小説家デビューを果たした、お笑い芸人レインボー・ジャンボたかおに迫る!きっかけは「コロナ禍」だった【インタビューその1】

東京ウォーカー(全国版)

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【写真】小説家デビューを果たしたお笑い芸人レインボー・ジャンボたかお©YOSHIMOTO KOGYO CO.,LTD.


芸人レインボー・ジャンボたかおの小説 「説教男と不倫女と今日、旦那を殺す事にした女」 (KADOKAWA)が9月に発売された。小説の展開はもちろん、独特のワードセンス、自分の経験を織り交ぜた繊細な心理描写などが話題だ。今回は、この小説ができるまでの裏話をインタビュー形式でお送りする。

【画像】ジャンボたかおのデビュー作「説教男と不倫女と今日、旦那を殺す事にした女」


作り出す楽しさはコントと繫がっている

――今回、初著書となりますが、どのような経緯で執筆することになったのでしょうか。

きっかけになったのは、コロナ禍で暇な時間ができたときにnoteに書いていた小説だったと思います。編集の方からそれを「おもしろい」と言っていただき、本を書く話が具体的に進んでいった感じです。まわりの芸人たちが日々思うことをnoteに上げていたり、日記として使っているのを知って、僕もやってみようかなと思いました。だから、最初は小説を書くなんて思ってもみなかったし、暇な時間も使い方によってはこんなに幅が広がるんだなと思いますね。

――元々、小説を読んだり書いたりすることに興味があったのでしょうか。

お恥ずかしい話ですが、小説を読むのは苦手でほとんど触れてきていません。ですが、日頃コントを書いているので、何か作り出すのは好きだという自覚はあります。小説とコントはまったく違うジャンルだと思われがちですが、かなり似ている部分もあるんですよね。特に会話が次々に進んでいくところなんて、まさにコントの作り方と同じ。反対に違いを感じたのは、コントの場合は2人で立ちながら身振り手振りを付け加えていくけど、小説の場合はそれをすべて言葉で表現しないといけないということでした。

――執筆している間に「どうやって書いたらいいんだろう」と悩まれた部分はありましたか。

例えば、女の子が怪しげにこちらの顔をのぞき込んで、そのあとわざとらしいくらいニコッと笑う……みたいな描写をしたいときに、どうやって言葉にするかは悩みました。単純に「笑った」という表現でもなく、言葉を増やして説明しても逆にわからなくなるので。女の子の表情を想像していくと、スマホの絵文字にある笑顔のスタンプくらいに、目が三日月になっているんじゃないかと考えたりもしました。よく「目が笑ってない」という表現がありますけど、その三日月みたいな細目からジッと見られていたら居心地の悪さを感じますよね。

自分のだらしなさと折り合いをつけるのが一番大変

――表現に悩むと執筆期間も長くなるのかなと思うのですが、実際はいかがでしたか?

1年3カ月くらいダラダラと書いていましたね。結果的に、世の中に出すまでに2年以上かかっていると思います。でも、その間ずっと悩んでいたとか筆が進まなかったとか、そういうことではなくて。ただ単に僕の性格がだらしないので、それが一番の問題でした(笑)。編集の方から1カ月に1回くらい「どうなってますか?」って聞かれるんですけど、そのときも「すみません、今から神戸に行くんで」とか嘘ついたりしてゴネてました。

――書くのがつらかったということでしょうか。

それを言葉にするのってすごく難しいんですけど、基本的に自分がやっていることは全部好きなことなんですよ。だから「小説全然書きたくない!」とかではなくて、夏休みの宿題ずっと残っちゃってるなっていう嫌な感じがあるんですよね。気合い入れて書きはじめると5時間経っているということも普通なので、1年3カ月書いていたというのも、書いていた時間だけを取り出したら6日くらいなんじゃないかなって思います。

――小説を書くにあたって、自分の書きたいジャンルの小説を読んでみたり、準備段階のような時間はありましたか。

買ったんですよ。買ったんですけど……3ページくらいで読むのをやめました。読んだらどこかしら影響を受ける部分もあると思うし、今回の小説は自分の体験を色濃く出しているので、あまりほかの作品を参考にしないほうがいいかなとも思いました。

ほかにも、作品を書いている途中で殺人方法について編集の方に相談したり、自分で本を読んで探してみたりもしました。でも、殺人についてすごく難しく解説している本を手に取ってしまったみたいで、これは本に触れてこなかった自分のせいでもあるんですが、読んでも全然わからないんです。

このままだとわからないままだなぁと思っていたところに、ネットでたまたま「私はこうやって人を殺そうと思っています」というコメントがまとめられたサイトを見つけました。それを見たときに、殺人方法を解説している本よりも「怖っ‼」って感じたんです。そのときに僕は殺す手段にこだわるよりも、この「怖っ‼」って思わせられるほうが大事なのかもと感じました。

――真面目に解説している本を読んでいたら、リアルな恐怖にたどり着かなかったかもしれないと思うと、そのだらしなさも意味があるように思えてきます。

それはかなりポジティブな解釈だと思います(笑)。でも、小説の中に出てくるキャラクターたちは、自分の性格をそれぞれ表現しているので、もちろんだらしない部分も反映されているし、一見意味がなさそうなことに自分なりの意味を見出していたりもします。僕という人間のすべてを詰め込んだ小説なので、ぜひいろんな方に読んでいただきたいです。


取材・文/山岸南美

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