1日3分で「禅の精神」が身につく!登録者数58万超YouTubeチャンネルの“和尚”による禅入門

東京ウォーカー(全国版)

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仏教をルーツとする「禅」の力に、救われる人は少なくない。世界的にも「ZEN」「マインドフルネス」として親しまれ、名だたる大企業の研修でも使われている。

※2023年9月9日掲載、ダ・ヴィンチWebの転載記事です

「1日3分でしなやかな心が育つ 禅のことば」(大愚元勝/講談社)


登録者数58万超(2023年7月時点)を誇る人気YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」で人びとの心を救う佛心宗大叢山福厳寺31代目住職、大愚元勝さん監修の児童書「1日3分でしなやかな心が育つ 禅のことば」(講談社)は、大人も楽しめる「禅」の入門書だ。

本書では、ゆるいイラストにも心温まる見開きページのわかりやすい構成で、24個の「禅」の言葉をやさしく解説。ゆれ動く感情に振り回されがちな人生に、おだやかさをもたらしてくれる。

悪い出来事も受け止め方で「いいこと」に変えられる

本書によると、「禅」は「感情のゆれ動きをピタッと止めて、ありのままの出来事をクールに観察できている心の状態」をもたらし、さらに、その奥深さを知れば「自分で考える力」も身につけられるという。

その効果は、数ある「禅」のことばに込められている。例えば、「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」は、「悪いことが起きても気にしすぎない」と教えてくれる格言だ。

発したのは、唐の時代の中国を生きた僧侶「雲門文偃(うんもんぶんえん)」だ。ある日、雲門文偃は弟子たちに「これから15日以降の日々の心境を述べなさい」と問いかけたが、弟子たちは「未来の気持ち」がわからず困惑。すると、雲門文偃は「日日是好日」と答えた。

この格言は「すべての出来事は私たちの受け止め方ひとつで『いいこと』に変えられる」ということを意味している。例えば、スマホを見ながら歩いていて、電柱にぶつかってしまった場合を想像してほしい。「最悪な日だ!」と思うかもしれないが、教訓にして「スマホを見ながら歩くのはやめよう」と思えば、事故を防げるようになる。

また、「禅」ではそもそも「この世には『いい出来事』も『悪い出来事』もない」と考えられている。そのため、「『いい』とか『悪い』は私たちの心がかってに作っているだけで、それにとらわれすぎてはいけない」と本書は教えてくれる。

千利休が広めたとされる「一期一会」の真理

もう一つ、本書より「禅」の格言を紹介する。四字熟語としても広く知られる「一期一会」も、じつは、「禅」の教えによるものだという。

本書によると、広めたのは禅僧をルーツとした茶道をきわめた「千利休」だったようだ。「戦や病気などで、昨日会った人と再び会えないこと」も多かった「安土桃山時代」を生きた千利休は、この格言に「お茶を点てるとき、もう二度と会えないかもしれないという気持ちでいなさい」と思いを込めた。

現代でも、いつも会う人との別れがふと訪れる。転校や転勤、転職、もしくは病気やケガなどにより、気の合う仲間と離れ離れになってしまうかもしれない。

一方で、出会いもまたふとやってくる。本書では「袖振り合うも多生の縁」ということばも紹介しているが、これは「道ばたでほかの人との袖がふれ合うのも、なにかのご縁があるから」という意味を持つ。そのため、「出会った人を大切にしましょう」と訴えている。

本書の構成のように、紹介される「禅」の格言はどれも平易でわかりやすい。だからこそ、物事の「本質」とは何かを考えるきっかけになる。自己啓発やアンガーマネジメントにも役立つ本書を、日々の生活に活かそう。

文=カネコシュウヘイ

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