レーベル最大のヒット作品となっている。電子で先行発売されたコミックス2巻も電子書店ランキングで1位を獲得(※「Renta!」少年漫画ランキング1位(22/12/26日間))、さらには待望の紙コミックス2巻が5月26日に発売され、巨大ジャンルの異世界ファンタジーの中で今“きている”一作なのだ。

ストーリーはまさにタイトルの通りに始まる。戦闘技能を持たない“修繕師”の主人公・ライルは、雑用係として所属していたパーティーから追放されてしまう。しかし彼は、他に類をみない最高の修繕技術をもっていた。かくして彼はその腕前で周囲に認められていく――。そんな本作の序盤を紹介する。

※「小説家になろう」は 株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です

物と思い出を修繕し、想いを繋ぐ修繕師の物語

舞台は魔物が跋扈(ばっこ)する剣と魔法の世界。ライル・ディスガイズは、ある冒険者パーティーの“修繕師”だった。

修繕師とは武具や装飾、あらゆる物の破損・歪みなどの修繕を行うことができる特殊な技能を持つ者のこと。仲間の武器や防具をしっかり修繕していたライルだが、パーティーのリーダーから「戦えない、修繕するだけの“雑用係”は使えねぇ」と言われて追放されてしまう。ライルがパーティーを追い出されたその場に、ある剣士・リンドがいた。ライルの修繕した盾を見たリンドは彼に声をかけてくる。それは使い込まれた一本の剣の修繕依頼だった。


後日、修繕が完了した剣を受け取ったリンドは「想像以上の仕事をしてくれた」と満足げに大金を渡してきた。ライルが修繕したのは、彼が父から受け継いで新人冒険者の頃から使ってきた剣であった。つまりこの剣を修繕することは、リンドの父の想いを再び紡ぐことだったのだ。

それからまもなく、高難易度のダンジョンに、ドラゴンを一撃で切り伏せるリンドの姿があった。その手には古びた、それでいてオーラをまとったような剣が握られていた。


ライルは修繕の師匠である祖父から「修繕は物の色や形、そしてその物に込められた“思い出”を直すこと」と言われており、かねてよりこれを矜持としていた。矜持を貫くためにたゆまぬ努力を続けた彼の技術は、唯一のものになっていたのである。こうして彼の修繕師としての物語は、新たな幕を開けたのだ。

ライルはパーティーには入らず、修繕店「リペア・ザ・メモリーズ」をオープンした。リンドが知り合いの冒険者たちに宣伝したおかげで店は大繁盛となる。

彼は今日も物と思い出を修繕し続けている。

人の心に寄り添う主人公の活躍を読めば“いい仕事”がしたくなる!

本作はパーティーを追放される憂き目にあった主人公が規格外のスキルで成り上がる、王道のストーリーだ。だが魅力はそこだけではない。魔法や魔物、エルフなどが存在するファンタジー世界で物の修繕を通して描かれる、人の心や思い出を修復するハートフルな人間ドラマが見所なのだ。


第2話からはさまざまな思い出を胸に秘めたキャラクターたちが登場する。母親に渡されたドレスの修繕を依頼してくる侯爵令嬢・アーシャ。王女から託された髪飾りの修繕を頼んでくる孤児・テーニャ。そしてエルフの経典の修繕を国王からじきじきに命じられたとき、手助けをするために現れたエルフのティロー。彼らの大切にしている物や思い出に、ライルがどう向き合っていくのか、ぜひ読んで確かめてもらいたい。

ライルは受けた仕事は100%ではなく120%こなす。ただそれはチートなスキルのおかげではない。彼は常に人の真意や本音に思いを巡らせて行動する。そうすることで物とそこに込められた気持ちや思い出を修繕できると信じているからだ。

本作を読むと、人の心を動かすのは大切にしている物の修繕スキル以上に、寄り添ってくれたという納得感や満足感であるのだと分かる。

私たちには規格外のスキルはない、しかし相手の思いを念頭に置いて日々どんな仕事にも取り組むことはできる。ライルのように受けた仕事をやりきれば、必ず出世の道が開けるとは言えない。しかし少なくとも120%で仕事をするべき理由はみえてくるはずだ。

文=古林恭

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