K-POPの観察者と当事者による対談!古家正亨×高田健太のディープすぎるK-POPトーク「自分を傷つけてもいいから今こそ自分と向き合ってほしい」【後編】
東京ウォーカー(全国版)
“韓国だからこそ表現できること”を、より重視する方向になっていくのではないか

――年々グローバル化しているK-POPですが、お二人はこの先のK-POPがどうなっていくと考えられていますか?
古家:コロナ禍の時はどうしてもオンラインに頼りきりになってしまいましたが、それが世界をより近いものにしたと思います。でもそのコロナ禍が終息し、一気にまたライブに行く人が増えたということは、やっぱり自分の身近なところにある何かを求めていると思うんですよね。グローバル化するものは、このまましていくと思いますが、やっぱり“グローカル”がいいっていう人は絶対にいるので、そういう人たちに合わせて、元に戻っていくものもあるのではないか、と思います。それこそ、既に韓国の音楽業界でも「昔ながらのK-POPをやり直そう」という動きがあって、ちょっと懐かしい2010年代ぐらいのK-POPの曲調に戻りつつあるところもあります。一気に洋楽っぽいのに寄せた結果、「K-POPのアイデンティティって何だっけ?」という迷いが業界全体にあるような気がしているんです。
健太:日本ではアイドルが好きならアイドル、バンドが好きならバンドみたいに各ジャンルでビジネスが成り立っていて、その中の一つとしてK-POPというジャンルが確立されたと思います。韓国でも最近はどんどんジャンルが細分化されていって、売り出し方やブランディングの仕方もすごく変わってきました。そうなっていくと、それに伴ってK-POPというジャンルの縮小化も進んでいって、最近では「K-POPのファンじゃないファンを獲得しよう」という目標で作られているグループもあったりします。今後、K-POPビジネスでキーになっていくのは公演などの生で音楽を楽しめる場や、アイドル個人の人間性、つまり“リアル”が再確認される時代になっていくと思います。
古家:今はまだ、日本では自分が望む表現をできないと思ってK-POPアイドルを目指す子たちが多いけれど、韓国に渡る意味合いもちょっと変わっていくかもしれません。K-POPという枠の中で活動したいから目指すのではなく、“韓国だからこそ表現できること”という部分を、より重視する方向になっていくのではないかと思います。
健太:峠を越えたじゃないですけど、今まさに変わっていってるタイミングなんだと思います。ちょうど今、それが肌感としてありますね。

――最後に、お互いへのメッセージをお願いします。
古家:何もないゼロベースのところから、韓国の音楽を紹介するプラットフォームを作ったりしてきたという意味で自分を開拓者だと例えるならば、健太くんはK-POPアイドル界で日本人が活躍する場みたいなものを開拓してきた一人だと思うんです。畑を作る時と同じで、何もないところから自分で道を切り拓くっていうのは本当に大変で、振り返ったら笑えることでも、その瞬間は本当につらくて、苦しくて、悲しくて、正直いいことはほとんどないですよね。だけど、実現した瞬間の喜びと比べたら、大したことじゃなかったりするんです。その喜びの瞬間も残念ながら長くは続かないんですが、その経験は絶対にその人にしかできなかったことだし、その経験を生かして、同じような夢を目指す人たちのために、更なる開拓者として新しい道を切り拓いていくことができると思うんです。
ちょうど今、健太くんが置かれている状況っていうのが、第二次の開拓の時期なんですよ。これがまた大変で、今すごく苦労していると思いますが、何年先かわからないけれども、切り拓いて苦労してよかったと感じられる瞬間が絶対来るはずです。既に一度、開拓するという経験をできていると思うので、その喜びや感動、あの時に得たものを頭に置きながら、第二次の開拓に向けてここからいいスタートを切ってほしいなと思います。
健太:ちょっと…深すぎません?(感動)
古家:でも本当にそう思っていて、この間もそういう話をしたんです。
健太:僕から古家さんに伝えたいことは…なんて、僕みたいな分際がおこがましすぎるんですけど(笑)。僕はK-POPアイドルに憧れて韓国に渡ったのですが、そのK-POPアイドルたちがK-POPアイドルとして成り立つためには、やっぱりものすごくたくさんのスタッフさんや支えてくれる人たちが必要で、その中の一人が古家さんだと思っています。そういった意味で、本当に僕の中では古家さんに対して憧れと感謝があるんですね。古家さんに切り拓いていただいたおかげで僕が2017年にデビューできて、今もこうして活動できているので。
僕が古家さんという存在に勇気をもらったように、古家さんの温かさで救われるK-POPアイドルの子は絶対いるだろうし、それはK-POPを好きな人やスタッフさんたちも同じだと思います。太陽みたいな古家さんという存在に、これからも日本のK-POPというジャンルを温かく見守っていてほしいですし、本当におこがましいですけど、そんな古家さんがまた何か新しいことをやっていただけたらすごく嬉しいなとも思います。これは本当に、単なる僕のわがままな気持ちですけど(笑)。
古家:そういう意味で、健太くんとは同じ立ち位置だと思っていますよ。
健太:え、僕も古家さん!?(笑)
古家:(笑)。K-POP業界にいて、新しい道を切り拓こうとしいてるじゃないですか。でも、僕は歳も歳だしなぁ。ずっとMCとかをやってきたけど、もうだんだん孫みたいな人たちがデビューしてくるんですよ(笑)。
健太:いや、まだ早いですよ(笑)。
古家:もうすぐ孫だよ(笑)。さすがに、孫まではケアができないと思うんです(笑)。
健太:いやいや、そんなこと言わないでください。日本のK-POP界において、古家さんご自身が思ってる以上に古家さんは大きい存在なんです。だから今後はどういった形になるかわからないですけど、どこかから温かく見守るような形で…(上から光を照らしてくれているようなジェスチャー)
古家:僕、死んでないよね!?(笑)今一瞬、天から見守っていたよね(笑)。
健太:ごめんなさい!(笑)もちろん、まだまだ生きてていただかないと困りますけど(笑)。僕としても、これからも古家さんに支えていただきたいなって思いがあるので。
古家:それはもちろん、僕ができるところは支えてあげたいなと思います。
健太:これがすごくありがたいですよね。古家さんはいつも「僕ができることは何でもします」と言ってくださるんですけど、一線を越えないように、とすごく配慮してくれてる言葉だなって感じるんです。この温かさって他にはないから、さっきも言った通り、ずっと太陽のように見守っていてほしいです!
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