大暴落はまたくるのか?会計学博士の見立てと「株価暴落時」の対処法
東京ウォーカー(全国版)
「暴落」というとその字面からも不穏なものを感じさせるが、それこそ投資の未経験者や初心者からすれば不安をかきたてられるものだ。少し前には「世界経済がリセッション(景気後退局面)入りする可能性があることを世界銀行が警告した」という報道もあったが、リセッションにより暴落は起きるのか。また、投資家は暴落時にどんな対処をすべきだろうか。会計学博士として多くの大学で教鞭を執ってきた榊原正幸さんに聞いた。

「利上げ株安、利下げ株高」は本当か
景気は大きなサイクルで拡大と縮小を繰り返していますから、「また暴落がきますか?」と聞かれたなら、その規模はともかく、答えはもちろん「YES」です。
お金や経済に詳しくない人には少し難しいかもしれませんが、マクロ経済学においては一般的に「利上げ=株安、利下げ=株高」というふうに、利上げのときには株価は下がり、逆に利下げのときには株価は上がるといわれています。
でも、現実はどうでしょうか。例えばNYダウというアメリカの株式市場の代表的な株価指数を見てみると、実は利上げの初期のころには株価が上がっています。なぜなら、利上げをするのは景気がかなりいいときだからです。
景気がよくて企業活動が活発になると、過度のインフレといった問題を引き起こすことがあります。そのため、中央銀行は政策金利を上げ、資金調達をしたり設備投資をしたりといった企業活動を落ち着かせようとするのです。しかし、その利上げが瞬時に効果を発揮するわけではありません。景気自体はいいのですから、利上げの初期のころには株価はまだまだ上がり続けるわけです。
でも、利上げの後半の時期になると、「そんなに利上げをすると景気が下がるぞ」と株価が反応をし始めます。そして、実際に株価が下がっていくのです。つまり、利上げの後半については「利上げ=株安」というマクロ経済学の教科書どおりの状態になりますが、利上げの初期の段階については真逆のことが起こるのです。

2023年中の暴落はないと思われるが……
今アメリカではインフレにブレーキをかけるための利上げが続いていますが、その利上げも後半の時期にあたると思います。実際、先の解説のとおり、NYダウはじわじわと下がっています。そのため、アメリカの中央銀行にあたるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、いずれ利下げすることは間違いありません。
今度は、先ほどの利上げとは逆のかたちで、政策金利を下げることで企業が資金調達をしたり設備投資をしたりしやすくし、企業活動の活発化を図るのです。そうして株価を上げて、景気回復を促すわけです。
ただ、ここでも、教科書どおりとはなりません。先にお伝えしたようにマクロ経済学では「利下げ=株高」といわれていますが、やはり利下げしたからといってすぐに株価が上がるわけではないのです。
逆に、利下げしたことで「中央銀行が正式に不況を認めたぞ、本気でヤバいぞ」と株価が反応します。そうして、マクロ経済学の「利下げ=株高」とは逆に、利下げの初期には株価が暴落するという現象がみられるのです。少なくとも、これまで20~30年のNYダウは、そのように推移してきました。
ですから、最初にお伝えしたとおり、「また暴落がきますか?」という問いに対する答えは「YES」となるわけです。ただ、現時点ではFRBが2023年中の利下げを否定していることもあり、2023年中に暴落する可能性は低いでしょう。しかし、利下げとなったら暴落する可能性が非常に高いと考えています。
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