「季節性のアノマリー」に踊らされない投資判断のすすめ
東京ウォーカー(全国版)
相場の予測は「4つの相場サイクル」の理解と読み解きが基本
ここで少し余談ですが、いまも新しいアノマリーの種は生まれています。2023年の8月から、世界一のシンガーとして有名なテイラー・スウィフトの全米ツアーがスタートしたのですが、彼女のライブ先には全米、あるいは世界中からファンが集まるため、公演先のホテルやレストランでは価格を数倍に引き上げても満員御礼になるような状況が起こります。
テイラー・スウィフトのツアーが「アメリカのGDPを押し上げている」「経済効果がある」という報告が、7月に発行された「ベージュブック(地区連銀経済報告書)」というアメリカの経済情勢に関する権威あるレポートに記載されたのです。さらに実際に、2023年の7月末にアメリカ市場は最高値をつけたことから、一定の信憑性を持って語られています。
きっと、こんな効果が数回も続けば、値動きの予測や検証のネタにされ、「テイラー・スウィフトがツアーを組んだら株を買え」というアノマリーとなっていくのでしょう。その程度のものなのです。
短期投資において、こうした不確実なアノマリーよりもずっと重要な判断材料は、「4つの相場サイクル」を読み解くことです。

<4つの相場サイクル>
❶金融相場:金利が下がり、株価は上がる
不景気で企業業績・株価が悪化しているため、中央銀行が金融緩和を行い、利下げによって景気回復を図り、株価を上げていく「不景気の株高」の段階。
❷業績相場:金利が低いまま、さらに株価は上がる
金融緩和により企業の業績が回復しはじめた段階。
❸逆金融相場:金利が上がり、株価は下がる
景気が拡大しすぎてインフレにならないよう、利上げによって引き締める段階。
❹逆業績相場:金利が高いまま、さらに株価が下がる
利上げによって景気が下降し、株価が一段と下がる。
株式相場は、つねにこの4つのサイクルのどこかにあります。現在の相場環境を知ることで今後の株価の上昇、あるいは下落を予測することができ、投資の判断材料となるわけです。そのためには、アメリカの金利政策を把握し、経済指標から景気動向を確認することが大切ですし、株価だけでなく金相場などのコモディティの動向や、債券なども参考にして相場の現在地を探っていくのです。そこにアノマリーが介在する余地はなく、ひたすら勉強と情報収集の努力でしか予測の精度を高められません。
なお、2023年11月現在、アメリカの相場は2年以上続く金利上昇の途上にあり、逆金融相場にあると見られています。このまま逆金融相場が続くのか、またはリセッションを起こして相場の転換に入るのか、あるいはリセッションなしに逆業績相場へと至るのか――世界中の機関投資家・個人投資家が注目しています。
構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=吉田大悟
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