京都の“じゃないほう市場”?「京都市中央市場」の早朝せり見学に行ってみた
東京ウォーカー(全国版)
京都市中央市場は、京都駅からJR嵯峨野線に乗って一駅目の梅小路京都西駅にある。京都駅から電車で約2分というアクセスのよさだが、魚や野菜・果物の卸売りを行う仕事の場なので、観光客が訪れる場所ではなかった。しかし、2023年に一般消費者や観光客向けの水産棟見学エリアがオープン、一般の人たちも気軽に訪れることができるスポットに生まれ変わった。早朝にせりが見学できるというので、実態を探りに行ってみた。

新しくなった水産棟
京都の市場といえば市内の中心にある錦市場が有名だ。400年の歴史を持つこの市場は京の台所とも呼ばれており、その立地からいつも観光客でにぎわっている。一方、今回訪問する京都市中央市場は、観光客にあまり存在を知られておらず、いわば京都の「じゃないほう市場」だ。
大前提として、錦市場が一般客向けの店の集まる商店街であるのに対し、京都市中央市場は食料品を流通させる業者向けの市場なので、全くの別物として扱われるべきではある。だが梅小路公園など、近隣エリアの盛り上がりとともに、この市場にスポットが当たり始めている。今回は一般客でもアクセス可能なエリアを実際に回りながら、京都市中央市場の“今”を紹介したい。

京都市中央市場ができたのは1927年のこと。米の価格高騰に反発する米騒動をきっかけに、食料品の価格の安定を目的として1923年に中央卸売市場法が成立した。それを受けて日本で初めてつくられた中央卸売市場が、ここ京都市中央市場だ。おもに水産物と青果を扱うこの市場は、歴史が古いゆえに老朽化などの問題もあり、現在は2015年から長期にわたる施設整備が進行中だ。整備の一環として水産棟が建て直され、2023年にはその2階部分に、1階で行われる魚のせりが見渡せる見学エリアがオープンした。

筆者が水産棟を訪れたのは6月上旬の平日。見学エリアが開いているのは午前5時から午後5時。駅前のホテル エミオンと水産棟が直結しているので、駅からのアクセスも抜群だ。せりは通常午前5時からスタートし6時前には終了する。一番人気はもちろん大きくて迫力のあるマグロのせりだ。
時間になると鐘の音とともにせりが始まる。せりを取り仕切るせり人と複数の買い手が並べられたマグロの前を右から左へ移動し、素早く売り買いを進めていく。買い取られたマグロが解体されたり、モートラ(小型運搬車)に載せられて運ばれたりする姿も迫力がある。

それにしても驚きだったのは見学者の少なさだ。6月の平日ということもあり、この早朝の見学者はなんと、筆者以外にアジア人家族が一組、高齢の日本人夫婦が一組のみ。無料の見学スポットとして穴場ではないだろうか。休場日さえ気をつければ、予約なしで気軽に訪問可能だ。

充実した見学エリア
見学エリアの見どころはそれだけではない。市場について紹介するパネルやモニターが多数、設置されている。生産者から消費者までの食料品の流れや、せりの仕組み、マグロの部位などが図やイラストを用いて詳しく説明されている。
社会見学で訪れた子ども向けなのだろうが、大人でも知らない内容がたくさんあった。なかでも個人的に興味を引かれたのが、市場で働く人たちへのインタビュー動画だ。卸売業者と小売店の間に入る仲卸業者や、市場の取引を管理する開設者など、今まで知らなかった職業が一日のタイムスケジュールとともに紹介されている。インタビューの最後に好きな魚料理は何かと聞かれ、それぞれ通好みな回答をしているのもおもしろかった。

そのほかにも記念撮影コーナーやガチャガチャ、出口付近には、実物大のモートラに乗って画面上の市場を移動するゲームが用意されていて、最後まで子どもへの気配りがなされた見学エリアだった。通路をゆっくり歩いて早朝5時からせりが終わる6時ごろまで約1時間滞在したが、見どころ盛りだくさんの見学となった。

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