「老後2000万円問題」は本当?年金の不安は「自分次第」で解消できる

東京ウォーカー(全国版)

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数年前、メディアをにぎわせたのが「老後2000万円問題」だ。若い世代の人のなかにも、自分の将来に不安を感じた人もいるかもしれない。また、老後といえば「将来、今の若い世代は年金をもらえないのではないか……」といった話もある。老後2000万円問題と年金破綻問題、実際のところはどうなのか——。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに聞いた。

ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんにインタビュー


2階建てではなく3階建て?日本の年金制度をおさらい

日本の年金制度については、「2階建て」という表現がよく使われます。1階建て部分にあたるのは、「国民年金(基礎年金)」です。国民年金については、原則として20歳〜60歳未満の国民全員が加入します。令和5年度の国民年金保険料は、月額1万6529円です。

そして2階部分は、会社員や公務員が加入する「厚生年金」です。厚生年金保険料の月額は、毎月の給与から算出した標準報酬月額の18.3%と定められています。ただし、その半分は雇用主が払っていますから、個人では9.15%を払っているということになります。

また、自営業者など会社に勤めていない人の場合、厚生年金の代わりに任意で「国民年金基金」というものに加入することができます。「国民年金」+「厚生年金、あるいは国民年金基金」という構造になっているために、日本の年金制度は2階建てというふうに呼ばれるわけです。

しかし、今は「3階建て」と表現されることも増えてきました。企業型確定拠出年金、確定給付年金、厚生年金基金などの企業年金や、国民年金基金と同じく任意で加入できる、「iDeCo」など個人型確定拠出年金が広く利用されるようになってきたからです。従来の2階建てに企業年金や個人型確定拠出年金を加えた3階建てにしている人が増えているということです。

やはり、メディアなどを通じて「今の若い世代が老後にもらえる年金は大きく減る」だとか、それどころか「年金をもらえなくなる」「日本の年金制度は破綻している」といった話を見聞きして、「2階建ての年金だけでは不安だ」というふうに考える人が増えているからなのでしょう。

従来の2階建てに企業年金や個人型確定拠出年金を加えた3階建てにしている人が増えている【撮影=藤巻祐介】

「日本の年金制度は破綻している」は嘘

では、今の老齢年金受給者はどれくらいのお金をもらっているのでしょうか。公表されている最新のデータである令和3年度の数字を見てみると、国民年金制度により給付される「老齢基礎年金」の平均受給額は月額5万6479円。制度上の満額受給額は6万5075円ですが、40年間の保険料納付という満額受給資格を満たしていない人もいるために平均受給額はそれよりも低くなっています。

一方、会社員や公務員など、老齢基礎年金に加えて「老齢厚生年金」も受け取れる人の場合、同じく令和3年度の平均受給額は14万5665円です。夫が会社員や公務員で、妻が専業主婦など国民年金加入者だった場合、両者を合わせた月額20万2144円が夫婦ふたりの平均年金受給額となります。

ではこの先、本当に年金はもらえなくなるのでしょうか。私の答えは「NO」です。多くの人が思っている以上に、日本の年金制度は優秀です。そういえる理由のひとつに、「年金積立金」があります。

年金積立金とは、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」という組織が運用している積立金のことで、その運用残高は200兆円を超えています。この年金積立金は、みなさんが支払っている年金保険料や税金によって老齢年金の給付ができなくなった場合、つまり「もしものとき」の給付にあてられるものなのですが、現時点でそれを取り崩すには至っていません。

また、国民年金や厚生年金を合わせた公的年金については、5年に一度のペースで「財政検証」というものが行われています。公的年金は長期的な制度であるため、社会や経済の状況の変化を踏まえ、公的年金をめぐる現在の状況や将来の見通しについて検証をしているのです。

直近の財政検証は2019年に行われました。それによれば、インフレの影響などもあって「受け取りはじめるときの老齢年金額が、その時点の現役世代の所得に対してどれくらいの割合になるか」を示す所得代替率はやや下がるとしても、今後の老齢年金の金額自体は今と変わらないという見込みが示されています。

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