祖母の様子がおかしいのに誰も信じてくれない?介護実録漫画が知見に富んでいる【作者に聞いた】

東京ウォーカー(全国版)

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65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超え、「超高齢化社会」を迎えた日本。高齢化に伴う問題はさまざまあるが、その中でも介護問題は個人にとっても社会にとっても重要だと言える。介護する側も高齢で共倒れの危険がある“老老介護”、子供にもかかわらず大人が担うようなケア責任を引き受ける“ヤングケアラー”という言葉も生まれている現代だが、いずれにせよ介護問題は家庭内だけに留めるのではなく、行政などの社会との連携が必要不可欠だろう。

同じものを何度も買ってきたり、財布を何度もなくしたりとおかしな行動が増えた祖母のきみ子さん。そのことを周囲の人に話してもなかなか理解してもらえなかったという。「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」より(C)さとみ/毎日が発見

「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」登場人物紹介(C)さとみ/毎日が発見

普通ってなんだろう 01(C)さとみ/毎日が発見

普通ってなんだろう 02(C)さとみ/毎日が発見

普通ってなんだろう 03(C)さとみ/毎日が発見

普通ってなんだろう 04(C)さとみ/毎日が発見

異変を感じてからの第一歩 01(C)さとみ/毎日が発見

異変を感じてからの第一歩 02(C)さとみ/毎日が発見

異変を感じてからの第一歩 03(C)さとみ/毎日が発見

第三者の介入 01(C)さとみ/毎日が発見

第三者の介入 02(C)さとみ/毎日が発見

同居する祖母が認知症になり、学生ながら介護を余儀なくされた体験を描いたコミックエッセイ「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」でも、外部との連携が大事なことがわかる。漫画の作者であるさとみさん(X、旧Twitter @satomi_qoljojo )に対し、「私のお財布盗ったでしょ!!!」と疑いをかけるようになったり、同じ物を大量に購入するようになったりした祖母のきみ子さん。周囲に相談するも「高齢だし普通だよ」と返されることもしばしばだったそう。さとみさんがどのように祖母の問題を外部に共有できるようになったのか、話を聞いた。

外部とつながることが大事「『私が頑張れば』『我慢すれば』は問題の先送りをしていただけ」

――きみ子さんの状態について周囲に話をしても信じてもらえないというのは、やるせなく、辛かったと思います。特に怒る人の存在には驚きなのですが、怒っている人の言い分はどのようなものだったのでしょうか?

「失礼なことを言うな」というのが根底にあったようです。私は異変として話したつもりでも、差別的に聞こえたり馬鹿にしているように感じたりする人がいました。世代によって認知症に対してのイメージが大きく異なっていることを、身をもって実感した瞬間でした。

――地域包括支援センターの存在はどのようにして知りましたか?

ネットで見たのが最初だったかと思いますが、たまたま通学途中に置き看板や張り紙があって、それで認知していました。

――きみ子さんの異変に気づいてから支援センターにたどり着くまでは、どれくらい時間がかかりましたか?

1年くらいでしょうか。誰も心配していないけど思い切って行っちゃえ!と。自分では早く行動したつもりですが、今になって考えてみると時間がかかっているように思えますね。

――支援センターにつながることが、問題解決の第一歩でしたね。同居家族のことで悩んでいる方にメッセージをお願いします。

支援センターは手に負えなくなってから行く場所だと思っていたのですが、いま思えばスタートラインを切る場所だったと感じます。家族のことはほかの人より理解しているかもしれませんが、支援センターに行ったことで介護に関しては無知で素人なんだと痛感しました。

「私が頑張れば」「我慢すれば」は問題の先送りをしていただけで、状況の改善は難しいです。私1人で祖母の対応をしていたときはどんどん疲れ切っていき、大声で怒鳴られても「おばあちゃんは好き放題やれていいな」なんて感想を持つことも。相当感情や感覚が鈍っていたように思います。

1人で考えていても実行に移すのが難しかったり、そもそもどうすればいいかわからなかったりすることが多いと思います。そんなときに道案内をしてくれるのが地域包括支援センターです。家庭内だけで悩まずに、まずは私のようにパンフレットだけでも!と一歩を踏み出してほしいです。

認知症の診断を受けるか躊躇するさとみさんに対し、「一緒に暮らすあなたが異変を感じているのなら、たとえ認知症でなくても興奮状態を緩和する療法とか、何かしら改善の道が見えてくるはずよ」とアドバイスをする介護福祉士の高橋さん。家族がともに、心身健康的に暮らすためにも“異変”を感じたら1人で我慢せずに、理解してくれる人と話を共有していくことが大事なことがわかるエピソードだ。

取材・文=西連寺くらら

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