K-POPの観察者と当事者による対談！古家正亨×高田健太のディープすぎるK-POPトーク「自分を傷つけてもいいから今こそ自分と向き合ってほしい」【後編】

4月2日に「BEATS of KOREA いま伝えたいヒットメイカーの言葉たち」を出版した韓流ナビゲーター・古家正亨さんと、1月23日に「日本人が韓国に渡ってK-POPアイドルになった話。」を出版した日本人K-POPアイドル・高田健太さん。高田さんの著書内で実現したお二人の対談企画より、書籍未掲載部分を公開いたします！K-POPの傍観者と当事者、それぞれの視点からK-POPの過去と未来について深く語ってもらいました。※本記事は、前・後編の後編となります

海外に行くとホテルでちゃんと寝る時間があるから嬉しいんです

――昨今、「アイドル」という職業の在り方や育成システムの問題点などが、様々な面から議論されています。K-POPを外側・内側から見てきたお二人から見て、いかがでしょうか？

健太：アイドル目線としてすごく思うのは、やりたいこと・やってみたいことはたくさんあるけど、やっぱり「K-POPアイドル」という仮面というか壁のようなものがあって、ストップがかかることも多いです。それが時には会社であるかもしれないんですけど、自分なりに悩みながら「こういうことをして自分のキャラクターを探してみたい」と会社に打診してみてもOKが出ないと、結局は量産型のK-POPアイドルという枠の中でのキャラクター探しにしかなりません。そうなると、何百人といるK-POPアイドルがぎゅうぎゅう詰めの籠の中で「自分の居場所はどこなんだろう？」となってしまうわけですよね。そういった悩みは、僕も含めてみんなあると思います。

古家：イベントやコンサートのMCですら台本通りに進行しているグループもありますし、事務所によってやり方が当然、全然違ってきます。そういう時は「言いたいことがあっても、我慢しているんだろうな」とか、ファンには見えない本人たちの苦労している姿が僕には見えるので、ちょっと可哀想に感じる部分もあります。だけど、まだ練習生の子たちからすれば、それでもデビューしているんだからいいじゃないっていう思いもあって。そのデビュー前と後の葛藤みたいなものって、絶対みんな持っていると思うんです。

健太：そうですね。練習生時代って、デビューしてて羨ましいな、すべてが幸せなんだろうなって思うんですけど、逆に言えばそういうことを考えるくらいの余裕があるってことなんです。デビューしたら、悩んでる暇もないくらい忙しい。でも悩み事は尽きないし、寝る時間もない。スケジュールをこなすだけでいっぱいいっぱいになってしまうので、練習生に言いたいのは、自分を傷つけてもいいから今こそ自分と向き合ってほしいです。デビューすると、知らない間に積もっていった色んな感情が本当にふとしたタイミングで一気に爆発するから、訳わかんなくなっちゃう。外国人とか関係なく、K-POPアイドルはそれが一番大変だなってすごく思います。

古家：ファンから見たら、アイドルって本当にそんなに忙しいの？って思う人もいるかもしれません。たとえば僕のMCの仕事なら、イベントでステージに立っている時間は2時間くらいですけど、そこに至るまでの準備があるわけです。アイドルたちも同じで、テレビに出たりコンサートをやったりみたいな、わかりやすい部分だけ見たら、そこまで忙しそうに見えないかもしれませんが、実際はスケジュールがパンパンなんですよね。あのスケジュールをどうやってこなしているんだろう？といつも思います。

健太：だから、これ結構あるあるなんですけど、K-POPアイドルって海外行くとホテルでちゃんと寝る時間があるから嬉しいんです。海外でもハードスケジュールではあるんですけど、韓国に帰っちゃうと寝る時間すらないスケジューリングで詰め込まれてるから。それくらい忙しいんですよね。

古家：ファンからは見えない部分も多いけれど、韓国では具体的にどういうスケジュールが入ってるいるんですか？

健太：まずは第一に練習がありますし、音楽番組に出演したりバラエティーの撮影があったり、意外と髪を染めたりっていうビジュアルの管理にも時間を取られます。その合間にインタビューとかも入ってきて、受け答えの内容を会社側が決める場合は、それを覚える時間っていうのもありますね。あとは生配信をしたり、韓国語やボーカルのレッスンなどを受けたりもします。

古家：あとは、色々なコンテンツの撮影もありますしね。

健太：はい、本当にやることはいっぱいあります。中にはお金に直結しない仕事もありますけど、それは一つのプロモーションにもなるわけで、会社も考えた上でのスケジューリングにはなっています。だからアイドル本人もそうですけど、そのスケジュールを全部計算してチェックして運転してくれているマネージャーさんもめちゃくちゃ忙しいですね。