「あなたの食事、栄養足りてる!?」栄養素の基礎知識や超簡単に作れる朝食レシピを管理栄養士に聞いた
東京ウォーカー(全国版)
健康を維持するために「バランスのいい食事を心がけましょう」とよく言われるが、そもそも「バランスのいい食事」とはどういったものなのだろうか。そこで今回は栄養についての基礎知識や、バランスがいい食事について、「認定栄養ケア・ステーション食サポ」の代表で管理栄養士の西山愛さんに話を聞いた。
10の食品群を意識した食事を
――日々の食事について、栄養面ではどのような点に気を付けたらよいでしょうか。
【西山】日々の食事に取り入れたい10の食品群というのがあり、それを意識するとよいと思います。10の食品群を指す「さあ、にぎやかにいただく」という標語があり、これは東京都健康長寿医療センター研究所が開発した「食品摂取の多様性スコア」に基づいて、ロコモチャレンジ!推進協議会が考案したものです。
10の食品群とは、魚、油、肉、牛乳、野菜、海藻、芋、卵、大豆、果物であることから、それぞれの頭文字を取って「さ(魚)あ(油)、に(肉)ぎ(牛乳・乳製品)や(野菜)か(海藻)に、い(芋)た(卵)だ(大豆)く(果物)」、つまり「さあ、にぎやかにいただく」となっています。
――この10の食品群を毎食取り入れるのは難しいと思いますが…どのように工夫したらよいでしょうか。
【西山】おっしゃる通り、これらすべてを毎食、網羅するのは難しいと思います。まずは毎食、ご飯やパンなど炭水化物の主食、肉や魚などのタンパク質がメインの主菜、ビタミンやミネラルなどを含む、野菜やキノコ・海藻などの副菜を意識しましょう。
これらは、必ずしも手作りである必要はありません。忙しいときは、コンビニやスーパーのお惣菜などを活用してもOK。お惣菜は、肉や魚、野菜やキノコ、海藻などが入っているものを選ぶように心がけるとよいですね。
肉・魚、野菜、海藻などをベースにしながら、ほかの食品群は、1日3食のうち1食で取り入れたり、食事で摂れない場合は間食で補ったりするのも手です。たとえば、果物は毎食摂ってしまうと糖分の摂り過ぎになるため1日1回で十分。果物や乳製品は、朝食や間食で摂ってもよいでしょう。
大豆製品や卵はタンパク質を含んでいるので、魚や肉の代わりに、タンパク源として大豆製品や卵を食べてもOKです。イモも炭水化物なので量を摂り過ぎると糖質過多になってしまいますが、イモには食物繊維やビタミンCも含まれているので、そういう点で10品目に入っています。
――お惣菜の選び方のアドバイスをいただきましたが、外食の際はどうでしょうか?
【西山】麺類の場合、「チャーシュー麵」など麺と肉だけのメニューより、野菜や海藻なども入っている「五目ラーメン」などを選ぶといいでしょう。具材が少ない麺類を注文する場合は、餃子などのサイドメニューを足すのもおすすめです。ラーメンと炒飯を注文される方も多いと思いますが、炭水化物が多くなってしまうので、栄養面を考えるとその組み合わせはできるだけ避けたほうがいいでしょう。
偏らずいろいろな食材を食べるのがポイント
――ほかに、「バランスのいい食事」を実現するためのコツはありますか?
【西山】同じ食材を食べ続けるより、なるべくいろいろな食材を摂るといいと思います。肉の場合は、牛肉ばかり…ではなく、牛、豚、鶏は含まれている栄養素が違うので、偏らずにそれぞれバランスよく食べるといいと思います。
それから、1食の量ですが、たとえばご飯だと、片手の手のひらに収まるくらいが適量だと言われています(手ばかり栄養法)。食パンなら6枚切りか5枚切り1枚、麺だと1玉が目安です。タンパク質は、1日に体重1キロにつき1グラム(よく動く人は1.5グラム)を目安に摂取しましょう。たとえば、体重50キロの人は50~75グラムくらいです。
――よく、ダイエット中に同じ食材ばかり食べる人がいますが、そういうのはどうなのでしょうか?
【西山】ダイエットでよくあるのが、まず「食べない」というケース。食べる量を減らすと代謝が落ちてしまうので、痩せにくい身体になってしまいます。また、おっしゃるように同じものばかり食べるのも栄養が偏り、同様に代謝が落ちてしまうのでおすすめできません。
――ちなみに、栄養価が高い食材などはあるのですか?
【西山】卵は食物繊維とビタミンC以外の栄養素が含まれている優秀な食材なので、おすすめです。卵は栄養価が高いので、食欲がなかったり疲れているときは、卵かけご飯に、野菜やキノコ、海藻をたっぷり入れたお味噌汁だけ、というシンプルな食事でも栄養としては網羅されているのでOKです。
――西山さんがよく使ったり、いつもストックされている食材はありますか?
【西山】卵やツナ缶、カットわかめ、かつお節、切り干し大根やひじきなどの乾物でしょうか。特に最近は野菜の価格が高騰しているので、食費を抑えたいけれど野菜系のおかずを作りたいときは、切り干し大根やひじきを使ったりしますね。
――夏に特に摂っておきたい栄養素はありますか?
タンパク質やビタミンB群を積極的に摂ることをおすすめします。暑いと、どうしても麺類など炭水化物に偏ってしまいがちです。炭水化物を摂り過ぎると疲れやすくなりますし、先ほどお話したように栄養が不足すると代謝も落ちてきます。ビタミンB群は糖の代謝に必要な栄養素で、タンパク質も代謝の上昇に大きな役割を担っているので、それらを積極的に摂って夏バテを防ぎましょう。
また、夏場は熱中症対策などで塩分を積極的に摂る方は多いと思いますが、汗をかくと塩分だけでなくミネラルも出ていくので、ミネラルも意識してほしいです。ミネラルを多く含んでいるのは海藻類、ミネラルの中のカリウムで言うと、果物類もおすすめです。特に、バナナなどはカリウムが豊富です。
ささっと作れる!栄養満点「ツナトースト」
朝食の1品として、手軽に作れる栄養満点のレシピを西山さんに教えてもらった。「主食+タンパク質+野菜は守られてるので栄養バランスはバッチリ。ツナを1缶分使うので、タンパク質をしっかり摂りたい方にもおすすめのレシピです。具材をのせるだけなので、お子さまからご高齢の方まで簡単にできますし、包丁も火も使わないので、朝は忙しくて時間がないという方にもおすすめです」(西山さん)。
【材料】
(1人前)
食パン 1枚、ツナ缶 1缶、千切りキャベツなどの野菜(スーパーなどで買えるカット野菜でOK) 、マヨネーズ、ケチャップ、ブラックペッパー、チーズ 適量(お好みで)
【作り方】
1.食パンの上に野菜とツナをのせる
2.マヨネーズ、ケチャップ、ブラックペッパー、チーズをお好みでかける
3.トーストしたらできあがり!
【栄養素】
エネルギー 343キロカロリー、タンパク質 21.8グラム、脂質 15.8グラム、炭水化物 32.7グラム、食塩相当量 2.1グラム
「単色のおかずばかりが並ぶより、彩りがよい一品(緑黄色野菜などを使って)のほうが栄養価が高いので、“色”を気にしてみるのもおすすめです」というアドバイスもくれた西山さん。今回教えてもらったポイントや簡単メニューを取り入れながら、バランスのよい食事を心がけよう。
取材・文=矢野凪紗
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