菅田将暉「“唄歌いってこういうことか!”とハッとした」岸善幸監督×宮藤官九郎脚本の最新作で歌唱シーンに痺れた人物とは?
東京ウォーカー(全国版)
岸善幸監督と菅田将暉さんが、「あゝ、荒野」以来7年ぶりのタッグを組んだ映画「サンセット・サンライズ」。都会から移住したサラリーマンと宮城県・南三陸の住民たちとの交流や、コロナ禍や地方の過疎化、震災などの社会問題を盛り込みながらユーモアたっぷりに描く。
お二人に、ロケ地となった気仙沼での撮影秘話やヒロインを演じた井上真央さんとのエピソード、さらにアメリカの独立系映画スタジオA24のおすすめ作品などを語ってもらった。

竹原ピストルさんが歌うシーンに「“唄歌いってこういうことか!”とハッとさせられました」
――「あゝ、荒野」以来7年ぶりのタッグとなる本作は、脚本を宮藤官九郎さんが手がけています。菅田さんはどのように台本と向き合っていかれたのでしょうか?
【菅田将暉】毎回、役が持ついろいろな特徴をひとつの鍋に入れて、そこから何が出来上がるかと想像をするようにしていて、今回演じた晋作には“釣りが好き”、“コロナ禍でリモートワークが可能になったサラリーマン”、“意外とエリート企業に勤めている”、“言葉ではあまり自己主張をせずに周りとの調和が取れる人”といった特徴があったので、それを混ぜ合わせながら“どう演じようか”と考えていきました。
ただ、そんな中で宮藤さんのエッセンスが濃く反映されているシーンにおいては、家で考えるよりも現場で共演者の方々に会ったほうがつかめるだろうと思ったので、クランクインしてから固めていく部分もありました。

――ちなみに宮藤さんが現場を訪れることはあったのでしょうか?
【岸善幸監督】「モモちゃんの幸せを祈る会」(井上真央演じる百香を気にかけている独身男4人で結成)のメンバーが集まる居酒屋のシーンと、某大事なシーンの見学に2回来てくれました。
【菅田将暉】僕は山の中で晋作が熊に怯えるシーンの撮影のときに、宮藤さんがいてくれたらなとちょっと思いました。
【岸善幸監督】どうして?
【菅田将暉】今回、一番“難しい”と感じたのが熊と遭遇するシーンで、ちょっと狂気的な場面でもあるので、どう演じるのが正解なのかわからなくて。
【岸善幸監督】たしかに、熊は難しかった。でも、菅田さんが晋作を演じてくれたおかげで、宮藤さんの台本のおもしろさが倍増したんじゃないかな。1日に1回は笑いすぎて涙が出たぐらいだったし。
【菅田将暉】そう言っていただけるとありがたいです。
【岸善幸監督】監督としては現場で思わず笑ってしまった“おもしろい”という感覚を、そのまま映画として完成させなければいけないと考えていたので、そのプレッシャーを感じながら撮っていたのを覚えています。

――三宅健さん、竹原ピストルさん、山本浩司さん、好井まさおさんが演じた「モモちゃんの幸せを祈る会」のメンバー4人と晋作が絡むシーンはどう転がっていくのかわからないおもしろさがありました。アドリブ芝居もあったのでしょうか?
【菅田将暉】アドリブはほとんどなかったです。もしアドリブに見えたのであれば、宮藤さんが書いたセリフにそう思わせる力があったということなのかなと思います。
――「モモちゃんの幸せを祈る会」の4人とのシーンの撮影で印象に残っているエピソードがあれば教えていただけますか?
【菅田将暉】ピストルさんがカラオケで歌うシーンが印象に残っています。“「唄歌い」ってこういうことか!”とハッとさせられました。

