味の素冷凍食品のギョーザ、3520個の“使い込まれたフライパン”をどう活用?ひとりでも多く「きれいに焼ける」感動を
東京ウォーカー(全国版)
理想とするギョーザに向かって“永久改良”
――次に「ギョーザ」の歴史について教えてください。
【勝村】当社は1972年に冷凍食品の販売を始めて、「ギョーザ」は最初に出した12品のうちのひとつです。“永久改良”を掲げ、世の中の生活者のライフスタイルの変化、味付けや食感などのトレンドをふまえ、これまで約50年の歴史の中で50回以上改良を重ねてきました。

【勝村】大きな改良としては、まず1997年に油なしで、水を入れるだけで焼けるようにしたことです。その後、水を量ることも手間に感じる方もいるということで、ギョーザが入っているトレーに目盛りを付けてみましたが、それでも目分量で水を入れる方もいらっしゃいました。「ギョーザがうまく焼けない」という声もあり、それならばいっそのこと油・水なしで焼けるようにと改良したのが2012年です。
【勝村】2003年ごろから冷凍ギョーザの売り上げは伸びていましたが、2012年の改良でさらに市場が大きくなりました。その後も、まだうまく焼けないという声もあり、調べてみると中火の火加減がわからないという方が多くいらっしゃるとわかりました。ガスコンロといっても都市ガスとプロパンでも違いますし、コンロのメーカーによっても火力が違います。当時はパッケージ裏面に中火という絵と文字だけで説明していましたが、これを写真に変えて、火の穂先がフライパンの底に当たるぐらいを目安にしてくださいと伝え方を変えることで、多くの方に安定して焼いていただけるようになりました。

――“永久改良”を掲げているということですが、売り上げも好調で「しばらく改良の必要はない」と思うことはないのでしょうか?
【勝村】担当者からは「売れているものを変えることで、良さが損なわれてはいけない」という話は出ますね。でも我々が理想とするギョーザはまだあって、よりパリッとした食感や、中具のジューシーさ、皮のモチモチ感など、もっと良くしたいことが常にいくつもあります。
【勝村】以前は冷凍食品のエントリー商品として最も多いのは冷凍うどんでした。それがここ3年ほどは冷凍ギョーザに変わっています。つまり冷凍ギョーザの良さが世の中に広まったということです。それだけ期待も大きいということで、担当者はすごくプレッシャーを感じていると思いますが、50年もの間、脈々と受け継がれているDNAみたいなものを意識しながら、改良に取り組んでくれているのだと思います。
「ギョーザ」を通して感動や笑顔を届ける
――最近は冷凍ギョーザの無人店舗や自動販売機も増えています。こうした市場動向についてどのように感じていますか?
【勝村】お店の売り場が広がり、ご当地ギョーザなども増えて、ギョーザというカテゴリー自体の広がりを感じますね。我々は冷凍ギョーザの製造・販売を50年以上続けてきて、冷凍ギョーザが評価されて、盛り上がってきたというのはうれしいことです。それを牽引してきたという自負もあります。しかし、それだけプレイヤーが増えるということは、我々にとっては脅威でもあるので、どうやって当社のギョーザの良さをお伝えしていくかというのが課題だと感じています。
――味の素冷凍食品の冷凍ギョーザの強みは?
【勝村】日本ではギョーザはご飯と一緒に食べるおかずです。当社のギョーザはご飯にあう味を意識していて、タレをつけなくても食べられるよう下味をつけています。また、誰でも簡単に羽根付きのギョーザを焼くことができ、焼き上がったときの喜びや楽しさを感じていただけて、食べてもおいしいということを一番大事にしています。なので今回、SNSをきっかけに我々が理想としている状態にならないご家庭があるということを知り、ひとりでも多くの方に感動を届けられるよう改良を続けていきたいとあらためて思いました。
――ラインナップも豊富ですね。
【勝村】最初はずっと「ギョーザ」をメインでやってきて、2018年に「しょうがギョーザ(現:生姜好きのためのギョーザ)」を発売して2枚看板にしました。それからいろいろなメーカーが参入したり、ご当地ギョーザが盛り上がったりするなかで、消費者のニーズも多様化してきました。我々としては単純にフレーバーを広げるというより、さまざまなオケージョンに応じたメニューを、2021年ごろから徐々に増やしています。

【勝村】たとえば食物アレルギーがあってギョーザを食べられないという方に向けた、「小麦、卵、乳」を使わない「米粉でつくったギョーザ」です。また、最近の健康志向をふまえて塩分を40%カットした「おいしく塩分配慮ギョーザ」を2023年8月に発売しました。味の素はアミノ酸の会社なので、塩味をカットした分を、うま味で補っておいしさをコントロールすることは得意とする分野です。
【勝村】あとはニンニクをしっかり効かせておつまみとして食べていただける「黒胡椒にんにく餃子」や、ニンニクを使わずにランチでも食べられる「シャキシャキやさい餃子」、フライパンで焼いたギョーザを手軽に食べられる「レンジでギョーザ」などもあります。
――「生姜好きのためのギョーザ」は体調を崩したときのためにストックしていて、何度も助けられました。
【勝村】冷凍食品は賞味期限も長いのでストックしていただきやすい商品です。当社の冷凍ギョーザは停電になったとしても、冷凍庫の食品収納率が6割以上で、ドアの開閉が少ないなど、ある一定の条件下であれば1日経ってもおいしく食べられることが確認できています。また、停電で火が使えなくてもカセットコンロやキャンプ用のバーナーがあれば非常時に食べることもできます。食べ物を焼く匂いや音には人を元気にしたり、ほっとさせたりする力があります。焼くことによって元気になれる、そんなギョーザの価値も発信しているところです。
――最後に今後の展望を教えてください。
【勝村】我々はリーディングカンパニーとして、ギョーザの永久改良を続けていき、食べることによって感動や笑顔を届けていきたいと思っています。そのためにも今回の張り付くフライパンという課題についても少しでも改善して、これからも改良を進めていきたいと考えています。
この記事のひときわ
#やくにたつ
・SNSではできる範囲のことをスピード感を持って発信する
・ユーザー一人ひとりの声が改良のきっかけになる
・消費するシーンや気持ちまで考えて製品を設計する
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