要介護度の高低は介護の楽さとは直結しない！認知症介護実録漫画からわかるそれぞれの苦労【作者に聞いた】

辛いときに、同じ悩みを抱えている人と話を共有することで頑張れるということがある。他方で、自分よりも大変であろう人の話を聞くことで弱音を吐いてはいけないと自分を追い詰めてしまうことも…。

さとみさん( @satomi_qoljojo )はアルツハイマー型認知症と診断された祖母・きみ子さんの介護を長く担ってきた。同居している一番身近な身内ということもあり、きみ子さんから「財布を盗った！」と疑われたり、昼夜問わず付きまとわれたり、深夜にひとり歩きしようとするきみ子さんを止める日々が続いて睡眠不足になってしまうこともあったそう。

そんな中、きみ子さんは介護サービスを受けるために認定調査を受けることに。調査を受けることで、要支援1・2、要介護1〜5の7つの区分に分けられ、それによって受けられる介護サービスが変わっていく。結果は「要介護2」。事前予想ではもっと軽い「要支援」かもという話もあっただけに、さとみさんは自分の苦労が報われたような気持ちになったという。しかし、介護度が低ければ介護が楽という考えは間違っているとのちのち気づいたと、コミックエッセイ「嫌いから可愛いになった私のおばあちゃん 〜認知症介護実録〜」で触れられている。当時の心境について聞いた。

今の状況を確認することで、辛さが和らぐことも

――彼氏さんから「要介護認定の重い軽いで介護が楽か楽じゃないかの判断基準にはならない」という言葉がありました。この話を聞いたときの心境を教えてください。

重労働であることを認めてもらえたようで、周りにどう思われているかは置いといて素直にうれしかったです。

――作中で「軽い区分だから楽だという考えは間違っている」とありましたが、このことについて詳しく教えてください。

一般的には「軽い区分=自分でできることが多い」という認識ですが、苦悩はそれぞれだなと実感しております。動ける分遠くに行ってしまったり、口が達者なら罵声や大声などで精神がえぐられたり。私の場合は、おばあちゃんが思ったことをガンガン言うので、外から見たらとても元気で介護もそんなに大変そうではないと思われていても、結構精神は削られていた、なんてこともありました。

――要介護2という判定だったことから、ケアマネジャーの方にケアプランを作ってもらうことになりましたね。ケアマネジャーの方とはどれくらいのやり取りをされていましたか？

元来ケアマネジャーは月に1度訪問してくれます。なので、定期的に何度かやり取りをしておりました。それ以外でも相談したい場合はいつでも来てくださいと言ってくださり、デイサービスを探すにあたって1、2度お話をさせていただいたこともありました。

――いま、在宅介護で大変な思いをされている方は多くいらっしゃると思います。もちろん、その悩みは千差万別であるとは思いますが、「介護が辛い」と感じている方に、どのように声をかけますか？

辛さが少しわかる分、言葉に詰まるのですが。私は同情だけでは作業が楽にならないと考えてしまう性格なので、どうすれば辛さが和らぐのかを考えたいです。なので「今どういう状況？」とお声がけしたいですね。追い詰められていると意外と正確な状況の把握ができていなかったりしますが、解決案を出さなくてもよいきっかけになることもあります。また、私がかけられた言葉なのですが、ある方から「必ず終わりが来る」と言われ、永遠に続くかもしれないという錯覚に陥っていたときだったので、真理だなぁと思いました。


介護に限った話ではないが、“辛さ”というのは人によって感じ方が異なるうえに変化していくもの。自分の辛さと他者の辛さを比較して、ただでさえ辛いときにさらに自分を追い込むような思考をしないことが大事だ。ネガティブなときには思考もネガティブに傾きやすいので、さとみさんにとっての彼氏のように、きちんと話を聞いてくれる人に思いをぶつけるのも一つの手だろう。

取材・文＝西連寺くらら