SNSで散見される「漢方薬を飲めば痩せる」は本当?漢方薬の役割と“ダイエットに効く”の意味をプロに聞いてみた
東京ウォーカー(全国版)
昨今、SNSでは20代の女性を中心に「漢方薬を飲んだら痩せた」「ダイエット漢方が効いた」といった投稿が多く見られる。参考にして購入する人や安易な使用を危険視する声など、反応はさまざまだ。
注目が集まっているとはいえ、「そもそも漢方薬自体飲んだことがない」という人も多いはず。効能や購入方法、かかる費用など、その実態が気になっている人もいるのではないだろうか。
今回は、オンライン漢方「YOJO」の薬剤師マネージャー・小島美香さんに、漢方薬の基本的な情報や「漢方薬を飲めば痩せる」という噂について話を聞いた。さらに、筆者が1カ月間「YOJO」を利用し、その様子をレポートする。

漢方薬はいわゆる“薬”とどう違う?
まず、「薬」は大きく「西洋薬」と「漢方薬」の2つに分けられる。それぞれのアプローチは異なり、西洋薬は発熱や咳といった明確な症状を抑える対症療法、漢方薬は体内のバランスを整えることで健康を維持するサポートを行うのが一般的だ。
「生理を例に挙げると、西洋薬に含まれる痛み止めの薬を服用することでそのときの痛みは和らぎますが、生理痛が強い体質そのものは変わりません。一方、漢方薬は時間をかけて体内のバランスを整え、生理痛が起こりにくい健康な状態へと導くサポートをする。つまり、身体の内側から体質を改善していくようなイメージですね」

もちろん注意点もあり、漢方薬の服用は2〜3種類に限定し、4〜6カ月の長期間にわたり継続して飲み続けることが大切なのだとか。「体質改善には、やはりある程度時間をかける必要がありますね」と小島さん。
「また、同じ漢方薬でも国によって特徴が違います。たとえば、韓国で人気のダイエット漢方薬には『麻黄』が多く配合されていることがあり、代謝を強制的に高めたり食欲を抑えたりするものが多く、その分副作用のリスクも高めです。ですが、日本ではこうした成分は控えめで、体質を整えることを重視した漢方が主流となっています」
「漢方を飲めば痩せる」は事実なのか
昨今、SNSにおいて「漢方薬を飲んだら痩せた」といった投稿が散見される。特定の漢方薬を服用することで体重が減った、体質が改善されたなど、体験談はさまざまだ。では結局のところ、“漢方で痩せる”ことは可能なのだろうか。
「漢方薬だけで劇的に体重が減少するわけではありませんが、むくみやすい水太り傾向のある方は、水の巡りを整える漢方薬を服用することで、むくみにくい体質を目指せます。さらに、バランスのよい食事や健康的な生活習慣を組み合わせることで、むくみを和らげ、ダイエットをサポートする身体づくりを後押しすることができます」
漢方薬はおもに植物の葉や、茎、根、牡蠣の殻といった自然由来の成分で構成されており、西洋薬に比べて体への負担が少ないと言われている。ただし、漢方薬だからといって副作用がないわけではなく、薬であるかぎり副作用の可能性は捨てきれない。たとえば、一部の漢方薬には下剤成分が含まれる場合があり、複数の下剤入り漢方薬を併用すると腹痛を引き起こす可能性も。
「SNSで特に話題になっている『防風通聖散』(ぼうふうつうしょうさん)の場合、便秘が原因でダイエットが進まない方に適していますが、下剤成分を含みます。普段から下痢や軟便になりやすい方は、服用すると下痢を誘発する恐れがあるので注意しましょう」
オンライン漢方「YOJO」は「患者が心の内を遠慮なく明かし、医療従事者が真摯に向き合う医療体験を届けたい」という理念のもと誕生し、利用者は30~60代と幅広く、なかでも女性の悩みが多いそう。オンラインでの体質チェックを行うことから、不妊、生理不順、PMS、更年期など、面と向かって話しにくい内容の相談が多く、ダイエットについても同様だ。“ただのダイエット”と捉えず、自分で判断して漢方薬を選ぶのではなく一度薬剤師に相談しよう。


ちなみに、「YOJO」には季節的な症状に応じた漢方薬もあるようで、小島さんは「花粉症には、『小青竜湯』(しょうせいりゅうとう/※1)や『葛根湯加川芎辛夷』(かっこんとうかせんきゅうしんい/※2)が人気ですね。アレルギー自体の根本的な解決は難しいですが、鼻詰まりや鼻水を軽減する体質を目指せます」と教えてくれた。
※1 鼻の通りをよくするサポートに適している漢方薬
※2 風邪や鼻に関する不調の改善をサポートするために用いられる漢方薬
ほかにも「YOJO」では、新型コロナウイルスやインフルエンザに感染したあとの体力回復や、病気にかかりにくい体質になるための相談も増えているようだ。
取材後、1カ月間「YOJO」を利用してみた
今回の取材後、「YOJO」の公式LINEアカウントを友だち追加し、さっそく漢方薬を試すことにした。30歳女性である筆者の最近の悩みは、生理の前後に体調を崩すこと。不眠、動悸、めまい、多汗、寒気など、年齢を重ねるとともに悩みが増えている。
最初に「体質チェック」を実施すると、「『気血虚弱』。体や心のエネルギーと栄養(気と血)が不足しやすく、疲れやすさや冷え、ちょっとしたことでむくみやすい傾向がある体質です」というチェック結果に。「なるほど、最近の不調の原因はこれか…」と腑に落ちた。


続いて、自身の症状や体質に適した漢方薬を提案してもらうため、LINEトークで薬剤師に相談内容を送信。提案されたのは「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)で、この漢方薬は水の巡りを整えるはたらきがあり、気圧変化による不調の緩和にも期待できるという。また、自律神経のバランスが気になる人にも広く選ばれている漢方薬だと説明があった。

取材したのでサービスの概要は理解していたが、「こんなに自分の体質や状態に合わせて漢方薬を提案してくれるなんて!」と驚いた。届いてみればコンパクトな個包装で持ち運びしやすく、オフィスに気軽に持って行ける点も好印象。
まだ1カ月の服用なので、生理前後の不調の改善は実感できていないが、最初の変化は便秘気味だったのが快便に変わったこと。漢方薬の効果かどうかは定かではないが、身体に少しずつ変化が現れ始めているのを感じた。


病院での血液検査やレントゲン、CTなどで特に異常が見つからない場合でも、原因がはっきりしない疲れや不調に悩むこともあるだろう。そんなときは、薬剤師に相談のうえ、漢方薬を取り入れて“整える”アプローチを検討してみてはいかがだろうか。
取材・文=山本愛美(にげば企画)
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