――歌声がめちゃくちゃ沁みますよね。
【菅田将暉】わざと癖強めに歌う感じがまたうまくて、痺れますよね。僕はピストルさんの歌声をお店の外で聞きながら自分のシーンまで待機していたのですが、その間は“いい歌だな…でもよすぎてちょっとムカつくな”と思っていました(笑)。もう少し聞きたい気持ちと、曲の途中で邪魔するかのようにお店に入っていかなければいけないという気持ちの狭間で揺れていました。それぐらい歌声が沁みました。
あと、ピストルさんがリアルに地元民っぽく感じられて、なんでなんだろうと思っていたら、本作のロケ地の気仙沼によくライブで訪れていたそうで。その理由が意外だったんです。
――どんな理由なのでしょうか?
【菅田将暉】「お気に入りのラーメン屋があって、そこに行きたいからライブをする」と言っていました(笑)。それは冗談も入っていると思いますけど、ラーメンが食べたいからライブをしに行くってなんかいいですよね。
――ちなみに竹原さんお気に入りのラーメン屋さんは教えてもらったのでしょうか?
【菅田将暉】教えてもらってないです。教えてもらって今度みんなで行けたらいいですね。そういえば、僕もおいしいラーメン屋を見つけて、滞在中に2回行きました。気仙沼はおいしいお店がたくさんあると聞いたので、またみんなで行きたいです。

郷土料理モウカノホシは「食べた瞬間に衝撃が走るぐらいおいしかった」
――百香役の井上真央さんとは、2010年に放送された連続ドラマ「獣医ドリトル」以来の共演になりますね。
【菅田将暉】当時はまだ10代で2本目の連ドラ出演だったのですが、僕が泣かなきゃいけないシーンを井上さんがサポートしてくださったのを覚えています。お芝居の経験が少ない僕のために、井上さんが先に泣いてこっちの感情を促してくださったんです。そのときにすごく優しくてカッコいい先輩だなと思った記憶があります。
――井上さんと久々にご一緒されてみていかがでしたか。
【菅田将暉】14年ぶりの共演ということで、すごく不思議な気持ちでした。当時から気さくでしたが、今回改めて地に足のついた素朴な方だという印象は変わらなかったです。アウトドア系の私服を着てらっしゃるのも素敵だなと思いましたし、井上さんのおかげですんなりと役に入ることができたように思います。
――井上さんから「スター将暉」と呼ばれていたと伺いました。
【菅田将暉】あははは!井上さんはちっちゃいダジャレが好きみたいです。気仙沼のコンビニで井上さんとバッタリ遭遇したことがあって、あいさつしたらつまみを物色しながら「うぃい」っておじさんみたいなリアクションが返ってきたこともありました(笑)。そういうチャーミングなところが素敵だなと思います。

――劇中にはおいしそうな郷土料理が登場するので、観ていておなかが空きました。お二人のおすすめはどの郷土料理ですか?
【菅田将暉】監督は何が好きでした?
【岸善幸監督】僕はモウカノホシ(ネズミザメの心臓の刺身)。
【菅田将暉】モウカノホシはレバ刺しみたいな味でしたね。
【岸善幸監督】食べた瞬間に衝撃が走るぐらいおいしかったです。
【菅田将暉】隣町まで持っていくと鮮度が落ちると言われるぐらい新鮮で、漁師さんだけが食べられるような刺身だそうです。とにかくめちゃくちゃおいしかったですね。レバ刺しよりうまいかもしれない。
【岸善幸監督】ぜひ気仙沼で食べてもらいたいですね。

――竹原さん演じる健介が「どうだ」って得意げにモウカノホシを晋作に出していましたしね。
【菅田将暉】そうそう。撮影以外でも現場付近の居酒屋でみんなで食べたり、市場で買って捌いて食べたりしました。実はモウカノホシを食べるシーンはもともと台本にはなかったんですよね?
【岸善幸監督】なかったんだけど、モウカノホシとハモニカ焼き(メカジキの背びれの付け根の塩焼き)はうますぎて、急遽台本を変更してもらいました(笑)。もうひとつおいしかったのがメカブ。
【菅田将暉】現場で漁師さんたちが自家製のメカブを持ってきてくれて、ご飯の上にかけて食べたらめちゃくちゃおいしかったんですよね。メカブを舐めてました(笑)。
【岸善幸監督】撮影の今村(圭佑)さんが、お世話になった漁師さんたちに教えてもらったメカブを東京に帰ってから取り寄せて食べたらしく、それもめちゃくちゃうまかったと教えてくれて。僕も取り寄せちゃいました(笑)。
――スーパーに売っているメカブとどんなところが違いましたか?
【菅田将暉】出汁がきいていて、ご飯がすすむメカブでした。
【岸善幸監督】漁師さんが言う「うまい」に嘘はないですよね。
【菅田将暉】本当に。ぜひ食べてもらいたいです。

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