コーヒーで旅する日本/関西編|何気ない一杯から広がる世界に魅せられて。尽きぬ好奇心から深まるコーヒーとの縁。「depe coffee shop」
東京ウォーカー(全国版)
人の数だけ好みがあるコーヒーの尽きない魅力

店頭に並ぶ豆は精製プロセスもさまざま。近年、その技術はより多彩になっているが、「ナチュラルであれ、手の込んだプロセスであれ、作り手が試行錯誤を重ねて生み出したもの。その過程を伝えることで、それぞれの風味の説得力も生まれるのではと思っています」。そう話す日比さんの姿勢を体現するのが、すべての豆の説明に付記する自身が採点したカッピングスコアだ。「話のタネの一つになりますし、スコアを通して、コーヒーの価格やクオリティの理由を伝えることができます。普通は商社や産地のスコアを載せることが多いけど、自分でやることによって信頼感をもってもらえるようにしたい」と、自らの感覚で伝えることに腐心する。
ただ一見すると、希少な豆ばかりを扱う高級店のように思えるが、目下、普段飲みできる豆の調達に力を入れている。そのために取り組んでいるのが、インドネシアの農園との密な関係作りだ。「この店の運営とは別に、インドネシアを専門にインポーターとして活躍されているKopindoで、現地のコーヒーを広めるプロジェクトに参加しています。開店の2カ月前に、プロジェクトの一環で農園を訪問しましたが、これから、生産者に近い位置に立って関係を作っていきたい」。農園からダイレクトに届く生豆は、2024年の秋にリリース。新たな店の顔として、今後も継続して提案していく予定だ。

料理の道から転身して、ここまで3年余というスピード感で、開業にまでいたった日比さんにとって、自身の目指す店作りはまだまだ途上にある。「いろいろあって体が追い付いてないですが(笑)。来年も産地を訪れる予定。それまでに精製プロセスのことを学んで、Qグレーダーとして産地でのアドバイスなどもできればと思っています。農園の仕事を経験することで、より店でのプレゼンに納得感が出るはず。自分で豆を焙煎して販売もしつつ、生豆の紹介もしたり、Kopindoの活動を関西に広げたりといった取り組みもしていきたい」
店名のdepeは、英語で“~しだい”を意味する、“It depend on~”をもじったもの。「自分がいいと思うコーヒー、お客さんがいいと思うコーヒー、それぞれの感じ方があって、まさに飲む人の好み次第。自分の考え方を固めないようにしたい。何より、自分自身がコーヒーのことをもっと知りたいと思っていますから。まだまだ駆け出しなんで、店を続けつつ、日々勉強ですね」。店名にちなんで言えば、“It depends on you look at it.”、つまり、コーヒーの味わいは各々の気の持ちようで変わる。人の数だけ楽しみ方があるコーヒーの世界で、日比さんの探求心はまだまだ深まっていきそうだ。

日比さんレコメンドのコーヒーショップは「solkatt coffee kyoto」
次回、紹介するのは、京都市南区の「solkatt coffee kyoto」。
「店主の山本さんが以前、勤めていたTERRA COFFEE ROASTERSによく通っていて、自分の世界観を変えてくれた憧れの存在の一人です。一杯のコーヒーで伝えたいことを表現する技術と、あくまで気軽に飲めることを提案する姿勢をリスペクトしています。同じコーヒーマンとして遠い目標であり、一ファンとして訪れたいお店です」(日比さん)
【depe coffee shopのコーヒーデータ】
●焙煎機/アイリオ 1キロ(電熱式)、SUJI 120グラム(半熱風式)
●抽出/ハンドドリップ(SUJI)
●焙煎度合い/浅煎り・深煎り
●テイクアウト/ あり(600円~)
●豆の販売/シングルオリジン8種。100グラム900円~
取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治
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