“たかが便秘”は間違い!命に関わる危険も⁉注目の腸活食材「小麦ブラン」で正しい便秘対策を
東京ウォーカー(全国版)
多くの人が悩んでいる便秘。身近な症状であるがゆえに軽視されがちだが、近年、命に関わる病気と関連することがわかってきた。また、便秘によって寿命が短くなる可能性があるという研究結果も発表されている。“たかが便秘”と侮るなかれ、正しく便秘のことを知り、ケアしていくことが重要だ。
便秘により、脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓病のリスクが上昇
便秘で困っていても、命に関わる大きな健康被害につながるとは考えられていなかった。ところが近年、便秘は心血管疾患など命に関わる病気と関連があることが明らかになってきた。排便時にいきむことで、循環器系に大きな負担がかかることが知られている。また、慢性便秘症の人は、腸内細菌そうの異常(ディスバイオーシス)が見られ、腸内細菌がつくる代謝物の変化が、動脈硬化や心血管疾患など命に関わる疾患の発病に関わっている可能性が示唆されている。
20歳以上の慢性便秘症の人と便秘がない人の生存率を15年にわたり調べた海外の研究報告がある。調査開始か10年の時点で便秘のある人は生存率が12ポイント低くなっている。
日本人約4万5000人を対象として、約13年間追跡したコホート研究では、排便回数が少ないほど心血管疾患による死亡リスクが上昇したと報告されている。この研究では、1日1回の排便があるグループと比較して、2~3日に1回の排便群は、死亡リスクが1.21倍、4日に1回の排便の排便群は1.39倍であることがわかった。さらに、他の研究では、下剤を使用している慢性便秘の人は心血管疾患による死亡リスクが上昇するという報告もある。
上記の海外による大規模コホート研究では、便秘は冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、虚血性脳血管障害の発生リスクを上昇させることが報告されている。脳梗塞などの虚血性脳血管障害の発症リスクは、便秘の場合19%高くなる。また、米国の大規模コホート研究(退役軍人を対象)では、慢性便秘症の人は腎機能が悪化しやすく、慢性腎臓病や末期腎不全の発症リスクが高いことが報告されている。
便秘対策の新常識、食物繊維は“量から質へ”
最新の便秘診療ガイドラインでは、慢性便秘症と食物繊維摂取量には必ずしも相関がみられず、不足時のみ有効とされている。便秘対策として一般的にやりがちな、繊維質の多い野菜をとにかくたくさん食べるなど、食物繊維摂取の総量を必要以上に増やすことはあまり有効でないことが示唆されている。
便秘対策には、食物繊維摂取の総量よりもどんな種類の食物繊維を摂るか(質)という視点が重要になってくる。そこで、どんな種類食物繊維を摂ればよいかというと、ガイドライン内にも登場する「発酵性食物繊維」になる。発酵性食物繊維の摂取によって、腸のぜん動運動を促す酪酸が産生され、便秘解消につながるのだ。
質のよい食物繊維「発酵性食物繊維」を選ぼう
便秘改善のポイントは、酪酸菌のエサとなる発酵性食物繊維を選んで摂取すること。1食あたりに含まれる発酵性食物繊維含有量を見ていくと、実は穀物に発酵性食物繊維が多く含まれていることがわかる。これらの発酵性食物繊維を多く含む食品を選んで、効率的に摂取するといいだろう。
発酵性食物繊維がたっぷり!注目の快腸食材「小麦ブラン」
そこで注目されているのが、発酵性食物繊維が多く含まれる食材「小麦ブラン」。小麦の外皮で、小麦の粒の中でも、発酵性食物繊維が豊富な部分だ。ケロッグ「オールブラン」など一部のシリアル製品やパンの原材料にも活用されるなど、注目食材として広がっている。研究でも小麦ブランを摂取することで、酪酸菌を増加させ、腸内環境を改善し、便通解消につながることがわかっている。
日本人による研究で、小麦ブランを含むシリアルバーを4週間摂取したところ、ふん便中の酪酸菌と酪酸の濃度が有意に増えたことがわかった。
“たかが便秘”と放置しておくのは危険だ。正しい便秘対策をしておなかの健康はもちろん、心血管疾患など命に関わる大きな病気からも体を守ろう。
参考文献:
【Webサイト】
公益財団法人 腸内細菌学会公式サイト
【書籍】
「便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症」南江堂
鳥居明監修「よくわかる過敏性腸症候群で悩まない本」日東書院
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